感情を排して説明してみるということ


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080212/plc0802122007008-n1.htm


http://d.hatena.ne.jp/yousanotu/20080213


真剣に疑問に思っておられるらしいので。

この記事ってセカンドレイプなの?だれか俺に論理的に説明してくれよ。


では「論理的に説明」します。「セカンドレイプ」という言葉で思考停止しなければならないような空気がもし在るならそれは私は好きではない。あぁ花岡さんか、と思って了解した私も大概シニシストだけれども。しかし新聞に載って日本中に戸配されたと思うと眩暈する。

まずさあ・・・おまえら。

そのセカンドレイプって言葉をつかうのをやめろと。

おまえらセカンドレイプいいたいだけちゃうんかと。

本当にセカンドレイプの被害にあっている人たちが迷惑だろうが。





今回の事件は、22時以降(訂正:失礼、20時半ね。でもこの時間からバイクにまたがり男の部屋に行くってちょと考えられんがね)まで繁華街でほっつき歩いて、見ず知らずの男のバイクに乗ったのは事実。

さらに、米兵の部屋に上がりこんだことも事実。

被害者が、まだ年若いため、口八丁でやり込められて世間知らずを突かれたのか?

それも違うんじゃないの。相手はそこまで日本語が上手いのかよ。

普通に被害者にも落ち度があったと一言言いたいところだろう。

花岡という人は「しつけ」が徹底していなかったことは残念と書いてるが、俺ならもうちょっと直接的に書いたかもしれんよ。

この記事ってセカンドレイプなの?だれか俺に論理的に説明してくれよ。


http://d.hatena.ne.jp/K416/20080213/1202873901


コメ欄におけるid:yousanotuさん=オースペさんのコメントから。

その定義のセカンドレイプってこの記事の場合に当てはまるの?
夜にほっつき歩いて、米兵のバイクにまたがり、部屋に転がり込む学生。「しつけが・・残念。」の一言を言ったらセカンドレイプ
違うとおもうなあ。


>断片的な情報を元にして


いや、そこまで言ったら、米兵もやってないかもって話しもできちゃいますね。否認してるんでしょまだ?
断片的な情報で書いてはいけないなら、他のブログも責めてやってよ。


定義の話は措きましょう。そして極論するなら。「セカンドレイプ」という指摘は「被害者のことを考えろ」と言っているのではありません。一義的には、現実の犯罪にかこつけて規範的な言説を展開することの問題を指します。「「しつけ」が徹底していなかったことは残念」と。第一かつ最大に、脅しの要素を伴う示唆以外の何物でもないから問題なのですが。規範的な言説とは「論理的」ならざる「べき論」のことです。

 「知らない人についていってはダメ」。筆者などの世代は子どものころ、親から口うるさく言われたものだ。


 米軍基地が集結する沖縄である。夜の繁華街で米兵から声をかけられ、バイクに乗ってしまう無防備さ。この基本的な「しつけ」が徹底していなかったことは無念、という以外にない。


東京の足立で、家族絡みの悲惨な事件がありました。事件に絡めて「家族の絆について考え直したい」とか書くか、仮にも全国紙が、ということです。「親子の情愛」が徹底していなかったことは残念、と。それは、悪趣味と不謹慎を措くなら、一義的には、被害者のことを考えろ、18歳の長男と重傷を負った次男のことを考えろ、ということではない。先ず。親子は殺し合うべきではない、などという規範的な言説において対応しうる現在ではまったくなく回復しうる現状であるはずがないことを、誰もが知るということです。私は「無理心中」という語彙も発想も認めない。


なら。親子は殺し合いうる、子は親に殺されうることを、子は知るべきである、と示すべきか。「この基本的な認識が徹底していなかったことは無念、という以外にない」と。自身が親に殺されないと信じて同居することの「無防備さ」と。未成年者に対して、繰り返しますが仮にも全国紙で。山本直樹のマンガではないし、また山本直樹は「べき論」を説いたことなどない。


私は。その「基本的な認識」を15の歳には備えていたし「子」として知っていましたが、それは私の家がアレであったということでもあり、そして私は幸運であったということでもあり、そもそも規範的な言説として他に示すべきことですか。そのくらいの常識は私は持ち合わせている。現代における常識とは第一に、規範的な言説を他に対して容易には示しえないことを知ることです。あまつさえ。足立の事件と同様、私たちは詳細を知らない、知りえない。当事者に及ぶ価値判断的な一般論を示して然るべきか。


「気を付けろ」と「気を付けるべきでありこの基本的な認識が徹底していなかったことは無念、という以外にない」は、全然違います。かつ、当該の記事は前者として読むことはリテラルにもできません。14歳に対してそのようなことを「気を付けるべきである」と規範的に示すことは、私は不可能と考えるし、少なくとも全国紙の任ではない。ゆえに「基本的な躾の不徹底」という話になる。


そして。現実の犯罪にかこつけてかく示す限り、規範的な言説であれ「気を付けろ」であれ、被害者に対する価値判断を結果するものです。そして当該の記事は明確に故意です。


また。性が人格にかかわり、異性間の非対称と性関係における非対称がかかわる犯罪であるからこそ、「セカンドレイプ」という言葉において指される問題が生じます。非対称に基づく不正と因果関係の転嫁において毀損される人格があるということにおいて二次的被害もまた質を同じくする。ゆえに「セカンドレイプ」と名指される、ということです。そして、存在と行為において人格が毀損されることが異性間において非対称であることは、少なくとも望ましいことではない。所謂痴漢冤罪問題と同様に。


「世間知において」と限定しても。毀損されないよう賢明であれ、と示すことと、賢明でなかったから毀損された、と過去形において示すことは、全然違います。あまつさえ現実の犯罪を指して。毀損されたことの「原因」が毀損された側「にも」所在する、という発想が私には素でわからない。賢明でないことと毀損されることは因果関係を結ばない。結ばせてはならない。


まして――「世間知らず」であることとは。世間知らずの無知は何をされても世間知らずで無知であることの、それを示す行為の因果か。「世間知らず」は「無知」は「14歳」の代入項であるかも知れず、そして「知的障碍」の「メンヘラ」の「外国人」の代入項であることを私は知る。「賢明でなかったから毀損された」人は在り、そうした人を指してそのように言った人も居た。


「世間知において」。私は、人の賢明ならざることを憎むが、賢明ならざることにおいて毀損される人があることに、今なお慣れることはないし、その人を前にしたとき、何を示したらよいかわからない。少なくとも、基本的な躾の不徹底などとお花畑なことは言えない。躾の望むべくもない家族関係において地域社会においてどれほどの「賢明ならざる子供たち」が育っているか。バカは犯罪であると言い切れたらどれほど気が楽か。性犯罪やる38歳が在るならそれはバカである。そもそも。躾とは規律訓練のことであって世間知とは関係ない。あるいは軍人とは、規律訓練に長け世間知に足りない職業であるか。


現実の性犯罪に言及して、世間知と規範意識を同時に説く。同じ口で天下国家を説く。性犯罪の実相をろくに知らずに。規範意識で身が守れるわけでもなく、世間知で平衡が保てるわけでもない、いわんや天下国家など。

あと、米兵をかばって日本人である少女を貶めているという意見があるのもなんだかなあ。

そこまでこの記事に書いてあるの?米軍は悪くない!って書いてあるの?※1

この文章は、この事件を政治利用しようとしてる輩への牽制でしょ?

米兵をかばって日本人である少女を貶めているってどのあたりが?ここらへんも論理的に説明してくれよ。


「米兵をかばって日本人である少女を貶めている」のではなく。日米関係をかばって沖縄の少女を貶めている、という話です。沖縄には沖縄の事情があり、でも沖縄は日本だから、という現在の言辞にどれほどの欺瞞が含まれているか一目瞭然であるから、沖縄において基地問題は激越に紛糾する。沖縄の事情とは、所謂イデオロギー的なことが一切であるはずがない。そして。沖縄の事情に、繰り返される現実の性犯罪が、重ねられもすることは、少なくとも「俗情との結託」などではなく、外してもいない。沖縄の事情とはイデオロギーが一切ではまったくない。なお。時代錯誤な国士の理路においては、当該の記事のごとき主張を示す者は、右翼でも保守でもない。正しく指す言葉が昔からある。「売国奴」。