思考方法と、WEBのテキスト弊害仮説

一人で考えるとき、どんな風に考えるか。この方法が、十人十色で面白い。
一人で何かを考える時、みんなどうしてる?


この記事の筆者は、複数人で脳内会議してるようだ。自分はと言えば「脳内には主体一人だけ」であり、それが当然かと思い込んで居たので、衝撃を受けた*1


この記事についたコメントも面白い。
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これらの思考の方法が面白かったので、ちょっと自分の思考方法について考えてみた。もちろん、内容の根拠を主観に寄ってるので、あくまで一個人の妄想である事を記しておく。

言葉ベースの自分の思考方法

着想を土台に「考え」、それを土台にまた「考え」を進めることを、便宜的に「思考」として扱う。というのも、この考えを積み重ねる段階に、今回扱いたい問題があるからだ。

さて、その問題というのは、一旦「言葉(文章、音声)」に考えを変換する事で、思考に時間がかかるものだ。ここで自分の思考はこんな感じになる。

  1. 1、考える
  2. 2、言葉(テキスト、音声)に書き出し、一旦保存する
  3. 3、保存した言葉を読み込み、それを元に再び考える(1へ)

これを便宜的に「言葉ベースの思考」とする。


この「言葉ベースの思考」の速度が遅い。以前の「非言葉ベースの思考」より、また、他者の入力から出力までの時間より圧倒的に遅い。というか、考えていてまどろっこしい。

WEB偏重が原因ではないか

「言葉ベースの思考」になってしまった原因は何だろう。非言葉ベースの思考だった以前と比べ、現在との違いは何か。多分、「言葉」に関係した事柄である。これには思い当たる節がある。WEBだ。


自分がWEBを利用しはじめたのは13年前の西暦2000年前後、IMのチャットやホームページ作成のgeocitiesなどからWEBを使い始めた。生活環境の変化もあり、おそらくWEBを利用する頻度はだんだん増えているように思う。今もtwitterは日に何度も読んでいる(書き込むことは少ないが)。


WEBから入力される情報というと、ほとんどテキストである。これから意味を読み取るには、テキストを黙読し、脳内で音声に変換した後、意味として把握しているように思う*2。つまり音声(文章)を脳内でも用いているのだ。


おそらくここは飛躍になると思うが、脳内で言葉(音声)にする事が過度になり、自分の脳内で完結できる思考さえ、言葉(音声)に変換されているように思う。


では、言葉(音声)を介して思考すると、なぜ時間がかかるのか。唐突だが、思考を上手く言葉にできない事はないだろうか。言葉とは、人間同士で意思疎通を図るためのプロコトル(通信規約)をもったものであり、他者に伝えられるよう、意味が定義されている*3。思考を上手く言葉にできないのは、思考した内容を定義しかねている部分があるのではないだろうか*4。つまり思考は、言葉と比べ、より曖昧なのではないだろうか。また、考えを文章に変換する事が、思考に時間がかかる原因なのではないだろうか。

言葉を介さない思考

では思考には言葉を介さない(非言葉ベースの思考)のが最善かというと、そうとも限らない。非言葉ベースの思考は意味があやふやであり、明確な内容を記録しにくい。例えば理論立てて考えるには、考えを客観視して修正する必要があると思うが、曖昧なものはその検証作業が困難である。


その点で言えば、より定義が限定されており、完全に記憶(あるいは紙に書き出すなど記録)する事ができる言葉は、後の検証が容易である。このため道筋を失わないよう注意しつつ、思考を進める事ができる。

興味深い人

もし考えを文章化する事が、曖昧性を減らす変換(意味を限定させる変換)だとするなら、どんな思考方法をやっているのか想像できない人がいる。もうはてなから退会したかもしれないが、ブログ「24時間残念営業」のコンビニ店長だ。あの人の文章は、途中途中で寄り道しながら、最後まで読むとストーリーがきれいに繋がっており、あたかも店長の考えた道筋をトレースするようであった。思考と文章化が、ほぼ完全に同期しているようなイメージがある。


それからもう一人、finalventさん。極東ブログの記事を読んでみると、ちゃんと筋道だっている事が分かるのだけど、自分の思考ではどう足掻いても捻り出せないような文章だと感じる*5。この方はどんな思考をやってるのか。


さて、何とも言えない妄想記事になってしまったが、最初に挙げた記事と、その記事についたブックマークコメントが面白かったので考えてみた内容である。

*1:「脳内会議」自体は知っていたが、ネタとして考えていた

*2:音声に変換するのは、文字と比べより原始的な伝達手段だから、意味に変換しやすいのだろうか

*3:考えてみれば「他者」とは、別固体だけでなく、別時間の自分も含まれるだろう

*4:もちろん語彙の問題など、その他の要因もあろう

*5:並べるのも大変失礼なのだけど、この「sky-graphのメモ帳」の記事と読み比べてもらえば、おそらく意味が伝わるんじゃないだろうか