SKY NOTE

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これからの電池は液体!? MIT由来の企業が液体電池を開発

MIT(マサチューセッツ工科大学)をルーツとする24M Technologysという企業から、液体電池という新しいタイプの電池が研究開発されている。それによれば、液体で電力を蓄えるという電池を5年以内に実用化を目指すというものだ。

 EETimes:EVに電子をポンプで“給油”、液体電池がガソリン置き換えを狙う (1/2)
 http://eetimes.jp/ee/articles/1109/05/news089.html

開発目標は...
・蓄電量  :500Wh/kg(一般的なリチウムイオン充電池は100~300wh/kg)
・充放電回数:固体電池よりは遥かに多いという(充電の仕方そのものが違うため)
・コスト  :250ドル/kWh(自動車用)
       100ドル/kWh(蓄電用)

このやり方のいいところは、蓄電した液体を石油のように「給液」することで、電力を供給する事が出来る事だ。(充電時間の問題を解消できる)ちなみに石油のエネルギー密度は10kWh/kg程度だが、実際には、それを動力にするために60パーセントが熱としてなくなり、その上、ギアなどメカ変速を介すると、さらに28%減って、実質1.2kWh/kg(ガソリン車の場合)である。

従来の自動車と電気自動車の動力変換効率の比較

開発目標が達成されたとしても、2.4倍の開きがあるが、それでも十分な電力密度である。なぜならば、軽量素材による車の軽量化(1/2)と電力を90パーセント以上の効率で動力に変換するインホイールモーターの組み合わせから考えれば、電気モーターがエネルギーを無駄無く使い、車体の重量が半減すれば、2.4倍の差は実質1.2倍にまで抑えられるからである。つまり、この液体電池が5年以内に目標とおりの性能を達成し、その時に軽量素材で車体重量を半減させれば、大体石油の1.2倍程度の電液タンクで同じ距離が走れるのである。つまり、電気自動車の欠点である充電時間の問題と航続距離の問題を抜本的に解決してしまう技術となる。

 軽量素材
  広島大学:鉄のように強度のあるプラスチック
  http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20100616/1276631504

しかも開発目標のコストは、とても低い。恐らく高価な材料の使用が少なくて済むのだろう。そこから考えると、バッテリーのコストの問題も目標通りにできたのならば解決する。そして、この液体電池をエネルギー源とする電気自動車の到来が、結果としては、内燃機関による移動に終わりを告げるであろう。

日本は大体2500億リットルの石油を消費しているが、車には、その40パーセントの約1000億リットル、船舶や農業機械に使っているA重油は約300億リットル使っている。それがこの液体電池に置き変われば、日本の石油需要は1300億リットル減る事になり、半減する。さらにこの電液に充電する事で太陽光発電の余剰電力を吸収できる為、太陽光発電設備を増やした時に問題となる昼間の余剰電力、夜間に発電できない問題も、この液体電池があればクリアできる。つまり、自然エネルギーのムラの問題も一気に解決してしまうのだ。

自然エネルギーのムラ(以前つくった電力需給構造 画像をクリックすると拡大します)

最近、オーランチオキトリウムという藻から石油を作る実証実験の発表があったが、この電液との組み合わせで日本のエネルギーおよび、資源の自給率は大幅に上げられる可能性がある。つまり、動力は、この液体電池による電力でまかない、プラスチックや熱源はオーランチオキトリウムによるバイオ石油で調達すればいいのだ。さらに電力は、この電液を使えば、ムラを吸収できるので、自然エネルギーをどんどん開発していけばいいという事になる。そうなれば、放射能二酸化炭素もない安全な電力が安定して手に入る。

日本は石油に毎年10兆円程度つかっている。それが、この液体電池とオーランチオキトリウムによるバイオ石油、そして、液体電池に電力を供給する自然エネルギーの組み合わせで、この10兆円を内需産業に組み換える事が可能となる。そうなれば、国内に10兆円規模の市場が生まれる事になる。そうなれば、外国から物資を買わなくていい分、外国と国際競争をする必要はなくなり、日本は国際競争をしなくても自給自足でやっていける事になる。ちなみに鉄は既に国内需要を自給できるだけのスクラップ鉄が毎年3400万トン程度でるため、この液体電池とオーランチオキトリウムが上手く開発できると、日本はエネルギー(石油や電気)と資源(プラスチックや鉄)を自給できる事になり、結果として、外需産業がなくても生きて行ける国になる。これは高齢化が進んで国際競争に負け続けている日本にとっては朗報である。なぜなら、競走しなくても、こういった技術を完成させれば必要物資が調達できるのだから。この液体電池は素晴らしい。あとは休耕田100万ヘクタールで飼料米などを生産して食糧自給率を上げればいいのだ。国民が生きていくのに必要なものは、大抵国内で自給できる事になる。しかも環境汚染のないクリーンな形でそれが実現できるのだ。そうする事で日本は、この先も生きていける。今回の液体電池には、そういう事が出来るポテンシャルがある。(石油需要を半減させてしまうパワーを持っている)これと並行して炭素税や排出権と組み合わせて、こういう技術の普及促進を図れば、古い技術(原子力内燃機関)によるオールドエコノミーは衰退し、ニューエコノミー(自然エネルギー・電気モーター)への移行が可能となるだろう。既に日本は4兆円規模の石油関連の税金を徴収しているのだから、この財源を道路など既に充足したインフラに使わずにエネルギーに使うべきなのだ。

電気:自然エネルギー
 JFE、タワー型集光型太陽光発電システムの開発に成功
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20110808/1312732941

石油:バイオ石油
 仙台で下水から石油を作る共同研究が開始
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20110906/1315237487
 
食料
 驚異的な飼料用米が日本の農業を換えるのでは
 http://www.yamabiko2000.com/modules/wordpress/index.php?p=230