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アルミイオン二次電池、60秒で充電、充放電回数7500回、低コスト、安全

スタンフォード大学がアルミイオン二次電池においてブレークスルーがあったと発表した。負極にアルミ箔、正極にグラファイト、電解液にイオン流体を用いた二次電池だ。

内容を見ると凄いのは、安い、早い、安全、長持ち、フレキシブルとなかなか凄い。

  • New aluminium-ion battery from Stanford

1.安い:安いアルミが使える

  • 高価なリチウムではなくアルミが使えるので、電池が低コストに生産できる。これは、電気自動車の低コスト化に寄与しそうだ。大量に電池を使う循環型社会の土台になりうるコストの低さだ。原材料がリチウムに比べて潤沢にあるというのがいい。

2.早い:僅か60秒で充電

  • 充電時間は、従来のリチウムイオンバッテリーが数時間なのに対し、僅か1分と短い。これにより、電気自動車を急速充電したり、自然エネルギーのムラのある電力を素早く充電したりすることが出来る。なにより、モバイル製品が1分で充電できるのは便利だ。1分だったら自動販売機みたいな機械に100円入れてUSB 3.1ポートをさして充電なんて事も出来そうだ。

3.長い:サイクル寿命:7500回(リチウムイオン電池の500回の15倍)

  • 従来のアルミイオン二次電池は、サイクル寿命が100回程度と短く、充放電を繰り返すと出力電圧が急速に下がってしまっていた。しかし、今回のアルミイオン電池は、7500回充放電しても出力電圧が減らないという。これによって、電気の安い時間帯に電気を貯めて使うということも出来そうだ。従来はリチウムイオン電池が高価で短寿命(500回程度)であったので、あまりメリットがなかったが、このアルミ電池は原料が安い上に長寿命なのでメリットが生じるだろう。10年以上つかい続けられるホームバッテリーが出来るだろう。

4.安全:燃えない

  • 従来のリチウムイオン電池は、空気に触れると激しく反応するので、衝撃などで破損すると火災の危険があった。しかし、アルミは安定しているので、火災の心配はない。これは特にウェラブル機器など、体につける製品としては、こういった安全性は重要だ。電気自動車でも重要で追突されても、火災の心配がない。

5.柔らかい

  • 従来のリチウム電池は、空気に触れると燃えてしまうので折り曲げるなどは危険で出来なかった。しかし、このアルミイオン電池は折り曲げても使用可能だという。こういうことが出来れば、バッテリーの形状に支配されない自由なデザインのウェアラブル機器が作れるだろう。

この素晴らしい電池、すぐにでも量産してもらいたいところだが、現時点では出力電圧が2Vと低い。しかし、「適切な正極材料を選ぶことで高くすることが可能」(Dai氏)との事。また、既存のリチウムイオンバッテリーやアルカリ電池に置き換え可能であると発表していることから、容量的にも、それらの電池と遜色ないと思われる。容量的には現状では、リチウム電池の1/3程度だが、クーロン効率が95%以上と高いことから、リチウム電池並みになるポテンシャルがあるという。自分が注目しているのは、電気自動車の電池だ。電池が高くて普及が遅れているが、安くなれば、軽量素材と相まって、爆発的に普及する可能性が生じる。そして、それを使って再生可能エネルギーを普及させれば、循環型社会が出来る。また、モバイル機器ではUSB3.1との連携も見逃せない、1分で充電できることや、高い耐久寿命、低価格、安全と従来のリチウムイオン電池の欠点のほぼすべてを払拭していることから、次世代の電池と言っても過言ではない性能だ。早く電圧が低いという欠点を改善して、量産して欲しい電池だ。もしこの電池が普及すれば、危険な核発電や石油などの有限な化石エネルギーを使用する時代は、終わりを告げるだろう。なぜなら、自然エネルギーの欠点である発電のムラを、この電池の安さと性能がカバーしてくれるからだ。そういう意味で、出力電圧が低いという欠点をこのアルミイオン電池が克服すれば、人類は、長期にわたって生存可能な土台となる技術を手に入れたと言っても過言ではない。