熊本県で大きな地震が起きました。2016年4月16日11時現在、震度6以上の地震が5回も起きました。
4月14日 21時26分 M6.5 震度7 熊本県熊本地方
4月14日 22時7分 M5.7 震度6- 熊本県熊本地方
4月15日 0時3分 M6.4 震度6+ 熊本県熊本地方
4月16日 1時25分 M7.3 震度6+ 熊本県熊本地方
4月16日 1時45分 M6.0 震度6- 熊本県熊本地方
特徴的なのは、震度6以上の地震が連発して起きている点です。最初の大きな地震は、14日の21時26分に始まり、それから、2時間37分の間に震度6以上の地震が3回起きました。その次の地震は25時間22分後の4月16日1時25分から20分の間に震度6クラスの地震が2回も起きています。また、この地震は、前日の地震よりも大きく、気象庁はこちらが本震であったと変更しています。
1.もっと大きな地震が起きるか?
- 東日本大震災の事例を考えると、2011年3月9日にM7.2の地震が起き、当時、この地震が本震であるとされていましたが、その後、マグニチュード3〜5の群発地震が続き、2日後の3月11日、東日本大震災(M9.0)が起きて、こちらが本震であったと改められております。そこから考えると、今回の地震はM7.3の地震が起きてからずっと、群発地震が続いており、予断を許さない状況です。ですので、より大きなM8クラスの地震が起きる事もありえると考えるべきでしょう。断層帯で一気に地震が発生すれば、M8クラスもあり得るとNHKで解説員が説明していた。
- 311当時の地震の記録(群発地震が続いた後、大きな地震が来ている)
- http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20111104/1320335246
2.それはどこでおきそうか?
- 現在、起きている地震の震源の位置が断層帯にそって東に流れております。しかしながら、その規則通りに流れるかどうかは分かりません。分かっているのは、この地震が断層にそって起きている事です。そう考えれば、断層帯の西方向の部分にも目を配る必要があると考えられます。
- 熊本地震の震源域と川内原発の位置
- 引用:http://hukugyou-toraripi.seesaa.net/article/409541304.html
- 中央構造線の画像を引用し、今回の地震の震源域と原発の位置を加えた。
3.川内原発はどうなのか?
- 断層帯の西方向を見ると、川内原発の稼働中の原発が二基あります。この原発の耐震強度は二基とも620ガルですが、今回の地震の最大揺れ加速度は熊本県熊本地方で1580ガル(震度7)でした。もし、この揺れが川内原発を直撃していたら、耐震強度が足りない原発はどうなっていたか分かりません。ですので、即刻停止するべきだと考えられるのですが、これを統括している丸川珠代環境相は…
- と述べ、周辺で原発を破壊する可能性のある620ガル以上の地震が起きているのにも関わらず、原発を停止させると言う安全上、当たり前の判断をせず、また、その判断を安倍首相も了承すると言う理解に苦しむ意思決定が行われています。では、もし、万が一、原発に直撃したらどうなるのか?
- 加圧水型の原発がどのように壊れる可能性があるのかという事を考えてみますと、まず、加圧水型で懸念されるのは、その配管の多さです。配管は比較的、振動に弱い設備なので、加圧水型は、それが沸騰水型よりも遥かに多い事が問題になります。
- 加圧水型原子炉
- それについて以前、小林 圭二氏(京都大学原子炉実験所講師:2003年、定年退官)が大飯原発再稼働の際に警告をしているので、それを要約してみます。加圧水型は、配管が地震などで破断すると、そこに110気圧の高圧の水が流れているので、沸騰水型(70気圧)よりも短期間のうちに水が抜け、対処する時間があまりないとの事。また、加圧水型は格納容器内で水素爆発をする可能性があり、それが大規模であれば、格納容器が破損し、大量の放射性物質が漏れ出す可能性があるそうです。実際、スリーマイル島の原発事故の原発は加圧水型であり、その時は爆発が小規模であったため、格納容器は壊れずに済んだとの事でした。そういう意味で、加圧水型は沸騰水型よりも過酷事故になりやすいと言う指摘をされていた。
- 小林圭二さん(元京大原子炉実験所)のお話@おおい町1/2
- リンク:8分10秒から再生
- 川内原発
- 円筒状の建物が格納容器そのものです。
- このように原発は予断を許さない状態ですが、それを制御する指導者が安全上の判断がきちんと出来ていない状態では、とにかく、原発に巨大地震の揺れが来ない事を天に祈るしかないという状態です。川内原発は他にも問題があります。格納容器の内圧が上がった時に蒸気を逃がすベント弁にフィルタがなく、過酷事故時には放射性物質がダダ漏れになる事、免震重要棟がなく、グレードが1ランク低い司令塔しかないなど安全上の不備があります。このような原発を安全対策を後回しにして稼働許可を出した原子力規制委員会の責任もまた問われるべきでしょうし、それを未だに止めていない、丸川環境省、その判断を了承した安倍首相の責任も厳しく問う必要があるでしょう。最悪の場合、西日本全域が放射能汚染される危険が生じるのですから、その責任は厳しく問うべきだと考えます。
4.この地震が今後、南海トラフ地震に発展する可能性はあるのか?
- 最新の研究では、それは九州の東の沖の日向灘にあるとの事です。日向灘で大きな地震が起こると、隣にある断層帯を刺激して、南海トラフ地震に発展する恐れがあるそうです。というわけで、この場合、今後の震源の移動が日向灘方向に向かうかどうかを注視するべきだと思います。
まとめ
- 震源の西方向には原発、東方向には南海トラフと、前門のトラ後門の狼という形になっていますが、それらはまだ、起きてはいません。今するべきは、足りていないと言われる水と食料を速やかに供給し、政府は原発を停止するべきでしょう。そうすると、後門の狼は消えて不安のひとつが減り、被災者は水と食料で一息つける。以前の日本では当たり前にされていた事ですが、今の安倍政権は、そういった事と反対の事をする。原発は停止しない、震度7の地震が起きたのにも関わらず、激甚災害への指定も遅れるなど、色々とおかしな政権であり、こういった政権の継続は、今回の地震を見ると、非常に不安でならない。有権者は選挙で、このような非常識な政権を退陣させ、まともな災害対策のできる政権に移行するべきだと思う。現時点で、安倍政権は最低限できる事すらやっていない感がある。事前の備えこそ、災害対策の基本だが、地震の時に原発を止めるという基本的な備えを怠る安倍政権は、地震国日本の政権としてふさわしくないと言わざる終えない。