中村伸郎さんのこと

slowlearner_m2010-12-23



もちろん面識があるわけでは、ありません。
でも、おそらく一番好きな俳優と言われたら、中村さんの名前をあげると思います。
様々な映画の、特に小津安二郎監督作品の中での中村さんは印象的ですが、すぐに思い出されのは、晩年の舞台の上で見た中村さんの姿です。
それは、『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』や『ドラキュラ伯爵の秋』など別役実作品での姿であり、ジャンジャンで見たイヨネスコの『授業』の中村さんであり、後年『更地』の初演では稽古場の助手として勉強させていただいた太田省吾さんが書いた『棲家』『午後の光』の中村さんの姿です。
最後に見たのは、太田さんの『木を揺らす』のはずです。

円の子供ステージで別役さんの『赤ずきんちゃんの森の狼のクリスマス』で老狼を演じる中村さんが登場すると子供たちが爆笑するのには驚かされました。

如月小春さんの著者は、中村さんの芝居の核心に迫りつつ、岸田國士から三島由紀夫から別役実に至る演劇を辿り直そうとするもので、とても実践的であり、興味深い本だと思います。

まずは、戯曲を読み返したくなりました。
岸田國士の戯曲集を2冊。ありったけの別役さんの戯曲を積み上げてはみたのですが、食わず嫌いで未読だった三島由紀夫の『朱雀家の滅亡』を読むことにします。