「Quietworksさんが表現規制問題でいいことを言ったのですが…」の補足

児童ポルノ法改悪 - 最大多数派は“推進派”ではなく“事情を知らない賛成派”であるということ

http://d.hatena.ne.jp/Quietworks/20081203/1228236409

id:Quietworksさんから、私の記事に対するトラックバックをいただきました。

本当にありがとうございます。

この記事に書いてある、推進派と賛成派を分けて考えるという考えは参考になりました。

この点は、規制反対派でも誤解されていることなのではないかと思います。

前回の記事で「一般人」とおっしゃったので、政治家は含まれないものだと

誤解してしまったことから、かえって自説を強化する形となってしまったようです。

今回の記事は、私が誤解していたところについても補足してあり、参考になります。


そして、私の言う「日本が乗っ取られる!!」ロジックを使ったらどうかという考えに対する反論もあります。

国籍法改正の事例からわかるように、紙として顕在化するFAXが電話やメールよりも効果的なのは間違いないようですが、問題は主張の内容です。

主張は相手を選びます。

「日本が乗っ取られる!!」といった主張は、普段から外国人による侵略に不安を抱いている層には一定の訴求力があります。

国籍法や人権擁護法と異なり児童ポルノ法が外国人による侵略と感覚的に結び付くのかという疑問を考慮しても、ある程度の訴求力はあるでしょう。

しかし、大多数を占めるであろう規制《賛成》派のように“児童の権利の保護”という題目に感覚的に賛成している層からは、「日本が乗っ取られる!!」といった主張は聞き入れられるどころか、逆に不信感を招くことでしょう。

規制《反対》派が“児童の権利の保護に反対している”だけではなく“人種差別や民族差別も推進している”といった誤解が広まれば、規制《賛成》派は規制《推進》派へと先鋭化し、規制《慎重》派として取り込むことは不可能になるでしょう。

国籍法改正に反対する意見の中には、「日本が乗っ取られる!!」といった主張だけではなく、人身売買の温床になって児童の搾取に繋がるのではないかといった危惧もあったはずです。

必ずしも民族主義的ではない議員にまで慎重論が広まったとすれば、寧ろ“児童の搾取に繋がるのではないかといった危惧”が伝わったことが大きいのではないでしょうか。

繰り返しますが、主張は相手を選びます。

相手の感覚に合わない主張は、いくら大声で繰り返し叫んでも聞き入れられません。

確かにおっしゃるとおりですね。主張は相手を選ぶということも、相手の感覚に合わない主張は

受け入れられ難く、場合によっては逆効果になってしまう場合もあるということは正しいと思います。


私も誰これ構わずに「日本が乗っ取られる!!」と主張することにより

規制反対派を増やしていこうとしたわけではなく、保守派、Quietworksさんのおっしゃるところの

「普段から外国人による侵略に不安を抱いている層」に対して集中的にアピールすることによって、

児童ポルノ法改定を阻止しようというのが私の言ったことの意図です。

確かに、国籍法改定案に反対する意見には人身売買の温床になるといった意見もありますが、*1

id:pr3さんの記事のコメント欄経由で知ったのですが、国籍法問題のまとめwikiに、

「人身売買・児童買春などの悪質な犯罪に利用される可能性が高い。」*2と書かれています。

おそらくは、ネット上の反対派が吹き込んだのでしょう。



松浦大悟議員は、国籍法改定反対論に対し、

実は、国会議員のもとには、毎日のように国籍法改正反対派からのメールやFAXが届いているのですが、わたしが受け取ったそれらの意見のなかに、外国人に対する偏見に基づくものや、排外主義的な傾向のあるものが見られることに、大変心を痛めています。

http://www.dai5.jp/cgi/blog2/blog.cgi/permalink/20081202232743

と批判していますが、川田龍平議員は国籍法改定案に批判的です。

川田氏は「外国人に対する偏見や、排外主義的なもの」とは決して相容れないように思うのですが、

いったいどういうことでしょうかね… 不思議でしかたがありません。


国籍法ロジックは反対派を増やした一方で、推進派や一部の賛成派を激怒させ、

先鋭化させたことも確かでしょうね… FAXを大量に送りつけられたある議員が

被害届を提出したという話も聞きましたし・・・

ネット右翼ネットイナゴ)は後先考えないでしょうから、こういう弊害も

起きてしまったのでしょう。


保守派が反対しているので、今後検討されるであろう二重国籍導入も事実上

不可能になると思います。 保守派が騒げばどんな法律も阻止できるのは、

高い確率で間違いないとは思います。

以前伝えられなかったことの補足

また、以前の記事でうまく伝えきれなかったことについて、補足したいと思います。

まず、どう「児童ポルノ改正案が通ると日本が乗っ取られる!!」というロジックを確立させようと

思っていた(今も完全に捨てたわけではない)のかを述べなければならないと思います。


単純所持規制の問題点については、Quietworksさんもご存知だと思いますが、

別件逮捕や冤罪の温床になるとの指摘があります。

ただ、逮捕する権限があるのは必ずしも司法警察だけとは限りません。

現行犯逮捕は、刑事訴訟法上要件を満たせば誰でも可能です! ということは、

児童ポルノ所持をでっちあげて、その現場を取り押さえることで、誰でもいとも簡単に

ある人物を性犯罪者に仕立て上げることができるのです。

これを利用すれば、北朝鮮工作員北朝鮮に都合の悪い人物を抹殺することもできるのです。

現行犯逮捕は国籍も前科も一切関係なくすることができます。

痴漢冤罪の事例からも分かるように、一度性犯罪者の容疑者になったら永久に社会的制裁を

受け続けることになり、無罪になったとしても名誉回復は極めて困難です。


漫画やアニメがどう、「売国」「反日」に結び付くかというと、

創作物規制すれば、中国や韓国にまるごと漫画やアニメなど、日本の誇るべきの文化を

まるごと分捕られるなどと主張すれば、「売国」「反日」という考えに結び付くのではないかと思います。

現に中国や韓国には日本のパクリものが山ほどありますから、表現規制によって

日本の文化が壊滅すれば、たちまち中国や韓国に元の作品まで乗っ取られるでしょう。


以上、児童ポルノ法が外国人による侵略と感覚的に結び付くのかという疑問に対する回答とさせていただきます。


あと個人的に、コミックマーケット準備会は表現規制問題で

政治に積極的に介入すべきだと思うのですが、どうでしょうか?

*1:田中康夫氏や川田龍平氏ら、リベラルよりの一部の国会議員によって指摘されたようです。

*2:http://www19.atwiki.jp/kokuseki/pages/52.html