今日の一語り

しがない勤め人、大津 和行(かず)、のキーボードから紡ぎ出される日々語り

特殊であれ、普通であれ。矛盾した二つの押し付け

9月11日の一語りの再掲です。

ベビーブーム世代である。えらく子どもの多い時期に生まれたんだ。
受験戦争が本当に戦争的だった時代だ。今じゃ大したことない学校や今は存在しない学校でさえ入るのが難しかったりした時代だ。
我が親はそこでえらく僕に期待をし、期待なんて希望的なものではなく、押し付けだった。いい学校に入らなきゃ愛さないぞという親の愛を人質にした子どもへの押し付け。
今では冗談じゃないと思う押し付けでも、なんとかそれに添おうと努力し続けた。

何か覚えるために手の甲を尖った鉛筆でぶっ刺しながら暗記している小学生なんて異様そのものであるが、それが僕だった。

当時はあまり一般的ではなかった中学受験なんかもしたが、下手な私立に行くくらいなら公立へ行けという意向のもとに全部落ちた。鉛筆刺しながら勉強した上で落ちたからトラウマにはなった。それからは負けず嫌いで頑張った。

我が親は自分の学校レベルは越せと押し付けてきたと思う。そのための金は惜しまない。ベビーブーム世代で受験が本当に厳しい中の厳しい押し付けだったが、浪人とかもしたがなんとか、クリアはした。

ただね、トンビの子はトンビであるからして、鷹を目指そうとしたら、きっと何処か欠落する。無理したら何かが欠けるのは道理だ。
僕がかなりの癇癪持ちなのだって、うまくいかなかったら必要以上に固執して頭にきてしまうのだってこの時の頑張りすぎが影響していないとは思えないのだよ。また、学生時期に適当に遊んでいなかったからうまくコミュニケーションできなくて、悩んだりもした。もてない男の心の語り http://www.motenai.net/ という私のヒットHPはそんな悩みの裏返しで生じたものだ。

今はまっている釣りも、釣れない時の歯噛みっぷりはちょっとお見せできないが、ま、そんなことに起因するものだ。

いわば受験戦争を勝ち抜けという押し付けは、人より秀でろ、特殊であれという押し付けである。

そこから、いい歳になると、なんでお前は結婚できない、普通になれないんだという、普通であれという押し付けに変わってきた。

無理だよね、特殊たれと言われ続けて、鉛筆で手の甲刺してきたのが急に普通であれって。

今は妻がいる。素晴らしい妻だと思う。僕の癇癪も結婚前に露見していたが、まぁ、ええわと思ったそうだ。結婚して付き合い続けてくれているし、癇癪玉が破裂しかねない釣りにも付き合ってくれている。

でも親の普通であれの欲求には応えていないだろう。親が結婚したら普通にいていいと思っている子どももいないからだ。当然持っているはずの家だって持っていない。
まぁ私の僻み混じりの推測でもあるが、僻みっぽいのは今や隠す必要もなかろう。

親が今何を求めているかは知らない。親がスポンサーであった頃は押し付けも受けねばならないだろうが、今は自分の稼ぎで食べている。押し付けはもうごめんだと押し付けを受けないよう関係を絶ったから。妻との結婚をやめさせようという押し付けは本当に参ったから。

子の親ではないからよく分からないが、ものの本では親の欲求というのはアンビバレントな、二律背反性を持つらしい。いたって当然だったのかもしれないが、受けた身にとっては疲れたよ。