タリオン

2011 #16
第258回沖縄皮膚科勉強会
第10回アレルギー疾患勉強会 田辺三菱

Hotel Nikko Naha Grand Castle

【特別講演】

知らないと恥ずかしい外用療法のピットフォール
◎ 江藤隆史先生(東京逓信病院皮膚科部長)



外用ステロイドで起こりうる副作用は?
① 顔が丸くなる
② 骨がもろくなる
③ 光にあたると色素沈着をおこす
④ 皮膚が象のように硬くなる


①はおこることがある。
それ以外はない。


色素沈着は、中途半端なステロイド薬の使用が原因。
皮膚炎が抑えきれず、皮膚の破壊が進み苔癬化(たいせんか)する。
家が火事なのに、チョロチョロと水をかけているようなもの。


finger-tip unit 
1FTU=ステロイド外用剤を人差し指の先端から第一関節までの量。
手のひら2枚分の塗布量に相当する。


プロトピック
中〜強のステロイドに相当。
かゆみは徐々に改善される。
正常な皮膚には吸収されない。炎症のある部位にのみ吸収される特徴がある。
ステロイド薬で改善後、連日→隔日→週1に減量していく。


http://www.kyudai-derm.org/atopy/openlec/perform2.html#


混合について
酸性 (PH5前後)のウレパール、ヒルドイドソフトは、ビタミンD3製剤と混合不適
塩基性(PH8前後)のザーネは、デルモベート、リンデロン、ロコイドと混合不適


質疑応答
Q.ステロイドのやめ時は?
A.一生使う。やめるのは、サッカーのロスタイムで、守りに入って点を取られるようなもの。


Q.リンデロンVの混合について話はあったが、リンデロンVGは?
A.リンデロンVGは使わない。少量のG(ゲンタシン)が効くとは思わない。


Q.プロトピックが有効と思われるが、刺激があって嫌という患者がいる。
A.豆粒程度のほんの少しの量から始めてみる。

プラザキサ

半世紀にわたるワルファリン時代に終止符?
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1102/1102055.html



約50年ぶりとなる新しい抗凝固薬としてトロンビン阻害薬ダビガトランが
今年(2011年)1月、申請から10カ月の短期間で製造販売承認を得た。


ワルファリンが肝臓で合成されるビタミンK依存性の凝固因子の合成を
阻害することによって間接的にトロンビン作用を阻害するのに対し
トロンビン阻害薬は直接的にトロンビンを阻害するいわば「分子標的薬」といえる。


したがって
(1)ビタミンKの影響を受けるワルファリンでは
   納豆や緑黄色野菜などの摂取制限があるが、トロンビン阻害薬では食事制限がない
(2)ワルファリンは肝臓での代謝酵素の影響は受けるが
   トロンビン阻害薬は受けないため薬剤相互作用がほとんどない
(3)ワルファリンでは薬効に個体差や変動があるが、トロンビン阻害薬では
   一定の効果が個人差なく発揮されるためモニターの必要性がない
という利点が生じる。
さらに,抗凝固作用が可逆的であるため,手術や内視鏡の前後の調整が行いやすくなる。