C&Y 地球最強姉妹キャンディ 大怪盗をやっつけろ!

山本弘が娘のために書いたという一作が、カドカワの低学年向けのブランドから単行本化。

児童向けの話……だと思うんですが、実に山本弘です。


登場するキャラクター。
特に、主人公の知絵と夕姫はこれでもかと山本キャラクターの造詣です。
姉の知絵は天才で、内向的うじうじ型。
フェブラリーの負の部分とか*1、初期の守崎麻耶などに近い感じ。
妹の夕姫は言うなれば最強の野生児。現代社会の建前や矛盾をバカバカしいと思う子供。
こちらも、流石に小学生。ここまで裏がなく天然なのは例を見ませんが*2、かなたや美葉に通じます。
この2人が、両親の再婚で姉妹になる。という、名作の普遍のテーマといえば普遍のテーマ、現代っぽいといえば現代っぽい、そんな感じの作品です。


その他の登場人物も、敵役になる怪盗アラジン三世もシュヴァルツシュターも三人組*3も、それぞれに山本キャラらしい感じよーく出ています。
こんかいはサブタイトルが「大怪盗をやっつけろ!」で、敵は怪盗になるわけですが。
二人の怪盗はそれぞれ、「盗みはすれども、人を傷つけない」という性格なので、真の意味での悪人らしい悪人ではありません。そーいう意味で、気持ちのいいハッピーエンドになっています。


僕は、小学生のころに読んだとあるジュブナイルがずっと記憶に残っていて*4、本読みにとってはそういう体験は大事なんだと思います。
この本が、今の子供の、そういう一冊になればいいなぁ。

*1:知絵はフェブラリーほど表向きを取り繕えない。

*2:裏がまったくないという意味では、キャレリンが思いつくのですが。むしろアレはまったくなさすぎで困っちゃいます(笑)。

*3:当然ながら、女性リーダー+男2人という、いわゆる三悪の組み合わせですが。そのパロディあるところのグランディス一味のイメージもあります。

*4:この本は随分と昔に絶版になっていて、長らく探し続けていたんですが近年、ようやく一冊探し当てて入手しました。