ヴァニティ・エンジェル

流石の稲葉。
稲葉義明トーキョーN◎VAリプレイ。「ビューティフルデイ」に続く2冊目。

「神殺し The Slayers of God」と表題作「ヴァニティ・エンジェル」の二篇収録。


トーキョーN◎VAは、分類上はいわゆるサイバーパンクと呼ばれるジャンルに属することが多いが、今回はバサラやアヤカシなどに表現されるオカルトサイドの物語になっている。


サイバーパンクというジャンルにおいては、メカやテクノロジーで発展した世界を描いている「メタルヘッド」や「サイバーパンク2.0.2.0.」などが正統派だが。
TRPGにおいては、魔術などと共存している「トーキョーN◎VA」や「シャドウラン」の方が、人気が高い。
もともとサイバーパンクというジャンルが、メカやテクノロジーの世界を通じて、精神性へ追求が向くことが多い。*1
これは物語の文法として、非精神的なモノの先に精神的なモノを見つけようという構成になっているためだが。
TRPGのセッションで、そこまでを求めるのは非常に難しい。
そこで、わかりやすい精神的なものの象徴として、魔術などが登場している物が好まれるのだと思われる。


今回は、聖遺物、天使や悪魔、妖怪と言った。
テクノロジーで整然と整えられた世界からは理解されない、オカルトな者たちがアンダーグラウンドで構成している社会を舞台に物語りは描かれている。
そのため、物語のテイストとしてはいっそ「妖魔夜行」とかに近いのかとも思われる。
書き方次第では、どうとでも転ぶこの危うい作品を、稲葉義明はクールでエッジな「トーキョーN◎VA」の筆致で描ききっている。


流石、としか言いようがないよなぁ……

理系の人々(2)

気付けば発売されていた、“オタリーマン”よしたにの「理系の人々」第2巻。
イエローに続いて、今度はグリーンか。*1

理系の人々 2

理系の人々 2

やっぱり、個人的には「オタリーマン」よりも「理系の人々」のほうが断然面白いなぁ。


この人。
オタリーマンなんて言われているけど。
確かに、根はオタク気質かも知れないけど、ことリアルタイムのオタク文化の知識とかは皆無だしなぁ。
オタクを冠に作品を書いても、違和感が募るんだよね。
ダメ人間日記、というのならまだ納得が行くんだけど。
その点、801ちゃんのちべくんなんかは、これでもかとオタク要素満載なんだケド。*2


その点、「理系の人々」は安心して楽しめる。
僕も理系のハシクレとして、「あーあー、あるある」と納得することもたくさん。
もっとも理系ネタのシェアって、どの程度あるのか知りませんけど(苦笑)。


ただ。
時々、「何故、それを知らない!?」と思うときもある。


ちなみに六角レンチは、L字型で力が強くかけられるから使われているワケじゃなくて*3、プラスやマイナスのネジ穴だと、回転させるのにかかる力の方向と垂直になってネジ穴が切れやすいので、分散して切れにくい六角形になっているハズです。

*1:ホワイトバック系は、氾濫しすぎて陳腐化してますしね。いっそ「できる」シリーズとか「10日でおぼえる」シリーズとかのデザインをパクればいいのに、とか思うんですけどね(笑)。

*2:801ちゃんの、タイトル一つに込められているネタ満載度は尋常じゃない。

*3:L字型のプラスドライバーとかもある。六角レンチのオプション的な扱いになることが多いけど。