随分とたまってる読了作品からランダムで選んでいるせいか、読了から1ヶ月以上たってから感想を書き始めるという駄目っぽい状態が続いております。
……最新作品から書いていった方がタイムリーな話題になるとは思うんですが、その方がいいんでしょうかね?
サンダーガール 3 / イラスト:片瀬優 / 電撃文庫
- 作者: 鈴木鈴,片瀬優
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/08
- メディア: 文庫
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鈴木鈴の最新シリーズも3作目。
略称が「サンダガ」になるところが何とも言えず素敵なシリーズです(何
敵対組織の中心人物の正体がはっきりとして、そやつと対決する話。
メイのぶうたらモードが過ぎて、メイとタケミカヅチがいい感じになったおかげか随分読み易かった。
主人公らしい主人公になった感じで、未熟ながらしっかりした見せ場があって大分心象が良くなったよ。
一方で、ナナミの過去話と躊躇・困惑などもそれなりに書けていて、シリーズとして安定してきた感がある。
今回に関しては、メイ・マナ・ナナミ3人の友情がなかなかよろしかった。まあ、マナがあそこまで心配するのは、やや唐突過ぎた感はありましたけどね。
とりあえず、今まで通り強いインパクトや個性があるわけじゃないけど、既存の材料を使って無難な作品に仕上げてくるシリーズという印象は3巻目でも健在。
メイのやだやだ状態を過ぎたおかげで、イライラ感が少ないので個人的には上向きなシリーズではある。
聖遺の天使 / 双葉文庫
- 作者: 三雲岳斗
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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三雲岳斗の純正ミステリ小説。
以前に単行本で出た作品の文庫落ちなのかな?
聖遺物を巡って起こる奇妙な事件をレオナルド・ダ・ヴィンチが解決する話。
歴史上の人物を登場人物に、時代設定もちゃんと合わせて作ってあるところは三雲さんらしいと言えば三雲さんらしい。意外とちゃんとした作りだった。
ミステリとしては、探偵役のダ・ヴィンチはあっさりと真相を看破してしまい、読者はワトソン役の視点で事件を検討することになる。
しかし、真相を看破したダ・ヴィンチの論理や推理の展開がかなり飛躍しているので、読者としては「なるほど」と思うよりも「ハイハイ、『神の視点』に立った探偵役によるご都合主義的万能推理ね」と思ってしまう。
ダイナミックな仕掛けによる「磔の理由」までならまだしも、「天使」の正体まで見通すのはさすがに根拠が足りないと思うし、アクロバットな推理過ぎる気がする。
それと、あんなダイナミックな仕掛けを使ったなら、もっとあからさまな痕跡が残っててもおかしくないと思うんだけどなぁ。住人に見付かってもおかしくないだろうし。
さすがに万能ダ・ヴィンチさん以外に気付かれないってのはどうなんだろうね。
ミステリとして体裁は整っているし、謎・トリックなどもそれなりにちゃんとしてるんだけど、「推理」や「論理」に妥当性や整合性に欠けたんじゃないかぁ、というのが正直なところ。
もうちょっと凡人でも納得できるだけの、整然とした論理展開をお願いします、って感じの作品でした。
出来は悪くないけど、良くも悪くもラノベ作家らしさの出てこない、ある程度まとまったミステリの凡作って印象だなぁ。
もうちょっと突き抜けてくれたほうが個人的には好み。