臓器農場

最近は特別なニュースとして報道されずに、少しずつ一般的になった脳死患者からの臓器移植。
その中で最近議論されているのが、現在は禁止されている子供の脳死患者からの臓器移植。
先天性の病気などで臓器移植しか治療方法が無いにも関わらず、子供からの臓器移植が禁止されているために海外に行くしか生きる道がないために、知人等が募金活動をしているニュースを時々見かける。
臓器移植には様々な制約があり、大人の臓器を子供に移植するのは難しく、日本では子供の臓器は手に入らないために海外に行くしかない現状で、どうしても子供を救いたい親や周りの人の気持ちは何となく想像できるし、その中の人が、できれば日本でもできる方がいいと考えるのはある意味当然だと思う。
しかし、日本ではまだまだ脳死を人の死とする考え方が一般的ではない。
判断力のある大人が自分の意思表示として臓器移植カードに記入し、自分の署名をしていないと脳死移植は行われない現在の形は今の世の中で脳死移植を行ういい形だと思う。
これが子供の脳死移植となるとどうなるのか?
現在は18歳以下の子供には法律的にも慣習上も基本的に自己判断を認めていない。
その中で臓器提供の判断をするのが誰なのか?
普通は親なのであろうが子供の死を目の前にした親が判断できる事柄なのか。
人の死に関して人それぞれいろんな考え方があるし、誰だって自分の愛する人が死んだら悲しい。
できれば静かにその人を見送ってあげたいと思うだろう。
その一方、臓器移植でしか生き続ける事ができない人が世の中にいて移植を心待ちにしている。
脳死臓器移植は前提として人の死があって始めて、そこから始まる問題でとてもデリケートな問題だから、十分な議論をして人々のコンセンサスを作っていく努力を続ける必要はある思う。
そんな事を思いながら読んでいました。
皆さんも読んでみてどんな感想を持ったか聞いてみたいですね。

臓器農場 (新潮文庫)

臓器農場 (新潮文庫)