Book Diary このページをアンテナに追加 RSSフィード

歴史をテーマにした小説・新書を中心とした書評日記

2006-07-01

[]戦国の雄と末裔たち

日本史の中でもファンの多い戦国時代、この本はその戦国時代を駆け抜けた武将達の子孫がどのように生き抜いて現代を生きているかについて書いてあります。

登場するのは、「平将門」「足利将軍家」「武田信玄」「織田信長」「今川義元」等の有名武将家を含む12家を紹介しています。


確かにお気に入りの武将の子孫がどんな風に生き残っているかは気になるので、そういった意味では興味をそそられる本でした。

ただこの本は新書と言っても最近流行ライト新書(お手軽に読める新書)なので、通勤通学中や長距離移動中のお供等、軽く読んでみたい方にはおすすめですね。

戦国の雄と末裔たち (平凡社新書)

戦国の雄と末裔たち (平凡社新書)

2005-11-22

[]室町の王権

現在天皇制の継承に関して注目が集まっています。
建前上は万世一系である天皇家の歴史に置いて、歴史上何度か存続の危機に瀕した事がありました。
この本はその中でも足利義満による王権纂奪計画に焦点を当てて、天皇家が持つ王権のあり方とその王権を義満がいかにして己の物としていくかをテーマとしています。

この本を読んでいると、義満の寿命が後数年長ければ天皇家の歴史は今とまったく違う物になっているであろう事がありありとわかります。

従来天皇家が保持していた国をまつる祭祀権、朝廷や寺社に対する叙任権、そして権力を支えるのに必要な財源をどのようにして己の物として、そしてそれを行使したのかが様々な資料を元に解説してあり、この義満の権力纂奪の過程がいかに凄まじく、そして周到であったのかがよくわかります。

読んでいて一番興味を持ったのは、義満の王権纂奪計画において一番働いていたのが本来は抵抗するはずの公家達であり、それに協力するはずの足利幕府の有力守護達が義満の死後即座に王権の奪取から手を引いていった事です。

従来言われていた天皇制の形骸化が戦国時代ではなく、その前の室町の時代には既に進んでいた事は日本の歴史を考える上できちんと把握しておく重要な事だと思います。

室町の王権―足利義満の王権簒奪計画 (中公新書)

室町の王権―足利義満の王権簒奪計画 (中公新書)

2005-11-17

[]江戸城御庭番

忍者と言えば黒ずくめで空を舞い、水の上を走り、地に潜り様々な術を使う。
そんなイメージが先行していて本当の所は謎に包まれています。

この本はそんな忍者の末裔と言われ、同じ様なイメージで見られている江戸時代の御庭番の実像を同時代の書類や彼らの日記を元に解き明かしています。

この本を読めば彼らが様々な術を使ったりする異能の職業集団ではなく、普通の人間と同じ様に歩き、普通の人間と同じ様に食べ、そして同じ様に悩んでいる事がよくわかります。
ただ、彼らを御庭番足らしめているのが、彼らに綿々と受け継がれてきた徳川家への忠誠心と情報収集の技なんだなと思いました。

2005-11-07

[]北政所

豊臣秀吉の天下取りから徳川幕府の成立までの時代を扱った本なら必ずふれられる秀吉の正室「北政所」
しかし秀頼を産んだ淀君に関しては詳しくふれられても北政所に関してはふれられることが少なく。
ふれられても秀吉死後は菩提を弔うために高台院を建て、静かに暮らしていた程度の物が少なくない。

この本は彼女が主に秀吉死後の彼女の行動を同時代の日記等から掘り起こして、彼女がどんなことを考えてどのように行動していたのかを詳しく説明しています。

特に豊国社の成立と荒廃、そして復興に関しては具体的に時系列で関係者の行動が書かれています。

天下人の正室である彼女が本当に望んでいたのは何かがよくわかりますし、彼女の本質がよく見えてとても参考になりました。

北政所―秀吉歿後の波瀾の半生 (中公新書)

北政所―秀吉歿後の波瀾の半生 (中公新書)

2005-11-02

[]信長軍の司令官

戦国時代に尾張の一勢力から瞬く間に領土を広げていった織田信長。
この本はその彼の軍隊が初期の編成から彼の勢力の伸長と共にどのように変化していったかを具体的な例をあげながら克明に記してあります。

戦国時代の力の根源である軍隊の構成を読み解いていけば、そのとき何を考えていたのかが透けて見えてくることがよくわかります。

尾張統一から美濃を勢力下におき、近江・京都へと勢力を伸ばしてさらに全国を支配下に置こうとする間に、彼はその時に合わせて軍隊内の構成と武将の知行地を再構成することで戦略目標に対して効率的に武力を発動できる様にしていく様子は、それまでの土地と深く結びついていた大名と武将の関係では実現できず、まさに新時代の軍隊とも呼べる物なんだと改めて思いました。

土地に根ざさない軍隊は、降伏した勢力や新たに仕官してきた武将への知行地の給付を楽にする面もあり、それが活躍したらきちんと評価できる体制となり家中での活発な競争につながり、それがまた有能な人材を引きつけるポイントになって、戦国の覇者にふさわしい有能な家臣団が作り上げられたのかなと思いました。

戦国時代に興味のある方は一度読んでみるといいですよ。
文中に出てくる人名は見たことのある名前が多いので、その人物が織田軍内ではどのような役割があり、どのように扱われていたのかがよくわかると思います。

信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)

信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)