ヨハン・テオリン『黄昏に眠る秋』(ハヤカワHM文庫)

霧に包まれたエーランド島で、幼い少年が行方不明になった。それから二十数年後の秋、少年が事件当時に履いていた靴が、祖父の元船長イェルロフのもとに突然送られてくる。イェルロフは、自責の念を抱いて生きてきた次女で少年の母のユリアとともに、ふたたび孫を探しはじめる。長年の悲しみに正面から向き合おうと決めた二人を待つ真実とは?(早川書房http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/439001.html) 

スウェーデンの深い霧に包まれるエーランド島が舞台のしみじみとした味わいの良質のミステリ。二つの過去と現在がどう交錯していくのか、語り口が巧く最初から吸引力が強い。また人物造詣が単純ではないのが余韻を残す。じいちゃん、ばあちゃんたちが良い味。さりげない自然描写も印象に残る。

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫)