曽我部恵一 日記 RSSフィード Twitter

2013-04-19

ローズレコーズからのお知らせです


ぼくの運営するROSE RECORDSは、いつもぼくの大好きな音楽をリリースしております。


この春も、みなさんにぜひぜひご紹介したい音楽があります。




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森脇ひとみ『庭に眠る夢』


とてもとても、いやはやなんとも、う〜ん、言葉にできない・・・そんな音楽。

彼女のこの「団地のうた」を聴いたとき、ああ夢の中でずっと鳴ってた曲だ!と思いました。


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森脇ひとみ『庭に眠る夢』4月24日リリース決定 - NEWS - ROSE RECORDS





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yukaD『Exhibition』


沖縄の4人組ostooandellオストアンデル)のボーカリスト、yukaDのソロデビューです。

オストアンデルの不思議な浮遊感に誘われて、沖縄までプロトゥールスを抱えてレコーディングに行った初夏のことは忘れられません。

曽我部恵一BANDの「トーキョー・コーリング」のレコーディングでも、彼女はきれいなコーラスをいれてくれました。

アルバム全体が、しんとした真夜中のダンスミュージックのようでした。


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yukaD『Exhibition』5月15日発売決定! - NEWS - ROSE RECORDS

 




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bonstar『OUTCIDER HIP HOP』


ヒップホップグループ「灰汁(あく)」のDJだったbonstarのライブアルバム。

孤高のターンテーブリストによるサイケデリックなサウンドの旅。

これはぼくといっしょにライブをやったときの録音です。

動画ではレコードターンテーブルから(ハサミを使って)浮かせて、カートリッジを逆に装着しレコードの裏側に針を乗せ、強制的に逆回転を起こさせる様子がわかります。(良い子のみなさんは、ぜひ真似してみましょう)


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bonstar - ROSE RECORDS





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いかがですか?


それに加え、奇妙礼太郎くんがボーカルの大阪が誇るロックンロールバンド、アニメーションズのライブ盤も絶賛発売中。


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アニメーションズ / 『ANIMATIONS LIVE!』 (ROSE 145/CD ALBUM) -ROSE RECORDS ONLINE SHOP  





こんな音に囲まれて、わたくし、とてもとても、いい気分な春であります。


今後も刺激的なリリースの予定がばっちりつまっていますので、どうかよろしくお願いします!!!

2013-01-30

レオス・カラックスとの時間


個人史にとんでもないことが起きてしまいました。



2013年1月28日、いつものように朝仕事場へ行くとスタッフのM女史が「そかべさん、この試写会、今日ですよー」というのです。

彼女が持ってきたのはレオス・カラックス監督の新作『ホーリー・モーターズ』の試写会の案内状。

カラックス監督の新作の案内が届いているというのは知っていました。

「今日は監督も映画館にいらっしゃって記者会見されるそうですよー」



え?!


え?!


レオス・カラックスという人は1983年に映画『ボーイ・ミーツ・ガール』で監督デビューしたフランス映画監督です。


1986年の第2作目『汚れた血』が日本でもたいへん話題になり、当時ぼくが愛読していた雑誌<宝島>でもニュース欄で「アンファンテリブル(おそるべきこどもたち)現わる!」みたいに大きく取り上げられていた記憶があります。

「アンファンテリブル」はジャン・コクトーが使った言葉で、20代半ばという若さでフランス映画の歴史を塗り替えるような瑞々しい傑作を作ってしまったカラックスを指してぴったりな表現でありました。


それを見た十代半ばのぼくは(監督とぼくはほぼ10歳の年齢差)映画がこんなに自分のこころに抜き差しならないほどに食い込んでくる、ということを初めて知りました。

名作はいつも「名作」という名札を付けてそこにいました。もしかしたらぼくにとっての名作は作られてずいぶん経つ、評価が定まったものが多かったからかもしれません。

ジミーもトラビスも、ぼくの好きな映画のなかのヒーローたちは、どこか遠くの古めかしい豪奢な椅子に座っているようでした。


だけど『汚れた血』の主人公アレックスは、なんかとても自分に近く感じたのです。僭越ながら。

だから、とてもなんというか、コピーしました。服装とか。煙草の吸い方とか。おなじトランプを手に入れたり。真似しました。

そしてなにより、こんな人生をこんな今日という日を送りたい、と真剣に思っていまの自分がある気がします。


アレックスを演じる俳優ドニ・ラヴァンは監督の分身とも言われて、雰囲気や背格好もふたりはよく似ていました。そして、何かの写真で見たカラックス監督はパンクロッカーみたいでおなかをすかせた野良猫みたいで、とてもかっこよかった。

キューブリック鈴木清順も、ぼくにとっての最高の監督はそのときすでにみんなおじいさんでした。

カラックスには強烈な同世代感を持ちました。僭越ですが。


このころから、彼はぼくの英雄になりました。


汚れた血』のビデオを繰り返し再生しながら、じぶんもいつかこんな恋をするのだと夢想していました。オートバイの後ろに素敵な女子を乗せて疾走するんだと。


このへんでぼくのカラックス映画に対する思い入れを話すのをやめないと、一晩中かかっても終わらないので。




三作目『ポンヌフの恋人』、その次の『ポーラX』。

どちらも異常なまでのドキドキを抱えながら映画館へ足を運びました。



そして待つこと13年。

ついに最新作が完成したのです。




というわけで、いそいで帰宅し、カラックス作品に臨むためのしかるべき服装に着替え、渋谷ユーロスペースへと自転車を飛ばしました。



会場には一時間以上前についてしまい(完全に一番乗り)すこし外で時間をつぶしました。



事務所のM女史からは「ぜったいに監督とお話しできると思いますよー」と、フランス語のあいさつなどがメールで送られてきましたが、いやお話はないでしょ〜とぼくは笑っていました。


そして映画が始まりました。


素晴らしい作品でした。

すぐにでももう一度観たい、謎と神秘と優しさと冒険と愛に満ちた映画でした。

なかなか、この気持ちを表現する言葉を知りません。


観客の期待をすべて裏切って、その先を行くパワーはとんでもないものがありました。

とてつもない映画でした。咀嚼するのに何年も、それこそ生きている間じゅうかかるのかもしれません。だから深く心に残ってしまうのでしょう。



映画が終わり、このあと休憩を挟んで監督をお迎えしての記者会見があります、というアナウンス。

スクリーンの前に椅子がふたつ置かれます。

ぼくは二列目に座っていましたから(いつもは最前列なのですが、そこはマスコミ用だということで)、このまま座ってればぼくの2メートルほど前にカラックス監督の顔が来るのだと思うと、ドキドキで背筋が寒くなりました。が、ぼくは記者会見に参加することに決めました。そして、できればインタビューもしようと、緊張のあまり大胆な計画を押さえる余裕もなく、そんなことまで決意してしまっていました。


時間が来ました。


進行役の女性が「では、レオス・カラックス監督をお招きしたいと思います」と言い、少しあとから、サングラスをかけ帽子を浅くかぶった痩せた不機嫌そうな男性が入ってきました。

ドキドキをなんとか押さえつけ、そのルックスを凝視しました。


かっこいい。。。。




そして記者会見が始まりました。


「質問ある方は挙手で」という声を聞き終わるかどうかというタイミングでぼくは手を上げ続け、四回繰り返したところで「では、まんなかの男性」と、みごと当てられたのです。



ぼくはこの目の前にいる不機嫌そうなにこりとも笑わないサービス精神のかけらも持ち合わせていないような映画監督に、ぜひ聴いてみたいことがありました。

それはぼくも常々思い悩む事柄でもあります。



「監督は観客をどのくらい意識して映画をつくるのですか?また、監督にとって観客とはどういう存在なのですか?」




通訳の女性が淡々とそれをフランス語に訳します。

カラックス監督はサングラス越しにじろりとぼくを一瞥して、こう言いました。




「映画をつくるときに観客のことはまったく意識していない」




ぼくは「おおおお〜」と心のなかで低い歓声を上げました。

そして監督はこう続けました。



「観客がなんなのか、どういう存在なのか、自分にとってはまったくわからない。謎の存在でしかない。ただ自分にわかっていることと言えば、彼らがある一定数の一団で、やがて死に行く運命にあるということだけだ」




すべて録音していたので、あとで聴くと自分の声が震えているのがわかります。

監督のこの言葉はぼくの生涯の宝となるでしょう。

忘れることは、たぶんないでしょう。



その後もいくつか質問が続き、監督は面倒くさそうではあるけれど、それに丁寧に答えていき、記者会見は終了しました。



ぼくの「時間」は終わりました。


言葉にならない幸福感で映画館の階段を降りました。

ビルを出るとしかし、そこにカラックス監督が煙草を吸いながら立っていました。

「時間」は、まだすこしだけ続いていたようです。



ぼくは、とっても恥ずかしかったですが、カバンからペンと『ホーリー・モーターズ』のプレスリリースを取り出し、「エクスキュゼモァ?」とそれを監督に差し出しました。


監督は走り書きのサインをしてくれました。


ぼくは監督に「グレイトムービー!」と言いました。

監督はぼくに「サンキュー」と少し微笑んで言いました。



M女史の送ってくれたフランス語のあいさつを応用する余裕は、その日のぼくにはまったくありませんでした。








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2013-01-01

It's a New Day!

みなさん、あけましておめでとうございます。


2013年、今年も素敵な一年になりますように。


去年までのイヤなことや失敗はなるべく忘れて(いいことはできるだけおぼえておきましょう)、あたらしい日々をまた始めましょう。


JB風に言うなら”It's a New Day!"。




最近はこのブログをなかなか更新しておりませんで、楽しみにされている方には、もうしわけないです。


理由がひとつありまして、それは別に日記をつけているからです。


つまり、だれかに見せる前提ではない日記をノートに書いているのです。


人が読むことを想定してしまうと、ぼくはたいへん小心者ですので、いいことや前向きなことや人類にとって素晴らしいことなど、自分が世界に対して理想としていることを中心に書き綴ってしまう傾向があります。


嘘ばかり書いてる、とは言いませんが、まあ、「いいカッコしい」になってしまうわけです。


だからそのノートにはぜったいに人にはお見せできない悩みやアホなことや恨みつらみや欲望などが書き綴られています。(もちろん、あ〜うどん食べたい、、、みたいなことも多分に書いてありますが)




週に何度か、ひとまえで(たいていはお金を払ってきてくれたお客さんの前で)歌をうたっています。


そんなときは、できるだけ、だれのためでもない、じぶんの心から出た歌をすなおにうたいたいと思っています。


かっこつけることなく、上手さをひけらかすことなく、だれかを酔わせてやろうとかやっつけてやろうとかいう下心無く。


そう、たとえるなら、フーテンの寅さんが愛を告白するときのように、まっすぐなトーンで。



でも、ぼくにとって、そうすることはなかなか難しいことでもあります。

なぜでしょう。

それはきっとぼくが臆病だからです。

だれかからきらわれたりするのがこわくて、すなおに表現できず、理想的な表現・中庸的な表現に逃げてしまうのです。


そんなことがいやで、自分の気持ちを偽らずに書く練習をしているところなのです。

(でも日記を書き始めたのは、「なんとなく」からでしたが。今振り返ると、そんな側面もあるかな、と。)


どうせ自分の心は、自分のなかに一個だけしかないのだから。



ときどき、自分の心を歌といっしょにポーンと放り出すことができることがあります。


そんなときはとても気持ちがいいです。

自分が気持ちがいいから、聴いてるだれかも気持ちいいかもしれない、と歌い終えて思えたりもします。


こういうときはたいてい何も考えていません。


社会のことも、家族のことも、今夜の夕食のことも、電気代のことも、道徳的なことも、天国や地獄のことも、音楽のことも、ガスの元栓を締めたかどうかということも、好きなだれかのことも、お父さんのこともお母さんのことも、JBのことも寅さんのことも。


ただ、こどものときに、ひとりぼっちでぽつんといるときのような気分です。

そんな瞬間を思い出しそうになります。


そんなふうに歌っていきたいです。

ずいぶん長々としてきました。このへんで筆を置こうと思います。


最後に、最新アルバム『トーキョー・コーリング』のボーナスディスク(これはライブ会場での手売りとローズレコーズの通販でのみ付いてきます)の最後に入っている「今日のダンス」という曲が、今年の幕開けっぽかったのでアップしてみたいと思います。


年賀状がわりになりましたら、さいわいです。




それと、最後の最後に。


ツアーをやります。日程は以下の通りです。

曽我部恵一BANDのあたらしい音楽がみなさんと出逢いたがっています。

ぜひとも、来ていただきたいと思います。



1/30(水)東京 新代田 FEVER

2/2(土)島根 松江 MIZ

2/8(金)仙台 enn 2nd

2/10 (日) 大阪 ファンダンゴ

2/15(金)名古屋 アポロシアター

2/17(日)福岡 キースフラック

3/1(金)山形 坂田 MUSIC FACTORY



では!

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2012-09-06

One Day

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サニーデイ・サービスのあたらしい曲、「One Day」です。

曽我部恵一BANDのツアーが終わり、前作の「夏は行ってしまった」ができ、ぼんやりしているところにふと顔を出したのがこの曲でした。

弾き語りですぐやってみて(海の家、葉山のブルームーンで演奏したのが初演かな)、たちまちあたらしい自分の定番曲になっていきました。


レコーディングはまだ夏まっさかりのある日。

スタジオのドアを開けて歌を録ったので、イントロではうっすらその日の蝉の鳴き声と、偶然スタジオの前を通った子供たちの声が聴こえます。

夏の絵日記のようなレコーディングでした。


しかし。ぼくはこの曲がどのようにしてできたのかをいまいちおぼえていない。

気づいたら、ぼくの目の前にいたのでした。

だから、冒頭に書いた「ふと顔を出した」と言う表現がぴったりなのです。

いま自分のなかにあるいろんなことが、この曲の中にたゆたっているのだと思います。

ぜひ聴いていただきたいです。

9月26日に出る7インチシングルのB面には、曲がやって来てすぐの頃のライヴテイクを入れました。

ぼくの弾き語りに、DJ bonstarがスクラッチでビートを刻んでくれています。

素敵なテイクです。




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ツアーが終わってからすこし時間が経ってしまいましたが、曽我部恵一BANDのライブDVDの制作に取りかかっています。


これまでの習わし通り(とくに意識したわけではありませんが)、ツアー中のある街でのライブを完全収録しました。

音楽の魔法、みたいなものが、ちょっと起こったような夜でした。


詳しいことは、また後日。




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東京は今日は午後から雨が降って、雨上がりの街に吹く風は、やはりどことなく秋の風なのでした。

2012-08-13

近づくほど遠ざかる夏

夏、ですね。




先日8月8日の、サニーデイサービスのワンマンコンサートは、とても充実したものでした。


「夏は行ってしまった」というコンサートタイトルを軸に選曲していくことは、すごく新鮮でした。

ここ数年、サニーデイは三人きりでライブをやっています。


これは結成以来ほとんどなかったことで、三人だけのワンマンコンサートは実は8日が初めてのことでした。

かつてはレコーディングされたものにどれくらい近づけることができるか、という点を追いかけて複数の楽器奏者にサポートしてもらっていました。

でも最近は、装飾を剥いで歌の核だけが残ったところで演奏したいと、常々思っています。



そこには10年以上前にロンドンで聴いたエリオット・スミスのライブの思い出があります。


当時ぼくはエリオット・スミスが大好きで、初めて聴く彼のライブとあって、いったいどんな演奏をするんだろうとドキドキしていました。

レコードでは彼の歌は朴訥としながらも、ピアノを始め様々な音が折り重なり、コーラスワークもとても流麗な仕上がりになっていました。


で、ライブ演奏はと言うと、ドラムの女性とベーシストの男性だけを従え、セミアコギターを抱えエリオットは淡々と歌を歌っていました。

美しいピアノもコーラスもなし。ギターは特別なことはぜんぜんやらずに、ほぼストロークアルペジオのみ。おまけにお喋りもまったくなし。


しかし、そこには裸のエリオットの歌だけがあり、ぼくは「ああ本当にいい曲だなあ!」としみじみと聴き入ってしまっていたのです。


これがぼくのもっとも印象に残っているライブ体験です。

だから、三人きりで演奏しているとき、ときどき心細くなってしまいますが、そのときのエリオットの歌を想い出して、そのときの雰囲気を目指しながらやっています。





ライブ会場で先行リリースしたシングル「夏は行ってしまった」のアナログ7インチシングル(ボーナスCD付き)は今、オンラインショップでも販売中です。限定なのでお早めに。



サニーデイ・サービス / 『夏は行ってしまった』(ROSE 138/ANALOG 7INCH+CD) -ROSE RECORDS ONLINE SHOP  

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