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2009-12-20

健康管理という強迫観念


 11の課題図書。五陰仮和合(ごおんけわごう)への理解が深まる。


 以上のデータはバリー・グラスナーの『ボディーズ』(小直行訳)にくわしいが、その本にはもう一つ、興味深い統計が報告されている。それは1986年のギャラップ社の調査で、「病気になったのは自己管理を怠ったせい」であって、「正しい方法を守っていれば健康でいられる」という考え方に、アメリカ人の93パーセントが同しているというのである。身体管理が一つの強力な道徳になっているわけで、健康を損なうのは「克己や努力がたりない」からだという論理が強迫観のように人びとの頭にとりついている。そういう「倫理的な純粋さ」がいまのアメリカでは宗教すら帯びていると、グラスナーは指摘している。そしてそういう健康モラリズムが、一方で「美というをいただいたマゾヒスティックな自己改革のすすめ」として人びとのナルシシズムをかきたてながら、他方で社会のなかできわめて隠微に、きわめて政治的に機能するさまを次のように描きだしている。

「アメリカ国民のうち、最も運動不足で、糖分と脂肪を最も多く摂取し、肥満者の率が一番高いのはどんな人々であろうか。それは、社会の下層民であり、少数民族グループである。……20世紀末の健康モラリストたちは、20世紀初頭に禁酒運動家たちが、酒飲みの移民労働者たちを非し汚をきせたのと同じように、肥満者や運動不足の人たちに対する偏見や差別を助長しているのである(『ボディーズ』バリー・グラスナー著)」というわけである。


【『悲鳴をあげる身体』鷲田清一〈わしだ・きよかず〉(PHP新書、1998年)】

悲鳴をあげる身体 (PHP新書)

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