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2010-08-17

一冊の本を巡る出会い


 1954年の1月、東京大学志村五郎は、いつものように数学科の図書室に立ち寄った。この才能ある若き数学者は、『マテマティーシュ・アナーレン』の第24巻を探していたのだった。なかでも、虚数乗法の代数理論に関するドイリングの論文がほしかった。その論文があれば、いま手を焼いているしい計算ができるかもしれないと考えたのである。

 ところが驚いたことに、その巻はすでに貸し出されていた。借りていったのは、別のキャンパスにいる谷山豊という人物で、志村もまったく知らない相手ではなかった。そこで志村は谷山に葉書を書き、厄介な計算を仕上げるために至急その雑誌を見たいのだが、いつ返却されるつもりだろうかと丁寧に尋ねたのだった。

 数日後、志村のもとに谷山からの葉書が届いた。それによれば、谷山もまさに同じようなことをしているという。そして谷山は志村に、お互いのアイディアを交換し合って、いっしょにこの問題に取り組んでみないかと提案していたのである。図書室の一冊の雑誌をめぐるこの偶然の出会いが、数学史の流れを変える熱いパートナーシップのはじまりだった。


【『フェルマーの最終定理 ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』サイモン・シン/青木薫訳(新潮社、2000年/新潮文庫、2006年)】


 谷山=志村予想を証明することがフェルマーの最終定理を解く鍵だった。これぞ数学界の血脈相承。今日はピエール・ド・フェルマーが生まれた日。

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

(※左が単行本、右が文庫本)

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