母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)

母は娘の人生を支配する なぜ母殺しは難しいのか ***

娘を過剰な期待で縛る母、彼氏や進路の選択に介入する母...。
娘は母を恨みつつ、なぜその呪縛から逃れられないのか?
本書では、臨床ケース・事件報道・少女漫画などを素材に、
ひきこもり、摂食障害患者らの性差の分析を通して、
女性特有の身体感覚や母性の脅迫を精神分析的に考察し、
母という存在が娘の身体に深く浸透しているがゆえに
「母殺し」が困難であることを検証する。
「自覚なき支配」への気づきと「自立」の重要性を説き、
開かれた関係性に解決への希望を見出す、待望の母娘論!

わたしの人生もかなり母に支配されているような気がするが、恨んではいないかな。
でも、この本を読んで、わたしは、無意識な母親の自己犠牲的な奉仕による支配に篭絡された娘なんだということがわかった。今現在は、さすがに反発心を少し表すことによって、うまくバランスをとっていますが。わたしも、自分の娘を無意識に支配することのないよう気をつけよう。自分の人生を生きようと思いました。

女性らしい体を持つようにしつけるということは、他者に気に入られるような受身的存在であるように教育することにほかならない。(服装や立ち居振る舞いも含むんだと思う)外見以外の女性らしさの本質は、やさしさ、従順さ、おとなしさ、いわば自らの欲望を放棄する態度である。女性の教育にはそういった分裂が含まれるため、女性は空虚感を抱え込むことになるのだと、著者は言う。体と心の乖離のようなものはわたしも常に感じているので、この考えには妙に納得してしまった。
女性の身体意識が、ある種の操縦感覚ではないかと思うと、著者は更に言う。
わたしにも、わたし自身の心が、わたしという女性の体を操っているという感覚がしばらく前からあって、(こどものころはなかった)これはもしかしたら異常なことなのかもしれないと、思うこともあったので、少し安心した。それは川上未映子の「乳と卵」を読んだときも感じたような気がする。ああ、だいじょうぶなのね。。と。
著者は男性ですが、よくここまで考察したなあと思います。むしろ男性が客観的に論じているからこそ説得力があるのでしょう。
後書きを読むと、奥さんの協力があってのことらしいです。