幽明相隔てて

さなえちゃん
そちらはどう
すきなものと
きらいなもの
あいかわらず
はっきりさせ
まわりじゅう
わらわせてね


げてこいまは
こちらをみて
しまったって
おもってない
あっというま
おさらばして
ひとりあそび
たのしんでね


なかじまくん
かくごのしは
しょうせつに
いかされんと
かぶしまから
えみしのちを
もじにきざみ
いのっててね

理非曲直

くわせもんは
くわせたほう
くらったほう
きらいないか
きづかずたべ
おいしかった
うそかまこと


うさんくさい
にせものじゃ
まっちゃわん
じつはこうか
でもあやしい
もちぬしこそ
うろんなひと


くせものじゃ
であえであえ
しのびのもの
おにわばんが
いりみだれて
ひみつさぐる
いくさはやみ

ろばののりかた

驢馬の背に揺られながら
巷を探訪し 詩句の断片を
錦の嚢中に投げ入れて
深夜 深沈と推敲した
李賀くん


細い雨の中驢馬に騎って
剣門に入る 村市の酒に酔い
未だ敢えて空囊を羞じず
蘭漫たり 詩千首
宗国の再興を希った
陸游どの


ロバにのって杜甫ゆかりの村に
入った白石かずこさんいわく
ロバは耳を 口をもたず
哲学を支えている
借金と不幸には
何の責任も持たないと

孫子の円柱      G

sokuze2012-06-29

おおまわりしたこうえんは
へらぶなつりのひとびとと
はなしょうぶをみるひとと
かぞくづれでさんぽをする
ふだんぎのひとたちつどう
ひとふでがきであるくみち


こまわりのきくこどもたち
すけぼーわざのだんさには
ふじだなのかげがあやなし
ふっとさるのわかものたち
やきゅうしどうをするおや
まんべんなくりようしてる


さきまわりしてうんつかむ
そんなもんあるわけないよ
おかぐらのまいはしんけん
ちよろずのかみをかしこみ
ひょっとこおかめがおどり
ささげたてまつるいやさか

孫子の円熟     G

sokuze2012-05-29

くったくのないえがお
ほどよくしつけられて
あさばんのごあいさつ
はっきりとしたへんじ
めいっぱいあそんだら
おもいっきりおひるね
おぼこむすめのそだち


けんのあるまなざしで
あいてをみすえていう
もんくあるならいいな
うでずくならいますぐ
かかってきやがれぐず
なわばりあらさせねえ
いなせなあにいのしま


かんろくじゅうぶんの
たっぷりとしたようす
なやみもめごとすべて
いってくれりゃのるぜ
すいもあまいもみんな
おもてもうらもつうじ
とどのつまりおやぶん

孫子の円満     G

sokuze2012-04-29

わたしがやるべきこと
めみみはなくちとはだ
かんじとるりきりょう
てあしかみのけつめで
いっきにうけとるもの
せかいのあらゆること
わたしのささいなこと


みんながやるべきこと
しんぶんらじおざっし
よみとるりきりょうか
じぶんのことばにして
だれにでもはっしんし
にちじょうのせかいと
わたしをつなぐしごと


かみさまのすべきこと
しぜんのめぐりゆきと
いきとしいけるものの
あらゆるありかたとを
ただしくはかりさだめ
あらたなせかいかんを
わたしにおしえること

だれがどうしたからそうなったのか

sokuze2012-04-03

木端微塵になったものがある
見えなくても眼球はかゆい
薫らなくても鼻腔がむずかる
聞こえなくても響く地鳴り
肌理は罅割れて血が滲む
米からの酒肴は苦みが走る
いったいなぜなのだろうか


木に咲く花が一斉に開く東京
魁の散らない蠟梅は別にして
先駆けて散り敷く梅も別格で
弥生最終日に開いた染井吉野
木蓮辛夷連翹雪柳菜の花が
お互いに牽制するかのように
いったいどうしたのだろうか


微生物の微は単位百万分の一
塵埃の塵は単位十億分の一だ
私たちの今ここを貫いている
不可解な何者かを感じること
曖昧模糊の模糊は忽と沙の和
単位十のマイナス十三乗だが
いったいだれがないというか