Thee Rang 跡地

https://solaponz.hatenadiary.jp/ 跡地

セレンディピティな経験を

 「出会いがない!」 と、ある知り合いがつぶやいた。

彼は一流大を卒業し、その後金融マンとして大企業へ就職した。イケメンでで性格もよく、異性にはモテそうだったが、いつ会って話をしても彼女がいるという話を聞いたことがない。僕は、世間の女子はなんと見る目がないんだろうかと思う一方、彼自身にも足りない要素があるなーと考えた。それはセレンディピティというやつだ。

セレンディピティとは…
「何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉」wikipediaより。

つまり、自分のゴールを設定し、そこに向かう姿勢の中で、新たな価値を見出す発見をすること、だ。

素地だけでは弱い
件の彼は、おそらく素敵な彼女を手に入れる素質も可能性もそなえている。しかし日々の業務に追われ、家に帰ってはシャワーを浴びて寝るだけ。夜間休日も会社からの呼び出しに備え携帯電話を手放さず、多くの時間を家でNETや読書、音楽鑑賞をして過ごす。

一社会人としては頭の下がる暮らしぶりだが、これでは出会いなどあるわけない。
ふと素晴らしい女性に声をかけられ知り合う機会など、どう甘めにみても皆無である。

悪友には「キッカケ作りが大切だ」とか、「自分から動けよー」とか、その手のアドバイスが送られがちな境遇だが。

前を向けば顎が上がる
彼に必要なのは、日々を無難にこなし生活していくという事の他に、何か明確なゴールだ。

例えば、思い立ってピアノを習い始め、コンクール出場を目指すのもいい。テニスのスクールに通い、ダブルスで地域のテニス大会で優勝する、というのでもいい。もっと言うと、将棋盤を購入し、自宅で教習本とにらめっこしながらルールを覚え、近所の集会所で年寄り相手に修行して段位を目指す、というのでもいい。これだとほぼタダである。他には・・・このご時世なのでもしものために、と陶芸師を目指すのも悪くない。

重要な事は、そういう明確なゴールができたとき、人はその方向に向いて姿勢を正す必要があるという事だ。

姿勢を正した人間は、それが身体的な「姿勢」であれ、精神的な「姿勢」であれ、頭の位置が上がるので、ものがよく見えるようになる。そして、同じくそれらは他の人から見て美しい

ゴールに向かって姿勢を正し、アクションをとることで、まず外部社会との関わりが生まれる。生まれざるを得ない。さらに、その関わり合いの中で、姿勢を正した彼は周りからたくましく見え、魅力的に映る。

つまり、ここで運命的出会いに必要な二つの要素「環境」と「本人の魅力」が、相乗効果的に醸成されていく

より高みからの視座
セレンディピティという言葉の語源をもう一度Wikipediaで見てみよう。

「王子たちは旅の途中、いつも意外な出来事と遭遇し、彼らの聡明さによって、彼らがもともと探していなかった何かを発見するのです。例えば、王子の一人は、自分が進んでいる道を少し前に片目のロバが歩いていたことを発見します。何故分かったかというと、道の左側の草だけが食べられていたためなのです。」

これぞまさに、ゴールを向いて姿勢を正し、視線(頭の位置)を上げることで得た僥倖に他ならない。

…さらにもう一つ、このセレンディピティは、僕の理想とするキャリア理論、「計画された偶発性」に通ずるものがある。クランボルツ博士という人の唱えた、画期的でミステリアスなこの理論は僕の興味を引いてやまない。

しかし、長くなったのでこれについてはまた、今度。


出会いの乏しいイケメン達へ
さあ、出会いが無いと嘆く前に、将棋盤を注文しよう。 碁盤でもいい。碁会所にでも公民館にでも、老人相手に勝負を挑んで、負けに行こう。

きっとその老人の孫娘は24歳くらいの新入OLで、社会人のちょっと年上の独身男性の飲み友達を探している所かもしれない。老人がセンスのよいハンカチや小物を持っているのを見つけたら、それを誰から貰ったものかを聞きそびれないように気をつけよう。