Thee Rang 跡地

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宇宙もの漫画

 日、最近話題の漫画『宇宙兄弟』を読んだ。聞いていたとおり、ギャグあり涙ありでおもしろかった。ストーリーはよーく練られている感じが伝わってきて、作者と編集者の思い入れが伝わってくる様だった。
僕は漫画を読むのが大好きだが、いわゆる宇宙ものを読んだのは大学生になってからだった。同じく漫画が大好きな友人が、「最近宇宙ものにハマってる」と言って、「なんだそれ?」と聞いたところ数冊の漫画を紹介してくれたのがきっかけだった。
そのとき紹介してくれた作品は今でも憶えている。

の3作品だ。

2001夜物語』は、星野之宣の作品で、もう20年くらい前になるだろうか。特徴としては、アラビアンナイトの1001夜物語を彷彿とさせるような悠久とした世界観があげられる。また、カラーページは絵筆を使って書かれており、漫画というよりはむしろ絵画作品に近い程の芸術性が備わっている。SF物の大家というだけあり、宇宙に関する様々な説を取り込んだオムニバス形式となっていて、そのどれもが非常に興味深い。『反物質』に関しては、先日どこかの実験で一瞬捉えることに成功したとかしないとかってニュースがあったが、この漫画ではワープ走法の燃料として、またエネルギー源として実用化される様が描かれている。

Moonlight Mile』は日本人とアメリカ人二人の登山者の若者が、その後それぞれのルートで宇宙を目指していく作品で、現在連載中の作品は初期の主人公の息子が主人公となっている。この作品は、メカの描写がとても革新的でカッコイイのとドラマチックなストーリー展開が特徴で、僕が最も好きな宇宙もの漫画だ。

度胸星』は、現在『へうげもの』がヒットしている山田芳裕の作品で、トラック運転手の息子が火星へ旅立つまでのストーリーを書いている。彼の作品の魅力のひとつは、登場人物のとてもゆたかな表情だ。自分で表情をつくり、鏡を見ながら書いているという話だが、宇宙、火星、そして火星上の道の存在をめぐるこの作品も、主人公の度胸のキャラとあいまって、色々な表情を見せてくれるとても楽しめる作品だ。
この作品の残念な所は、あまりに短すぎる点だ。単行本で4巻程度で完結しており、完結するのも、いよいよ火星へと旅立つというシーンなので、中途半端感が否めない。しかし、この中途半端感により今でも語り草となる作品だ。
*1

宇宙ものでいえば他にも、『プラネテス』という作品もヒットしたし、『宇宙兄弟』も映画化されるそうなのでこれから一層話題になるだろう。

最近週刊少年ジャンプで始まった『ST&RS -スターズ-』も注目される。しかし、少年誌という性質上、宇宙飛行士になるだけで10巻も消費した『宇宙兄弟』のようにのんびりとした展開はできないだろう。週あたりの連載で読者の評価を得る必要がある上に、ストーリがあまり練られない分、どこまでキャラクターの魅力をまとわせて、最初の固定ファン層を取り込むのかという点で大変興味深い。

*1:ちなみにこの作品に登場するアメリカ大統領のダン・オブライエンという人物は、山田芳裕の前作品である『デカスロン』で、主人公の最強のライバルとして登場した人物と同一である。