【海難記】 Wrecked on the Sea

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text by 仲 俣 暁 生 Nakamata Akio (sora tobu kikai webpage)
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2009-10-02 Friday

[]続・書物の消失〜紀伊國屋書店と凸版印刷が図書館向け電子書籍で協業 はてなブックマーク - 続・書物の消失〜紀伊國屋書店と凸版印刷が図書館向け電子書籍で協業 - 【海難記】 Wrecked on the Sea

詳細はまだよく分からないが、アメリカの図書館向け電子書籍配信サービス「NetLibrary」http://www.netlibrary.com/をつかってこれまで紀伊國屋が行ってきた「買切り型学術教養系和書の電子書籍配信サービス」を、両者の協業により、一気に拡大するということらしい。

この件についての両社の公式のプレスリリースはここに(内容は同じ)。

http://www.toppan.co.jp/news/newsrelease980.html

http://www.kinokuniya.co.jp/release/netlibrary091001.pdf

興味深いのは、具体的な数値目標を掲げた、最後のここの部分。これがうまく回りだせば、このあいだここ*1で書いた問題が解決されるかもしれない。

NetLibraryの国内導入図書館は大学図書館を中心に106箇所になり、この一年間の売上は、和洋あわせて1億5,000万円(和書7,000万、洋書8,000万)となっています。

一方、搭載コンテンツは未だ900点と少なく、急成長している市場ニーズに応えられていません。今回の協業を機に学術教養系和書電子書籍のコンテンツ数を飛躍的に拡充し、3年後には、年間搭載数5,000点を目指すともに、売上としては、この急速に成長している市場に対し販売促進を強化し、3年後の和書売上10億円規模を目指します。

この「学術教養系和書」がどのあたりまでになるのか、具体的な書目や、参加している出版社が知りたい。すでに行われているNet Libraryによる「買切り型学術教養系和書の電子書籍配信サービス」を利用したことがある研究者の方は、ぜひ詳細を教えてほしい。

また、この件と密接に関連していると思われるが、凸版印刷は29日にも、雑誌のデジタル展開支援サービス「MAGABANK」の開始を発表している。

http://www.toppan.co.jp/news/newsrelease979.html

他方、大日本印刷は29日、傘下の丸善、ジュンク堂、図書館流通センター(TRC)とあわせた4社で経営統合の協議を行うと発表している。この経営統合の狙いは、凸版と同様、(電子書籍を含む)書籍データの「図書館向け」と「書店向け」の一元管理だろう。

http://www.ryutsuu.biz/strategy/b092925.html

いまや本の世界は「大日本印刷=丸善」陣営と、「凸版=紀伊國屋」陣営という二大勢力にくっきりと色分けされつつある。どちらの陣営にも、出版社はいまのところ深く関与していないが、ここに二大取次や大手広告代理店など、これまでの寡占体制のもとで利益を享受してきたプレイヤーが参与してくると、なんだかイヤな陣取りゲームが始まる気がする。

いまのところは、図書館、書店、印刷会社という、本の基本的なインフラ部分での動きでしかないが、これら一連の動きが意味するのは、紙の本(雑誌、新聞ふくめ)による出版・印刷・広告・流通は、将来性のあるビジネスとして、完全に見放されたということなのかもしれない。このへんの動きについては引き続き調べていきたい。

■関連エントリー:大手書店と大手印刷会社が開発する「図書管理システム」 http://d.hatena.ne.jp/solar/20090601

*1:「書物の消失〜フェーヴル&マルタン『書物の出現』の復刊を望む 」http://d.hatena.ne.jp/solar/20090920

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/solar/20091002/p1


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