|
|
||

(sora tobu kikai webpage)
キンドルを持って町に出てみた。電池のもちを気にしなくて良いし、鞄に入れてもかさばらない。問題はケースだが、とりあえずA5判の書籍用のビニールカバー(315円)に入れ、さらにA5の封筒に入れてみた。キンドル用の「ブックカバー」が早く出てほしい。
キンドル懐疑派だった私は、この数日ですっかり、キンドル絶賛派に転向しつつある。先日のエントリーでは、ウェブサイトやブログにアクセスするデバイスとしてのキンドルのメリットを書いたが、もうひとつ、より現実的なメリットを発見した。それは、いわば「デジタル積ん読」とでも呼ぶべき、新しい「読書=購書」作法である。
その前に、本好きの人は自分の部屋を見わたしてみてほしい。山と積まれた本の大半は、読みかけか、いつか読もうと思って買ったまま、機会が得られず放置してある本だろう。現状の書籍流通のもとでは、必要な本(「いつか必要になると思う本」も含め)は、見かけたらすぐに買っておかないと、二度目に出会う機会がいつあるか分からない。したがって、不要不急の本でもとりあえず買っておく、ということになりがちだ。
ようするに、すぐには利用しないかもしれないが、将来的な自由利用の権利を確保するため、書店から「有料ダウンロード」だけはしておく、というのが「積ん読」の機能のひとつである。
「積ん読」のもう一つの機能は、「そのときに自分が何に興味をもったか」というインデックスである。人間の興味関心は、そのつど移り変わるから、あるときに大いに関心をもったことを、翌月にはすっかり忘れていたりする。それがさらに、数ヶ月あるいは数年たって、「そういえば、あのときに買ったあの本が役に立つのでは?」ということがあったりする。あるときに自分が興味をいだいたことは、のちの自分にとっても興味深いことである確率が高い。
もともと、人が「蔵書」を構築するということは、情報やコンテンツを集めること以上に、そのような文脈を高度化し、編み合わせることだったはずだ。しかし、そのためだけに、いちいち本を買っていたら破産する。そう、私がいいたいのは、キンドルと電子書籍の組み合わせは、「積ん読」のこの二つの機能の代替になる、ということである――しかもほぼ無償で。
キンドルでアマゾンのキンドル・ストアにアクセスすると、潤沢とまではいわないが、まずまず多様な「本」が売られている。しかも、そのほとんどが、最初の数十ページほどをサンプルとして無償ダウンロードできる。だからキンドルを使いはじめた人は、いきなり「電子書籍」を買ったりせず、とりあえず目にとまった本のサンプルを、片っ端からダウンロードするだろう。その結果、キンドルに蓄積されるのは、多種多様な、そのときに自分が関心をもった本の「書き出し部分」である。
書誌情報と「書き出し部分」だけさえあれば、本文をじっくり読むのは本当に必要なときでいい。不要不急な本を衝動買いしてしまったり、読むかどうかわからないのに、見栄で本を買ってしまうといった、本に対する余計な消費行動が抑制される。使いはじめるまでは思いもしなかったが、キンドルにはそんな効用があったのだ。このようなキンドルの使い方を、私は「デジタル積ん読」と名づけ、大いに奨励したいと思う。
紙の本では「所有」と「購入」と「使用」とが不可分だった。つまり、手元にいつまでも置きたければ、結果的にまったく利用(読書)しない場合でも、購入費用が必要だった。電子書籍は「所有(領有というべきか)」と「購入」と「使用(試用を含む)」が分離できる。このメリットを最大限に生かすことが、利口なキンドルの使い方だと思う。