紅 〜ギロチン〜

駆け出しの揉め事処理屋・紅真九郎にきた一通の電話。それは、商売敵である悪宇商会からの勧誘だった。まだまだ半人前の自分を磨くチャンスと思い一度は応じた真九郎だが、課題に出されたのはなんと暗殺計画への参加。標的となるのは、一人の病弱な少女。真九郎は当然のごとく拒否して、交渉は決裂。そして、暗殺阻止に動き出す。しかし踏み込んだ闇はあまりにも深かった。立ちふさがる悪宇商会の殺し屋・斬島切彦《ギロチン》、その恐るべき刃は。真九郎と紫の仲までも引き裂き、さらなる窮地へと追い詰める……。


サブヒロインがいくら頑張ったところで、主人公が幼女まっしぐらなんだから報われない。天使とか呼んでますよ。ただ、紫は別格としても、今作においてはラストの部分を始め、無愛想ながらも相手に気取られないように、真九郎のことを思いやっている銀子が良い味出していたと思いますけど。ということで2巻目。真九郎が将来を考えて悪宇商会と契約することを選択したものの、決裂することになります。
作品の前半の悩みを抱えながらもコメディタッチの日常生活と、紫との喧嘩別れを境にした後半の切りかえっぷりが上手い。また、前半で彼が今ある幸せな環境を描くことによって、同じ事件に遭った人と会い、自らがたどったかも知れない道を突きつけられて揺れる姿がとてもはっきりと現われていたと思います。
それとのダブルパンチもあり自分の無力さを改めて痛感させられて挫けてしまう展開と、紫の言葉によって立ち直るといういうヒーローもののど真ん中を行くような展開も相変わらず熱い。途中の挫折の部分などは何とも歯がゆくなってしまいますが、そんな彼を、強い自分を持っているヒロイン達が夕乃、銀子、紫とそれぞれのやり方で応援してくれるところが良いシーンでした。それ故に、まるで見捨てられるように喧嘩別れしたところでは心が痛んだ紫との和解のところや、ラストで裏世界から回帰した日常に、彼の絆というものを感じて安堵したりして。
無論それだけでなく、残酷だけれども救いはもたらされないところもあります。このあたりの割り切り方もこの作品の特徴ですが、だからこそ真九郎が守りたいものというのがはっきりと現われていると思います。
新キャラの斬島切彦とか、どうもどっかで見たような感じは受けますが、まあ面白かったので気にしない。勝負は水入りになったし、この先もこの悪宇商会の面々と関わり合いになっていくのでしょうか。