ランジーン×コード tale.2
ランジーン×コード tale.2 (このライトノベルがすごい!文庫)
- 作者: 大泉貴,しばの番茶
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2011/01/08
- メディア: 文庫
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前巻で相対したのがコトモノの物語の捕食者だとすれば、今回は洗脳者。ダンスと動きを使ってコトモノ達の脳内に自分たちの遺言詞をウイルスの様にバラまく種族が相手となります。
かなりボリュームもあり、前提となる設定の説明もありと、ごつかった前の巻に比べると、設定が共通認識として前提にあり、内容説明が簡素化されていた為に前に比べると読みやすかったです。踊るということで言葉を介さずに遺言詞を感染させるという発想も面白い。あとは設定の読者への飲み込ませ方がもっと自然であれば、さらに良くなる気がします。
また、ロゴの立ち位置も記録者としてコトモノの物語を守るという立場に固まっていて、あせりの描写はあれど、物語を破壊しひとつにまとめあげようとする相手との対立構造が分かりやすく示されていました。ただ、ロゴの心理の移り変わりが、ちょっと説明的だったかなとは思います。成美の存在がロゴに力を与えている原動力の様に感じる書き方だったので、いつか再会のシーンがあれば、なんて思いも。
またもう一人の主人公である由沙美についてはロゴよりも魅力的に描かれていたと思います。自分のコトモノの親に当たるロゴとの関係性の築き方や彼の居場所である養護施設の子供達との距離の取り方に悩む姿、実際の親族が現れた時の動揺なんかが丁寧に描かれて、それだけに後半の展開が映えます。欲を言えば、養護施設の面々と彼女の触れ合いをもうちょっと見たかったなあと。タが発音出来ないコトモノで、1人称ワシになっちゃうキツネさんは可愛いんですが、他の面々ももうちょっと見たかったなあ。
終盤、ラスボスを暗示させる描写も出てきて、徐々に盛り上がってきた気がします。ダリとの関係性の解明なんかも期待!