眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「ロートレック荘事件」って、人気あるんだなあ…という話

アクセス解析をみていると、未だに「ロートレック荘事件」で来られている方が多いことに、心から「偉大なり、筒井康隆」と思っている。

おそらく小谷野敦の「このミステリーがひどい!」の中で、ベストミステリーとして挙げられていることや、よく見かける「ミステリーベストテン」みたいなものの定番であること、がその理由なのだろう。

もう今年で刊行されてから27年にもなる。よたよたと歩いていた3歳児が、30歳になるくらいの時間が経っているのに、よくぞ今まで忘れられなかった、それがまず凄い。それどころか今もこの瞬間に、日本のどこかで、誰かをたまげさせているのだ。偉大と言わずして何というか。筒井康隆は、現役で一線級の作家であるということは言わずもがなだが、「ロートレック荘事件」の他に「時をかける少女」というロングセラーを生み出したことが、また凄い。「時をかける少女」は、角川つばさ文庫から出ているのだが、小学生が今も読んでいる…!という驚き。ぜひ「みんなのかんそう」を読んでもらいたい。「マ、マジか…」と驚倒した。小学生の心をときめかせているのだ!御年82歳の大御所が!(実際は大御所の若き日の作品が!)。

1990年の「週刊文春ミステリーベストテン」では7位。「このミステリーがすごい!」では11位にランクされている。週刊文春は2位に「剣の道殺人事件」(鳥羽亮)、4位に「隠された帝」(井沢元彦)が入っている。作者には悪いが、どちらも今となっては忘れられた作品だろう。鳥羽亮は、現在は時代小説作家。井沢元彦は以前はよくテレビのコメンテーターで見かけた。が、最近はどうされているのだろうな。連城三紀彦は亡くなってしまったが、あとの人たちが現役というのは嬉しいことである。「このミス」では、冒険小説が多く入っているのが感慨深い。3位「炎流れる彼方」(船戸与一)、4位「遥かなり神々の座」(谷甲州)、5位「天使たちの探偵」(原籙)、6位「帰りなん、いざ」(清水辰夫)、8位「還らざるサハラ」(藤田宜永)…。懐かしい。内藤陳さんも健在だった。