眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

バイオハザードⅤ:リトリビューション 感想

脚本・監督は、ポール・W・S・アンダーソン。2012年のアメリカ映画。

感想
見たかどうか覚えていないので、テレビを一応録画してみた。見始めてしばらくはピンとこなかったが、本題に入ってようやく「見た」と確認。しかし内容の方はおぼろげにしか記憶しておらず、再見して、いやこれはこれでなかなか面白いのでは…と。今更ながら、感想を簡単に。


ネタバレしています。気にする人は、もはや誰もいないでしょうが。一応。

序盤の、平和に暮らしているアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)家族に襲い掛かるゾンビの群れ、口が大きく開いて中から触手が延びてくるのもショッキングで、始まりとしては文句なし。家の外の風景が「ドーン・オブ・ザ・デッド」の冒頭部と似ているのは偶然なのか意識したのかどうか。しかも3作目のカルロス(オデッド・フェール)がアリスの夫として登場し、更には1作目で死んだはずのミシェル・ロドリゲスが普通の女性として、他にも1作目の突入チームの隊長や、中島美嘉までもが再登場。どうしてこんなことが…と思っていると、なるほどと思わせるネタが用意されており、意外な展開が興趣を呼ぶので盛り上がる。が、クローンとはいえ、無残にその命が作られ捨てられるというところの命の弄び具合は、アンブレラのやり口の酷さと同時に、そんな風に作りゃショッキングだろうと思っているのだろう、作り手の考え方の軽さも感じさせて、なかなかに寒々しい。こちらも、それに合わせた程度の低い薄ら笑いを浮かべながら楽しむしかない。ジル・バレンタインも再登場するが、もはやシエナ・ギロリーに過去作のジルの面影が全くないのでは、再登場にありがたみがない。一方で、エイダ・ウォンを、リー・ビンビンが美しく再現しているだけに、余計に残念な気持ちになる。

4作目で抜き取られたアリスの能力を、ラストでもう一度戻すというのも行き当たりばったりな感じは否めない。後出しジャンケンのように、後付けの設定をシリーズを重ねるごとに投入するので、作品ごとに印象が変わってしまい、シリーズ全体の統一感が薄いのである。が、そういうところも愉しい。如何にも、ヒットしたので次を作りました、という感じがよい。なのでこういう映画は、地上波で気楽に見るのが一番楽しいのではないかと思う。そのたびごとに、あーだこーだということも、映画の醍醐味だと思うのである。

アクションの見せ場が盛りだくさんなのは、今の娯楽映画としては最重要。あれこれと趣向を凝らしてあって飽きさせず、スローモーションの見せ方もかっこよい。もうホラー映画としての面白みはほとんど失せてしまっているので、そこに注力するのも仕方ないのだろう。ゲームの方もホラー要素は減退してしまったこともあるし(「7」では。ホラー寄りに戻っているが)、そこを気にする観客も今やいないだろう。映画もゲームも、「1」が懐かしい。それにしても次の「ザ・ファイナル」まで4年も空いたんだな。アンダーソン作品は、間に「ポンペイ」があるけれど。ミラは、2014年に「アナーキー」、2015年に「サバイバー」に出演している。既にシリーズは完結しているが、少々寂しい気もしますな。しれっと復活してくれても、個人的には全然かまわないんですが。