眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

エグジット・スピード ★★★

監督 スコット・ジール/2008/米

脱走兵のメレディスは、追手の軍曹を撒いてエルパソ行の長距離バスに乗り込む。しかしその道中、バスはノマドと呼ばれる暴走集団に襲われ、廃屋に逃げ込み、籠城。が、メレディスの口癖、「止まってはダメ」という言葉に引っ張られ、脱出と防御と攻撃の準備が進んでいく…。

文明崩壊後の世界を描く「マッド・マックス2」的な80年代の人気ジャンル映画を思い出させる。主役と思われたバス運転手がいきなり死亡し、本当の主役(の一人)であるメレディスも腹を撃たれて負傷するサプライズが素晴らしい。アメリカの片田舎の小さな闘いになんて誰も興味がないという薄ら寒さと、映画自体の安っぽさとが重なるのが低予算映画の味わい。昔も今も変わらないものがある。英語の話せぬメキシコ人、弓の大会に行く途中だった選手、見るからにダメっぽい男や、やたら気性の激しい野球のコーチや、バカっぽいカップルといった面々など、籠城する人々はきちんと描き分けられて、葛藤や軋轢もあってドラマとしては正攻法。各人に見せ場が用意されているのも愉しく、特にリー・トンプソンは、走って助けを求めに行くという重要な役割で見せ場多し。フレッド・ウォードにも見せ場が欲しかった。