チューリング・パターン

デザインの骨格

デザインの骨格

『デザインの骨格』山中俊治著を読む。
プロダクトデザインの第一人者。
仕事の関連本のつもりで読み出したら、
プロダクトデザイン+α、得るものがあった。
特に、チューリング・パターン。

チューリング・パターンという生物の体の模様の古典的な
数学シミュレーションがあります」

「まあ素人なりの理解で乱暴に説明すると、お互いに反応をおさえたり
強くしたりする影響力を持つ二つの化学反応が同時に広がって行くときに、
その広がりに周囲的なムラができるというものです」

「その影響の度合いをうまく調整すると、ヒョウ柄やシマウマ柄、熱帯魚の
模様などの様々なパターンが現れます」

チューリング・パターンは、チューリングの悲運な自死以降
埋もれたままになっていたそうだが、

「1995年に名古屋大学大学院理学研究科教授の近藤滋さんが、
熱帯魚の体表パターンがチューリングの提唱した原理で
形成されていくことを実験で確認して、状況が一変します」

「例えば生物の体に良く現れる繰り返しのパターン、
体節や脊椎などのリズムも、こうした化学反応の波がきっかけになって
生まれのではないかと」

「これは、生物のデザインにおいては皮膚の模様も骨格構造も同じ原理で
作られているということを示唆します。
構造設計と表面処理を別々に考えてしまいがちなデザイナーから見ると、
いつもながら自然界の統一的な創造原理ってすごいですね」


鳥肌が立つ。自然、万物の法則性、みたいな。
誰が創り給うた。神が。
おいおい、それはインテリジェント・デザインじゃないかい。


てなことで、早速類書の『かたち 自然が創り出す美しいパターン』
フィリップ・ボール著を読み出す。
3部作の装丁がびゅーちふる。


話を戻すと、
作者は、スポーツ漫画を描く漫画家になりたかったそうで、
この本にも小林繁の投球シーンのイメージスケッチが
紹介されているが、うまい。
さらにサービスで巻末には、SF漫画が。
あたりまえだけど、メカがめちゃカッコいい。
プロダクトデザイナーだから、メカもちゃんと3Dというか
整合性が取れてないと許せないんだろうな。


慶応SFCでも教えているそうだが、
きちんとアート教育を受けた学生よりも、
作者のゼミではじめといっていいくらいデザインに携わった学生の方が、
ある日、突然、うまくなる、才能が開花するとか。
わかるような気がする。


作者のブログ。
山中俊治の「デザインの骨格」


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