生物多様性 - 「私」から考える進化・遺伝・生態系 (中公新書)
- 作者: 本川達雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/02/24
- メディア: 新書
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『生物多様性』本川達雄著を読む。
そう、名著『ゾウの時間 ネズミの時間』の著者。
書くきっかけは、
なんとなく生物多様性は大事だとは思うが。
「なぜ生物多様性を守らなければならないのか」
という素朴な疑問から。
本職の動物生理学から哲学まで
理系・文系を串刺しにして考察する。
「生物多様性」とは何かを突きつめると
「私」とは何かについても見つめることになる。
やさしい文章だけど、柔らかな解釈。
ズキューン!と来る。
さほど期待せずに手にしたが、
途中から、附箋をペタペタ貼りながら読み出す。
サンゴ礁について書かれた章が、まず、惹かれた。
「「不毛の海に豊饒のサンゴ礁」のふしぎ」
からだそうだ。
さらに
「安全な住みかを提供してもらっている」
一方、サンゴは褐虫藻から
「食べ物と酸素をもらい」
「排泄物も処理してもらう」
そうだ。
サンゴと褐虫藻のwin-win関係はわかった。
じゃ、「ファインディングニモ」のように
サンゴ礁が海洋生物たちのサンクチャリとなっているのは、
「サンゴの粘液」だとか。
「サンゴは透明な粘液で体の表面をすっぽり覆っています。
これは清潔と保護のためです」
「それが他の生物の良い餌になるからです」
知らなんだ。
「剥がれ落ちた粘液を食べて細菌が繁殖し、その細菌を餌にして
動物プランクトンが増え、それを小魚やゴカイなどが食べ、
さらにそれを大きな魚が食べてと、サンゴ礁の食物連鎖が続いて
いくことになります」
この完璧な生態系を破壊しているのは人間だ。などと、
ディープ・エコロジストめいたことは言いたかないが。
続く。