週刊少年サンデーで「うる星やつら」、ビッグコミックスピリッツ*1で「めぞん一刻」を連載してた頃のインタビューです。
インタビュアー、高橋留美子で色分け。
―小学館漫画賞受賞おめでとうございます。受賞の感想を。
まず、ありがとうございます。とにかくこれからもがんばって……何ていうんですかね、こんな時……要するに、賞をもらうだけのことはあったと言われたい……わかるでしょ、言わんとすることは。
―噂で、一日に20頁描くと聞きましたけれど本当ですか?
要するに20頁が一晩で仕上がるというのは本当ですけれど、その前に当然下描きとかありますから、背景だったら、一晩で下描きから20枚いきます。
―高橋さんの描く男性の、あのスケベさはどこからくるのでしょう?
うーん、別にスケベな男性が好きなわけではないけれど(笑)、作品の質からきてるんですよ。
―高橋さんの描く女性の、あの色っぽさはどこからくるのでしょう?
どこからと言われても……。色っぽい女性はすきですけどね。
―今、月産何頁ですか?
85枚程度で、調度*2いいですね。
―それ以上はいかない?
まあ否応なくはいってくるのもあるから……(笑)。そのなかから又、調度*3するべく努力します。
―まんが体験でなにかありますか?
やっぱり池上(遼一)さんの昔のですね。『少年サンデー』に載ったんですよ。、「何にもいらない」というの。その前の「怒りよさらば」とか、その頃「スパイダーマン」もやってて…。13才ぐらいの時かな、で、画をコピーしたり、画柄を変えようと思ったり、そういうことはありました。
―少女時代はどんな女の子でした?
とてもとても内向的で、想像にふけっているようなとてもおとなしい子でしたね。手塚先生の少女まんが「リボンの騎士」なんかの大ファンだったんですよ、小学校にあがりたての頃というのは。それで、キャラクターを頭のなかで動かして遊んだり……誰でもそういう体験あると思うんですけど。
―高橋さんのキャラクターのなかで、一番作者に似ているのは?
そうですねー、考え方は錯乱坊が一番似てますけど。
―仕事していない時、余暇のすごし方は?
寝てるか、TV見てるか、電話するかです。
―おちこんだ時、イライラした時の解消方法があったら教えて下さい。
寝てるか、TV見てるか、電話するかです。
―高橋さんのまんがの魅力はキャラクターの魅力である、とも言えると思 いますが、あのキャラクター達はどうやって生まれるんでしょう。
ラクガキをしながら考える……。もう“デザイン”と受けとってもらってもかまわないと思います。
―SFは、どんな作品をお読みになりますか?
そうですね、筒井康隆さん。やっぱり日本のもので、それもドタバタなんか…。スペース・オペラは読めません。
―条件さえ許せば描いてみたい分野、というのはありますか?例えば、シリアスものは描かないんですか?
シリアスは、やりたくないなというところはありますね。とにかく、ドンくさいのがやってみたい。ドンくさいSFというか……(笑)。SFでも、民族学*4関係の方をちょっと調べたいなと思ってます。まあ、根底にあるのはメロドラマです。
―ドンくさいというのはどういう意味で?
要するに、機械なんてでてこない。伝承とかを扱って、言ってしまえば諸星大二郎さんをもっともっと下世話にやれないかな……と。
―シリアスとは逆にギャグまんがだからこそいい点、というのはありますか?
反応がすぐ返ってくるんですよね。たとえば目の前で読んでて、笑ったらおもしろかったんだってわかるでしょ。そこが快感ですよね。やっぱりストレートだから、ギャグまんがっておもしろい。
―最後に、好みの男性のタイプを聞かせてください。
暖かくて、居てホッとすればそれがいいんじゃないか、と思います。
質問:*5編集部、インタビュアー・大島(少年サンデー編集部)
まんが専門誌FUSION PRODUCT創刊号(1981年7月)に掲載された「まんが家48人インタビュウ」より。
おやっ、と思ったのはこの辺の話。
手塚先生の少女まんが「リボンの騎士」なんかの大ファンだったんですよ、小学校にあがりたての頃というのは。
これ、ほかで言及してるの見た記憶無いかも。
男装・性転換的な話としてはかなり直接的に「うる星やつら」の竜之介、「らんま1/2」のらんまに繋がっているかもしれないですね。
SFでも、民族学*6関係の方をちょっと調べたいなと思ってます。まあ、根底にあるのはメロドラマです。
要するに、機械なんてでてこない。伝承とかを扱って、言ってしまえば諸星大二郎さんをもっともっと下世話にやれないかな……と。
これは「人魚」シリーズの話に関係してきそうな証言。何時頃から構想していたのか、というあたりで。
といった所で今回はここまで。
余談
- 取材時期は何時ごろか
分裂前、というか「ぱふ」休刊決定以前代だったのか、他のインタビュアー・回答者など見ると『ぱふ』読者に〜、とか書いてます。
小学館漫画賞の発表が毎年1月なので、自画像の服装などから見ても2〜3月頃と推測されます。
- 「48人インタビュウ」の回答者
あだち充、吾妻ひでお、石井隆、いしかわじゅん、石坂啓、岩重孝、奥平衣良、風忍、勝川克志、川崎ゆきお、向後つぐお、小山ゆう、近藤よう子、紫門ふみ、酒井美羽、坂口尚、坂田靖子、佐藤史生、さべあのま、嶌峰麻利子、新谷かおる、鈴木翁二、高橋葉介、高橋留美子、高野文子、矢口ジロー、たむらしげる、名香智子、新田たつお、猫十字社、はしもとてつじ、長谷川法世、はるき悦巳、ひさうちみちお、平口広美、福山康治、星野之宣、御厨さと美、宮西計三、宮谷一彦、村上もとか、森雅之、守村大、山田双葉、やまだ紫、湯田伸子、吉田秋生、渡辺和博。
一問一答形式と語り下ろし形式が混在。
- 雑誌について
「FUSION PRODUCT」という雑誌のなりたちなどについてはこちらのページが詳しいです。
社長さんについては色々な話があるのですが、ここでは割愛。*7