情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter


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13-09-03 22:55

[][][]1992年、ドラゴンボールが正式に海外輸出され始めた当時の集英社の考え方と状況など 1992年、ドラゴンボールが正式に海外輸出され始めた当時の集英社の考え方と状況などを含むブックマーク 1992年、ドラゴンボールが正式に海外輸出され始めた当時の集英社の考え方と状況などのブックマークコメント


 1993年に明治図書のオピニオン叢書シリーズのうち一冊として出版されたのがこの、『なぜ子どもは「少年ジャンプ」が好きなのか』(馬居正幸)


なぜ子どもは「少年ジャンプ」が好きなのか (オピニオン叢書)

なぜ子どもは「少年ジャンプ」が好きなのか (オピニオン叢書)



 週刊少年ジャンプが600万部越えという空前絶後の大記録を成し遂げていた時期に、集英社への取材、多くの資料を基に教育者の視点から分析・考察を行って書かれた本なんですね。

 作品作り論や読者論、なぜウケるのか、などといったあたりは、後の漫画研究書籍とも共通する内容が多く書かれています。


 その中で、終章「世界の子どもたちのもとに」に、ドラゴンボールの正式海外翻訳が始まった1992年当時の集英社の方針や周辺状況についての記述があったのでご紹介。



海外翻訳許諾について


 とにかく、当時は(今もだけど)海賊版がものすごく多かったというのが前提にあります。


  • ドラゴンボールの海外翻訳が正式に始まったのは1992年1月
    • それ以前は、全て海賊版。

 各国の状況を同書P117〜118から引用すると


  • 韓国
  • 台湾
    • 1992年9月から、東立出版
    • 『週刊宝島少年』にほぼリアルタイム掲載
    • それまでは海賊版が多数
  • 香港
    • JADEMAN社、単行本での出版。
    • まず日本版25巻(ナメック星編)から刊行、1巻からも順次出版(海賊版で24巻までが出まくってた?)
  • インドネシア
    • エレックスメディア社、単行本での出版。
    • ただし、日本版を分冊して、薄くしたものを販売
  • スペイン
    • プラネータアゴスティーニ社
    • 「ドラゴンボール」のみを週刊誌として発売*1
    • アニメは人造人間編から順次放映されてたらしい
  • フランス
    • グレナ社、1992年12月から単行本形式で刊行*2
    • アニメは放映中(DBZ?)
    • 批判もある

 と、まだまだ始まったばかりだったんですね。

 その後、ヨーロッパ各国、アジアでもタイとか、南北アメリカでも出版されていくようになるのは皆様ご存知のとおり。


 1993年時点だと、まだネットを通じてのスキャンレーションなんてのは想像の埒外だったよなあ。


集英社の考え方


 「文化侵略」という批判が生じる可能性があるのでは、という筆者の疑問に対して、集英社編集総務部次長(1992年取材当時)の、永井英男氏が語ったところによると



 私たちが最も心配なのはこのような批判です。

 本来は外国まで手が届く状態ではないのです。国内の競争で手一杯です。

 外国の出版社への出版許可などの、国際関係の問題を専門的に担当する者を置いたのは、実は今年からなんです。

 出版許可による会社の利益は、国によっては一度その国に出張すれば消えるくらいのものです。

 まして、文化侵略という気持ちなんて、どうして出てくるでしょうか。


 私たちが出版の許可を厳しくする目的は次の四つです。

 第一に、著作権者である作家の経済的利益を守ることです。


 第二に、粗悪な紙質、印刷などから、作品の質を守ることです。もし、自分が苦労して書いた作品が、自分の知らないところで、それも全く誤訳で汚く印刷されて売られていたらどう思いますか。


 第三に、外国現地の慣習、道徳観と合わないマンガをストップすることです。

 日本では青年コミックとして許される女性の裸も、現地では「色情マンガ」となります。海賊版がなくなれば、こうしたマンガも海外現地からはなくなります。なぜなら正式許可を出さないからです。


 第四に、それぞれの国の独自のマンガ文化が育たないことです。

 安易に日本のマンガを海賊出版している限り、自国の才能あるマンガ家を育てる努力をしないからです。


 ですから、出版契約の条件は、他の海賊版をなくすことができるかどうかです。海賊版が無くなる目処がたたなければ許可しません。

 さらにもうひとつあります。ジャンプのマンガを掲載する雑誌に、必ず自国の作家のマンガをいれることです。

 このことが可能と判断して、今年からやっといくつかの国の出版社に許可しました。

 しかし、やはり不安であることは否定できません。

 マンガはそれを生み出す国の文化を非常に反映します。それが文化の異なる国で、日本とほぼリアルタイムで週刊誌として発刊されるのです。

 どのような誤解を生むか・・・・・・本当に心配なのです。



 同書P119〜121


 と、真摯に考えを述べられています。


 一は、アニメ輸出と同時に漫画も輸出など、少し前まではアメリカでも少年ジャンプが出てたりとあったんですが、さて。


 二は、これは海賊版は本当に悪い品質のが多いんですよねえ。最近でも出てます。


 三は、海外版だと修正が入ったりってのはあるらしいですが・・・。

 そもそも翻訳をしないってのもあるのか。いや、でも、ToLoveるとかも出てたりするらしいしなあ・・・?


 四は、現在までに漫画を海外作家が描いてるものもあれば、混合も、と色々ありますね。

 完全にその国独自っていうのは、いまもう無いのかも。



海賊版と読者


 海賊版の功罪については、筆者も


 アジア各国*3では、海賊版かどうかにかかわらず、日本のマンガが出版されることについて、過去の歴史あるいは現在の経済問題と関連させることにより「文化侵略」という批判が生じる場合が少なからずある。

 と同時に

 少年ジャンプのマンガを世界の子どもたちが待ち望むようになったのは、集英社の営業活動の結果ではない。

 粗悪な海賊版を通じてである。


 と指摘をしており、読者である子どもには関係なく、大人が自己の都合で金儲けのために海賊版を作り、勝手に批判するというマッチポンプ構造であったというのも指摘していますね。

 そして



 計り知れない数の子どもたちが、日本の子どもたちとともに、ほぼリアルタイムで、少年ジャンプのマンガを読んで育っている。


 としています。

 この本が書かれてから20年、今でも海賊版は存在してますし、ほぼリアルタイム、いやさ、場合によっては日本の読者よりも先に海外の読者がネットを通じてのスキャンレーションで読んでたり。

 アニメ・ゲーム・漫画の、グローバル化ローカライズの垣根は色んな所で崩れたり混ざり合ったり、かと思えば変なガラパゴス化もしてたり。


 あと20年後には一体どうなってるんだろうなあ。そもそも紙の漫画雑誌は残ってないかもなあ。

 といった所で今回はここまで。


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  • アクション
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 鰯塩焼き

 さつまあげ

 小松菜の煮物

 ご飯

 味噌汁


*1:アメコミっぽい体裁なのか?

*2:これ、現物見たことあるけど、左右反転印刷だった

*3:この文脈上は、中韓のみを指している

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