風物

  『風物』 作詞作曲/衛藤文敬


  五月雨に群れるドクダミの葉に
  数センチ足りぬ前髪揺らし
  遊泳禁止のプールでお道化てみせるあなたに濡れて

 
  6月に蒸れる青山通り
  花嫁も向日葵もジオラマに人だかり
  その背後を幼少期の2人が走り抜けてく
  夏を舞台に


  脱げるボレロ 暮れる路地の裏の裏で
  役を終える風物詩がバケツの中へ
  かつての浴衣姿をラムネのビー玉に映す


  八月に茹だる打ち上げ花火
  黄昏の9月線香花火
  「どちらが好き?」と尋ねると
  両方と答える 侘びしらに
 
  10月生まれのあなたはいつも
  決まってこの時季夏風邪引いて
  キスして ねぇ
  空の水槽に残れる微熱が上がり続ける



 

nasca

  『nasca』 作詞作曲/衛藤文敬


  腐り始めた虫と花弁が 臭い薫る陽気な日曜日の
  春化粧は濃く(逆に) 横顔は薄れてゆく


  頭痛の種蒔いたね 田園の片隅へ 御洒落頭を垂れて
  見事な緑に眼を落とし凝らし 本望の肥やし


  壁伝いのネオン(街害街害)ネオン(GUY)


  学び舎からの悲鳴に祭り囃子はそっと寄り添って
  “まみむ”メモ書き読んでくれましたか?

  キャベツとの訣別や ろくすっぽ踊れやしないワルツを
  当てずっぽうの答え合わせが不可欠なら月曜日に身を任せて
  海沿いは演出で


  渚に落書きされた地上絵目印に
  海鳥は飛んでいる(緑は富んでいる)
  海鳥は飛んでいる(緑は富んでいる)


  ナスカに乗り忘れられた自転車前籠に
  間違いの向日葵が 間違いの向日葵が 


  渚に置き忘れられたバス停目印に
  待ち合わせでもしよう