1老朽原発廃止 2 女優トランプ批判 3 高所得世帯子弟もストレス有

トランプ氏「雇用生む」 米大統領当選後、初会見
Tweet
2017年1月12日 朝刊
 【ニューヨーク=後藤孝好】トランプ次期米大統領は十一日(日本時間十二日未明)にニューヨークのトランプタワーで、記者会見を開き、「最も多くの雇用を生み出す大統領になる」と抱負を述べた。米自動車大手フォードがメキシコでの工場建設を取りやめたことなどに触れ「多くの企業が米国に戻ってきている」と指摘した。
 トランプ氏が自分の私生活に関する不利な情報をロシアに握られているとの米メディアの報道について「ナンセンスが広まろうとしている」と不快感を示し、「恐らく情報機関が流した」と批判した。ロシアとの関係については「プーチン大統領が私を好きなのは強みだ」と述べた。
 ただ、米大統領選へのサイバー攻撃について「(背後にいるのは)ロシアだと思う」と語った。
 国内外で幅広く展開しているホテルやカジノなどの事業は大統領就任後、利益誘導を疑われると指摘されており会見でトランプ氏の弁護士が「二人の息子に経営を譲る」と明らかにした。
 今回の会見では、米国第一主義に基づいて雇用を創出するための経済政策や、中東での過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に向けた外交政策など、就任後に最優先で取り組むとしていた項目についての詳細な言及はなかった。
 主要メディアを批判するトランプ氏は、ツイッターで頻繁に個人や企業への攻撃を続けて世界に波紋を広げているが、単独での記者会見は昨年七月二十七日以来、約五カ月半ぶり。



【国際】
NY近郊の老朽原発2基閉鎖で合意
 州知事「人口過密地域に時限爆弾」

Tweet
2017年1月10日東京新聞 夕刊

 【ニューヨーク=北島忠輔】

ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)は九日、

ニューヨーク市近郊にあるインディアンポイント原発の二基の原子炉を二〇二一年四月までに閉鎖することで運営会社のエンタジー社と合意したと発表した。

稼働から四十年が過ぎており、安全性を懸念するクオモ氏が閉鎖を求めていた。

 同原発は市中心部から北に約六十キロのハドソン川沿いに立地。二〇一一年の東京電力福島第一原発事故の後に原子力規制委員会(NRC)が実施した検査で、「地震による影響を受ける危険性が最も大きな原発」と指摘されていた。

 合意によると、2号機(一九七四年稼働)は二〇年四月、3号機(七六年稼働)は二一年四月までに閉鎖する。

エンタジー社は千五百万ドル(約十七億四千万円)を拠出し、地域振興や環境保護などに充てる。

原発の従業員は今後、風力発電水力発電などの技術訓練を受けられる。

エンタジー社は、シェールガスの増産でエネルギー価格が低下したことや、原発の規制強化によるコスト増など経済的理由から閉鎖を決めたとしている。

 クオモ氏は九日の演説で

「私たちの土地は祖先から受け継いだものではない。子孫から借りているものだ」と強調。

「安全性に疑問があるこの原発は、ニューヨークが抱える時限爆弾。こんな人口過密地域に近い原発はほかにない」と述べ、

再生可能エネルギーの開発に力を注ぐ考えを示した。

 八十キロ圏内に二千万人以上が住んでいるとされ、クオモ氏は「事故時の緊急避難は不可能だ」と主張してきた。

1号機(六二年稼働)はすでに運転を停止。

残る二基も近年は老朽化が進み、汚染水漏れなどのトラブルが続発していた。

2 【国際】
ストリープさん、トランプ氏の「移民排斥」批判 Gグローブ賞
Tweet
2017年1月10日 朝刊

 【ロサンゼルス=共同】

アカデミー賞の前哨戦となる映画賞、第七十四回ゴールデン・グローブ賞の各賞が八日、米ロサンゼルス郊外ビバリーヒルズで発表され、ミュージカル映画ラ・ラ・ランド」がミュージカル・コメディー部門の作品賞や主演男優・女優賞、監督賞など史上最多の七部門で受賞した。

 ラ・ラ・ランドは、ロサンゼルスを舞台に女優の卵とジャズピアニストの恋愛を描いた。

ドラマ映画部門では米マイアミの貧しいアフリカ系少年の成長を描いた「ムーンライト」が、

アニメ部門では「ズートピア」が受賞。

日本関連の候補作品はなかった。

 授賞式では、エンターテインメントの分野で顕著な業績を挙げた人を対象とするセシル・B・デミル賞が女優メリル・ストリープさんに贈られた=写真、ロイター・共同。

ストリープさんはスピーチで移民排斥を唱えるトランプ次期米大統領に対し「ハリウッドはよそ者や外国人であふれている。彼らを追い出せばアメリカンフットボール総合格闘技以外、見るものはなくなる」と批判した。

 一方、トランプ氏は九日、ストリープさんの発言に反発し、ツイッターでストリープさんを「ハリウッドで最も過大評価された女優の一人だ」とののしった。

3 ■ ライフ
子どものストレスは高所得家庭でも
小宮山洋子

先日、貧困状態にある家庭だけでなく、高所得世帯の子どもも 標準的な所得の家庭に比べて不安を感じている割合が高い、と いう調査結果が報じられていました。日本医科大の研究チームが まとめたものです。

調査によると、高所得世帯の子どもは、学業に ストレスを感じる傾向が高い、ということです。貧困家庭の子どもに ストレスが多いことは理解されているが、高所得の子どもも勉強の プレッシャーなどがあるので、見逃さないように、と。

この調査は、 2007年、2010年、2013年の3年分の国民生活基礎調査に参加 した12?18歳の9491人のデータを分析して、家計と子どもの 抑うつ・不安状態との関連をまとめたものです。

調査では、子どもを 世帯の所得水準によって5つの層に区切り、質問票の記入内容から 不安を抱えていると判定した子どもの割合を比較しました。

所得が 真ん中の層にいる不安な子どもの割合を1とすると、最も低い貧困層 は1.6倍、最も所得が高い層は1.3倍でした。何らかのストレスを 感じている子どもは全体で41%。その原因は、人間関係や家庭の 経済状況を上げる割合が貧困層で最も高く、学業が原因としたのは、 高所得層が75%と最も高い割合だった、ということです。

子どもの貧困 への対応も予算面など不十分で、様々な市民活動の中で、少しずつ 補っている状態です。一方、高所得の家庭の子どもも別のストレスを 感じている、ということは忘れがちだと思いますので、この指摘は心に 留めたいと思います。

どのような家庭の子どもであっても、それぞれの 個性をいかして、いきいきと生きていける社会にしたい、と政治の世界 でも、今はひとりの市民として、できることをしてきているつもりです。

諸外国では、子ども手当など、子どもへの支援は、所得に関係なく、 すべての子どもを対象にしていますが、日本では、所得制限があり、 高所得層は別、としています。


高所得の家庭では、累進課税など別の 面で負担しているので、子どもへの支援はすべての子どもに、と考えて きましたので、高所得層の子どものストレスのニュースから、そのことを 考えました。

もっとも、累進課税がゆるすぎて、税や社会保障による 再分配が機能していないことは、別の問題として改善する必要がありますが。


4 ■ 政治
伊勢崎賢治の「新国防論」を読む
志村建世

 昨年から図書館に申し込みして順番待ちをしていた本が、この正月に次々とOKの通知が来て、このところ読書で時間を過ごしています。この本には「9条もアメリカも日本を守れない」という副題がついていて、毎日新聞出版による2015年11月発行の単行本です。9条もアメリカも日本を守れないのならば、何が日本を守れるのかという答えを先に言ってしまうと、それは「敵を作らない外交」なのでした。

 国防を論じる最初の認識として、日本は「背中がスカスカで国防の『懐』がなく、地政学上、非常に脆弱な位置にある」ということがあります。海岸線に原発を並べた現状は、どこの国も国際法を守ってくれるという「性善説」を前提にしないと、国防を考えることもできないのです。これは親米、反米をも超えた絶対的な命題なのです。

 伊勢崎氏は世界の紛争現場で何度も「武装解除請負人」の役目を果たしてきた人ですから、戦争を抑止するために効果のある条件づくりを熟知しています。その経験から語られる国防論には、本物としての説得力があります。著者は護憲論者ではありますが、非武装論者ではありません。交渉には丸腰で行きますが、正義のための武力行使を否定はしません。ただし現状のままの自衛隊に武器を持たせて海外に出すことには、絶対反対の立場です。法的な整備が全く出来ていないからです。

 著者は巻末に「日本の指針」として10項目を列挙して、この本の内容を総括しており、この部分を読むだけでも有益ですが、私の印象に残ったテーマを二つ紹介しておきます。

 その一つは「突発的な危機は空から起きる」ということです。陸には警察があり、海には海上保安庁がありますが、空の警備には戦闘機しかありません。つまり空では日常的に正規軍同士が領空をめぐって接触する機会があるわけです。しかもそれは客観的な事実関係を確認しにくい高空で、短時間のうちに起こります。ここで偶発的な衝突が始まった場合には、直ちに国際関係を緊張させる可能性があるのです。

 それだけに、空の警備には慎重な対応が求められます。戦争は、よく一発の銃声から始まると言われますが、戦闘機の先制の一撃は、直ちに「敵機の撃墜」につながるでしょう。そのような危険を相互に感じるような、瀬戸際までの接近をしない自制心が求められます。

 もう一つは、中国脅威論を煽らないということです。脅威の優先度を見誤らず、「憎悪」を排除して大局的に捉え、非軍事での対応を強化しなければなりません。

歴史修正主義」のレッテルは、日本の国防外交上の最大の障害になります。それよりも日本自身が、国際人権世論を味方に引きつけることが、何よりの安全保障になるのです。これを「心を入れ替え、善行を重ねている前科者」の立場と伊勢崎氏は表現しています。