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■ 政治
尖閣安保適用」は米のリップサービス

NEXT MEDIA "Japan In-depth"

文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・「尖閣諸島日米安保の対象」は米の日中双方へのリップサービス
・米は尖閣に介入する気無し。そもそもエスカレーションを許さない。
・日本政府にとってもプロパガンダとなっている。
■「尖閣日米安保の適用対象だ」の真の意味
最近の日米会談で常に言及される語句がある。「米国が『尖閣日米安保の適用対象である』と明言した」がそれだ。尖閣諸島は日本の施政権下であり日米安保の対象地域であると米側は毎回発言し、ニュースとなり報道される。
これはトランプ新政権との会談でも変わらない。今月3日のマティス国防長官来日でもそのような発言がありニュースとなった。2月10日に予定される日米首脳会談でも「日米安保の適用地域と発言するのでは」と予想されている。だが、尖閣への安保適用言及に意味はあるのだろうか?
残念だが、発言には何の意味もない。日本相手のリップサービスに過ぎないからだ。米国は尖閣問題に関して日中双方にリップサービスをしている。何の価値もないものであり、真に受けるものではない。
■米国は尖閣に介入しない
そもそも、本当に米国は尖閣での衝突に介入してくれるのだろうか?それはNOだ。米国からすれば尖閣はどうでもよい無人島である。日中はいずれも血眼になり、「自国の島である」と主張している。だが、そこには米国の利益はない。
実際のところ尖閣には何もない。米国どころか当事者である日中にとっても争うべき現実的な利益はない。経済的にも島や周辺海域にはペイするほどの資源はない。海底資源は経済的に間尺に合わず、漁業資源は既に日中の入会(いりあい)として解決済だ。軍事的にも何の価値もない。南シナ海岩礁のように飛行場や港湾を作れる島ではない。あるのは日中ナショナリズムの衝突だけだ。地図の上で島をどの色に塗るか。尖閣と書くか、釣魚台と書くか、だけの話である。
米国からすれば、他人の離婚調停や親権争いのようなものだ。当の本人たちは必死である。だが、周りからみれば「どうでもよい話」でしかない。そんなことで米軍が血を流すのは馬鹿らしいと考える。これには前例がある。米国はフォークランド紛争には関与しなかった。最も親しい同盟国でも領土問題は馬鹿馬鹿しいとして関与しないのである。
尖閣はさらに関与し難い。日中双方とも関係が深いので片方に肩入れしたくないからだ。米国にとって日本は安全保障での同盟国だが、中国も経済面では自由貿易のチームメイトであり、最大のパートナーである。


そこで日本に肩入れすれば「領土問題に介入した」と中国に恨まれ、肩入れしなければ「同盟国のくせに何もしない」と日本に恨まれてしまう。
■日中双方へのリップサービス
その米国はなぜ「尖閣諸島日米安保の適用対象である」と明言するのか?そう発言するだけで利益を得られるからだ。米国はリップサービス一つで利益が得られる立場にある。そう発言すれば日本からオミヤゲを貰える。だから本心では介入する気もないのにそう発言する。それで日米交渉が有利となり、思いやり予算が増え、日本国民の年金資金を米国に貢いでくれる。だからそうする。
なお、米国は中国側にも同じようにリップサービスをしている。「米国は日中の領土問題に介入しない」といった発言がそれだ。中国に対しては、米国は中国の味方ですといった顔をしている。当然だが、そう発言すれば中国からも利益を引き出せる。
■「巻き込まないでくれ」米の本音
米国は尖閣問題で日中双方から利益を得ている。そういうことだ。ちなみに日中双方へのリップサービスは矛盾しない。どちらも一般論であって、尖閣で具体的なアクションを起こす/起こさないことを約束するものではないからだ。だがもし日中が尖閣問題で加熱し、いざ熱戦になろうとしたとき米国はどうするのだろうか?
そこも抜かりはない。米国は日中双方に釘をさしているからだ。米国の尖閣問題に対するスタンスは「日中双方が冷静に対応することを望む」といったものだ。その意味は「余計なことはするなよ」というものだ。これはどちらにも「エスカレーションは許さない」「騒ぎを起こしたら圧力を掛けるからな」と念を押すものだ。
■米国の三段論法
なお、この構造は四年前に香港誌で閔之才さんが指摘したものだ。『鏡報』2013年1月号の「美国:一『魚』釣両国」(注1)がそれだ。閔さんが文中で「美国在釣魚島問題上一直重複講三句話」として述べているものを大雑把に整理するとつぎのようになる。
米国の論法は
1「尖閣諸島日米安保の適用範囲」といって日本人を喜ばせ
2「米国は日中の領土係争には関与しない」といって中国人を喜ばせ
3「日中が冷静に処理することを望む」といって巻き込まれないようにする

■米の発言に価値はない

尖閣への安保適用言及には何の価値もないということだ。では、なぜそのような空虚な発言が日米会談で繰り返さるのか?簡単なことだ。日本がそれを求めるからだ。
もちろん、米国にその気はないことは日本側も承知している。

だが、その発言を引き出したことが時の政権や安全保障セクターの実績・得点となる。だから判で押したように同じ発言を米側に求め、引き出す。


それで

「政権の外交安保努力の成果である」

「外務省や防衛省の施策は成功している」

と自賛するためだ。

だから、発言を真に受けるべきではない。その時その時の政権のプロパガンダ程度でしかない。

(注1)閔之才「美国:一『魚』釣両国」『鏡報』426(香港,鏡報文化企業有限公司,2013.1)p.18


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アメリカ政治
アメリカ入国制限令、国務省職員約900人が批判文書に署名
2017年2月1日(水)09時34分
1月31日、トランプ米大統領は、大手製薬会社の首脳と会談し、国内生産を拡大させると同時に薬価を引き下げるよう要請した。また、日本や中国を名指しして通貨安を誘導していると指摘した。写真はホワイトハウスで同日撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)
  トランプ大統領が発令したシリアやイランなどイスラム圏7カ国からの難民・旅行者の入国を制限する大統領令に関し、約900人の国務省職員が同措置を非難するメモに署名をしたことが、事情に詳しい関係筋の話で31日、明らかになった。  国務省の高官は、同メモが既にシャノン国務長官代行に提出されたと認めた。  スパイサー大統領報道官は30日、メモについて把握しているとし、「大統領令に従えない官僚は辞めてよい」と述べていた。  ロイターが確認したメモの草案では、大統領令が対象となる国との関係を悪化させ、反米感情をあおり、人道的な理由で訪米を計画していた人たちに影響を与えると訴えた。また「差別反対、フェアプレー、海外からの訪問者や移民に対する歓迎姿勢という、米国の基本的価値観に反する」とした。  国務省職員によると、同大統領令の署名以前でも、トランプ大統領が対ロシア制裁の緩和を計画しているとの報道を巡り、省内で懸念が広がっていたという。

[ワシントン 31日 ロイター]


イバンカ トランプ の商品を買いなさい、非常に良い製品だから、と、トランプの政権公式スタッフが、メディアに向かい述べた、これは、連邦政権スタッフに禁止されている宣伝広告であり、問題となっている。


アメリカ政治
トランプの「迷言女王」コンウェイ、イバンカの服宣伝で叱られる
Kellyanne Conway ‘Counseled’ on Pitching Ivanka Trump’s Line
2017年2月10日(金)16時30分
ミシェル・ゴーマン
ホワイトハウスでトランプのそばに控えるコンウェイ Kevin Lamarque-REUTERS
<事実や倫理を捻じ曲げてまでトランプや家族のために尽くすケリーアンコンウェイが注意を受けた。処分はまだ不明> トランプの大統領顧問ケリーアンコンウェイは木曜、米FOXニュースのインタビューで、トランプの長女イバンカのファッション・ブランドの商品購入を呼び掛けて新たな迷言エピソードを作った。 高級百貨店のノードストロームは最近、イバンカのフッション・ブランド「イバンカ・トランプ」の売り上げ減少を理由に販売中止を発表した。すると父親でアメリカ大統領のドナルド・トランプが「娘に不公平だ」とツイートしたため、公私混同と問題になっていた。コンウェイはそこに困った助け舟を出したのだ。 【参考記事】親馬鹿トランプ、イバンカをかばい「利益相反」体質さらす ホワイトハウスからの中継にコンウェイは笑顔でこう言った。「みんなイバンカの商品を買いに行くべきよ。素晴らしい商品で、私もいくつか持っている。無料で宣伝させてもらうわ。今日買いに行きましょう」 政府職員の地位を利用した特定商品の宣伝だ、と共和党幹部を含めた政府関係者から一斉に非難の声が上がった。下院監視・政府改革委員会の民主党トップ、イライジャ・カミングス議員(メリーランド州)は、「政府倫理局」に調査させ、コンウェイを懲戒処分にするよう要求した。「これほど政府職員の地位乱用が明白なケースも珍しい」と、ワシントンで米政府を監視する市民団体CREWのノア・ブックバインダー事務局長は言う。
献身的な努力の結果
ホワイトハウスのショーン・スパイサー大統領報道官は同日、記者団に対し、「その件ではコンウェイは注意を受けた」と言った。コンウェイに注意をしたのは誰なのか、どんな処分を受ける可能性があるかは不明だ。 【参考記事】サタデー・ナイト・ライブに「スパイサー報道官」が笑劇デビュー! コンウェイはもともと、共和党テッド・クルーズ上院議員など保守系の政治家のコンサルタントを務めていた。昨年夏にトランプの選挙対策本部長を務めて知名度を上げたが、トランプ当選と共に大統領上級顧問に就任してからは、トランプや関係者の尻拭いに献身的な努力を見せ、数々の迷言を残してきた。 今では有名な「オルタナティブ・ファクト(代替的事実)」はその代表。トランプ大統領の就任式の聴衆が「過去最大だった」と、誰が見ても嘘とわかる嘘をトランプが言い、ショーン・スパイサー報道官が公式に発表した後、記者に問い詰められて「それはオルタナティブ・ファクトだ」と答えた。また7カ国の国民の入国を禁止した大統領令を擁護するため、実際にはありもしないイスラム過激派による「ボウリング・グリーン虐殺」事件に言及したこともある。 【参考記事】トランプの「嘘」まとめ(就任式、対日要求ほか)
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