不合格だった受験生のお母様に向けて 「ここが、母の踏ん張りどころです!!!」

昨日あたりで、首都圏中学入試の1日校の結果も出たんじゃないかと思います。
合格だった受験生の皆様、「おめでとうございます。」ですが、ここでは、不合格だった受験生のお母様に向けて書きたいと思います、
娘が中受失敗・・・・ ただ今修羅場でござるorz という、何ともやりきれない気持ちになるものを読んだせいもありますが。





「不合格」を前にして色々と思うところはおありでしょうが、
ここが母の踏ん張りどころです!!!

一番ショックを受けているのはまだ12歳の子どもです。そして今までを振り返れば、一番頑張ってきたのは、塾の送り迎えをしたりお弁当を作ったりプリントの整理をしたり早い受験番号を取るために早朝から厳寒の中並んだあなたではなく、子どもですよ。


ここで母が踏ん張らなくてどうするのですか!!!


1日校ならば、どこも倍率は3倍くらいですか?だとしたら、不合格だった受験生の方が合格者よりずっとずっと多いのです。あなたの家庭だけではありません。「でも、塾でウチの子より成績が悪かった子が理不尽にも受かってる。」って?そうです、その子は合格したんです、今年の入試問題で今年の配点で今年のコンディションで。それ以上ではなく、それ以下でもない、それだけのことです。生まれてたかだか12年しか生きていない子どもたちの受験ですよ。「入試を2回やったら、合格者の半数は入れ替わる」と昔塾の先生が言っていたのを覚えていますが、本当にその通りで、小学校お受験ほどではないですが、12歳だとまだ生まれ月も関係しますし、子どもによって体力的にも精神的にも発達度合いに差がある年齢ですから、言い方は悪いですが「博打」、←これは酷いですね、「ゲーム」のようなものなのです、中学受験とは。ですから、中学入試で第一志望が不合格だったからと言って、子どもの能力(これから思春期にぐ〜んと成長する伸びしろも含めて)や努力が他の子どもに比べて劣っているということには、全くならないのですよ。


とにかく、母であるあなたが取り乱したり、落胆している様子を子どもに見せないことです、大人なんですから、親なんですから、そして一番頑張って一番ショックを受けているのは他でもない我が子なのですから。


先ず、冷静にこれからのことを考える事です、先に父親である夫とよく話し合って、もう一度あらゆる可能性を考えて決めるべきでしょう、決して、もう塾の先生の口車に乗らないように。その上で、子どもと話し合うべきでしょう。どうか納得のいく決断をしてください。


塾の先生は何と言うでしょうか?
「(合格している)第二志望や第三志望の学校も大学進学率は素晴らしいからそこで頑張れ!」と言うでしょうか?
不合格者にはそそくさと慰めの言葉を言って終わり、でしょうか?
「公立中はダメだ、だから私立受験!」と煽ってきた手前、公立中への進学は勧めないでしょうね。
高校受験を目指す中学部が併設されている塾ならば、「すぐに中学部に入って、高校受験でリベンジだ!」と厚顔無恥に言うかもしれませんが。
もうわかったと思いますが、塾ってお商売なのですよ。もう来年の受験生に「今度は君たちの番だ!」とハッパをかけていますよ、今年の受験はお商売的には終わったのですから。


「不合格」から得られる教訓の一つは、この国の教育行政が貧困な故に「塾・予備校」が本来の学校教育を浸食し、既に必要悪と化しているのですが、それを利用することはあっても決して振り回されてはいけない、ということを理解することではないでしょうか。「合格」した受験生とその親はそれに気付かないで、この先も「塾・予備校」を妄信したままいくのですけど。
他にも得られる教訓としては、合格した受験生や親御さんから、当人たちにしてみれば気がつかない、けれども不合格だった自分の子どもやその親である自分にとっては、無神経とも思われる言動を受けた時にどう感じるか、ということです。無神経な慰めや励ましに傷ついて怒りますか?でも、考えてみてほしいのです、もし逆の立場だったら、もし我が子が合格していたら、そしてあなたも合格した受験生の親だったら、同じことを不合格だった受験生やその親御さんに対して、悪気はなく良かれと思って言ったりは(「◯◯ちゃんは、絶対合格すると思ってたのに〜」「◯◯くんなら△△中学(第二or第三志望)に行っても頑張れるよ。」等々)しなかったでしょうか、「合格」気分で高揚したままに。それで自分が知らないところで、友人を傷つけたり失ったり遠ざけてしまうことになっていたかもしれません。「不合格」だったからこそ気付くほろ苦い、けれどもこれからの人生においてとても大事なことかもしれなくて、これは寧ろ「良かった」と思わなければなりません、「合格」した受験生とその親はそれに気付かないで、あなたとあなたの子どもを傷つけ、失い、そして同じようにこれからも多くの友人を失うでしょうから。


納得のいく第二志望第三志望に合格を頂いているのならば、気持ちを切り替えて進学するのも順当でしょうが、首都圏ならば、公立中学から、開成や早慶をはじめとした私立高校や、都立県立高校に進学する、という選択肢があるのもお忘れなく。



もう一度言います、お気持ちはよ〜くわかります、我が子の努力(と母である自分の努力)が報われる結果になってほしかった、という気持ちは。でも、結果は出てしまったのです。遠くを見てください。これで人生終わりではありませんし、寧ろ子どもにとってはこれから本当に始まるのです。子ども時代を卒業して、思春期を経て大人になっていくのです。その大きな世界に広がって行く起点である今、中学受験の合否などちっぽけなことです。今まで塾で勉強してきたことの何倍ものこと、たかだか中学受験に必要なことの何倍ものことをこれから学んでいくのですから。そして人生で最も輝いている時期を過ごしていくのですから。

我が子を産んだ時の痛さ(あれは痛いですよね〜〜!!!)を思えば、これしきのこと、母ですもの、ど〜んと踏ん張ってください。


でも敢えて苦言を呈すると、本当は受験の前、否、中学受験をすると決めた時に、「第一志望が不合格だったらどうするか?」ということは決めておくべきだったんですよね。例えば、
・第一希望が不合格だったら、公立中学校に行き、高校受験で頑張る。
・第二希望の学校にも合格していなかったら、同地じく公立中に進む。
・第三希望だろうが第四希望だろうが、何が何でも私立の高校受験がない学校に行って、受験を気にせず自分のやりたいことをやる。
と明確に子どもと決めておけば、そして「受験は受験でしかない」と親子で納得していれば、第一志望に不合格の時にでも、ダメージが少ないのではないでしょうか?


もう何年も前、息子が中学受験をする時、試験の前日に学校の先生(※塾の先生ではない)が息子に下さった言葉が忘れられません。塾の先生なら「君なら絶対大丈夫!絶対に合格する!」と、一見力強く見える言葉、実は根拠がなく空疎な言葉、塾生なら誰にでも言う言葉で煽るとことですが、その先生は違いました。文章で渡してくださったので、家で静かにじっくり読むことができたのですが、それとは、

4月から君の行くべき中学校はもう決まっている。その中学校で君は勉強し、放課後は部活に励むだろう。その中学校では君と友達になりたくてたまらないヤツが君を待っている。たくさんある中学の中からその中学校を見つけるために、合格も、そして不合格もある。

という言葉です。「合格」だけではなく「不合格」もある、ということ、そしてその「不合格」があるからこそ自分が行く学校を見つけることができる、と私は読みました。親の浅知恵で選んだ第一志望の学校は必ずしも子どもにとって一番いい学校ではないかもしれない。第一志望が不合格であったがために行くことになった中学校で、子どもにとって「人生の師」とも言うべき先生に出会うかもしれないし、生涯にわたって付き合える友達に出会うかもしれないのですよ。また、この先経済情勢が不透明な中夫がリストラされて第一志望の中高一貫の私立に通っていたら授業料が払えず退学しなくてはならないことになったり、大地震が起こった時に遠距離通学の都心の私立に行かせていたとしたら、とか、まさに今運命の分かれ道かもしれなくて、だから「不合格」は神様(私は信心はありませんが)が出してくださったサイコロの目、くらいに思いましょうよ。







さて、ここからは本当に蛇足で、書こうかどうしようか、書くとしてどのように書こうか迷ったのですが、今我が子の「第一志望不合格」という事実を前にして呆然としているお母様が「どう身を処すればよいか?」という具体的な方向を考える一助になればよいと思い、私が実際に見聞きした「第一志望に不合格だった」受験生の親(母親)について、多少事実をぼかして(どれも実話なのですが、特定されないように加工しています)書いてみるので、参考にして頂ければと思います。


① 中高一貫の男子校に落ちて共学の大学附属中に入学することになった男の子のママ

確か受験生当人の男の子が小学校4年生くらいの時から、既にそのママは歴史ある中堅の「◯◯中に息子を行かせたい」と公言していた記憶があります。学校見学会もご夫婦で熱心に一度ならず行っていたようです。勿論世の受験生の母がやるように、塾の送り迎えもしていましたし、塾の先生とは頻繁に面談もし、また毎回温かいお弁当も届けていました。ところが、一次募集で不合格。二次募集でも不合格。結局「上に大学がくっついているから、あの学校に行くと気が緩んで勉強しないんじゃないかしら」と言っていた共学の附属中に入学することになりました。彼女は元々顔も広く、あちこちに知り合いもいましたから、かねて公言していた中学が不合格だったことは、息子のみならず彼女自身にとっても不本意だったと思います。ところが、それからがそのママのエラいところで、その附属中にとことん関わっていくのです。先ず学校のPTAの役員を引き受け、そして息子が入った吹奏楽部が遠征する時には必ず追っかけで遠くの会場まで駆けつけて差し入れして応援し、そういう訳でその附属中・高でママ自身も父兄同士で沢山友人を作ったそうです。息子は小学校6年生の時には、ガリガリで身長も低い方だったのが、中学で「1年に7cmずつ3年間身長が伸び続けた」とかで175cm超の長身になり、高校では「1年に一人ずつ3人の彼女ができた」そうで、青春を謳歌し、またそのままエスカレーター式に大学に入るのではなく、一浪はしましたが外部受験で理系では私立トップクラスの大学に合格。ママは息子が大学に入った時に「子育て終了宣言」をして、ケア・マネージャーの資格をとり仕事を始め、また外見もかなりのイメージチェンジをはかって周囲を驚かした・・・


②「第4志望」の中高一貫男子校に入学した男の子のママ
中学受験塾ではいつも最上位のクラスにいて模試の成績もよく、塾の先生に「君なら絶対に大丈夫!」と言われて受けた東京の男子校御三家がまさかの不合格、神奈川県の御三家も不合格、結局彼のプライドからしたらありえない「第4志望」に進学することになった男の子。ママはずっと「あなたはこんなところで満足していてはいけない。必ず大学で挽回しなさい!」とハッパをかけていたそうです。中一から塾にも行っていたそうです。中学2年の終わり頃までは、学年でダントツのトップの成績だったそうですが中3で突如無気力になり成績は急降下。ママは元々その学校の父母会は関心もなく殆ど顔も出さないまま、高校になってからは勉強面でも他の面でもすっかり存在感が薄くなってしまったその彼がどこの大学に行ったのか誰も知らない・・・



大学入試の話になってしまいますが・・・やはり「母の道」として参考になるかも、と思うので、以下の例も書いておきます。



③ 東大文1を落ちて慶応の法学部に入学した男の子のママ
そもそも彼女は一人息子が中高一貫の中学に入学した当初から「東大」について異常に詳しくて、ご自分が東大出身なのか、既に子どもを何人も東大に入れているかの如くの知識でした(どちらも当てはまらないのですが)。そんなママだと子どもがプレッシャーを感じる場合も多いでしょうが、呑気な息子との相性は良かったみたいで、息子はヒネたりグレたりしないですくすくと育ち6年後に文1を受験し、そして落ちました。しかし彼は昨年で廃止になってしまったセンター利用の慶応の法学部には合格していました(それだけでセンターがかなりの高得点であったことはわかります)。彼は「弁護士になるのが目標だから、東大でなくても構わない、慶応に行きたい。」と、東大目指して浪人する同級生も少なくないのに、彼は浪人せずにさっさと慶応に入学を決めてしまいました。そしてその「東大」について膨大な知識を持ったママはどうしたかというと・・・。今はすっかり「慶応オタク」なんです!!!神宮球場にまで足を運んで六大学野球で慶応を応援したり、「司法試験の合格率は、慶応ローが一番なのよ!」と言うのはまあご愛嬌としても、慶応の学食や施設がどーとかトリビアな知識がすごく(日吉に「クィーン・アリス」があるって知ってました?)、有名人の慶応卒業生は全員暗記しているのではないか、というくらいの入れこみようです。息子も相変わらずマイペースで大学生活を楽しんでいるようです。・・・実は、私はこのママがすごく好きなのですね。母たるもの、こうでなくてはいけません。一見トンデモ母に見える彼女ですが、清々しいまでの潔さと、息子に対する揺るぎない信頼感があるからこそ、息子の方も母のことをいつも自分の理解者だと安心していられるのではないかと思わされます・・・




④ 親が揃って早稲田出身なのに娘を慶応に入れたママ
パパもママも早稲田出身。だから本来は娘も早稲田に行っていればハッピーだったのかもしれませんが。御三家に通っていた一人娘は現役・浪人とも文2を目指したものの力及ばず慶応経済へ。慶応経済受験を勧めたのは母で、その理由は「早稲田の政経より偏差値が高いし就職もいいから」(←母の狭い了見で受験校が決められた結果)。しかし、一人っ子だったせいもあってそれまで娘と二人三脚で受験をしてきたママの方が「東大不合格」の落胆の度合いが高く、いつまでも「東大」が諦められない様子。その憤懣が自分が勧めて受けさせた慶応の悪口に転化したらしく、口を開けば「私も主人も虫唾が走るくらい慶応は大嫌いなの。早慶戦では今でも当然応援するのは早稲田よ。」てな調子で、それを娘の前でもやってたらしいです。娘さんがそれをどう感じていたのかはわかりませんが、親に内緒で所謂「仮面浪人」。大学で入ったサークルもやめ、授業にも出ずに再度東大を目指して頑張ったそうなのです、「東大」に入って親を見返したい、もしくは親に認められたかったのでしょうか?でも「仮面」は大変です。そもそもせめて親の理解と協力がなければ精神的にも辛い「仮面浪人」ですが、仮に家族の協力があったとしても、1月〜2月の受験シーズンは大学の後期試験とも重なり、下手をすると(ていうかかなりの確率で)大学の単位も落とし、再受験する大学にも結局不合格、ということになりかねません。一浪してから「仮面」をやって仮に合格しても入学した時には「二浪」、不合格でしかも在籍大学の単位を落として留年すると「一浪一留」の2年遅れになるのですが、どうもそうなったらしいと風の噂・・・。母親はどう受け止め、どう娘に対処したのか気になります・・・。受験なんかで親子関係がこじれてしまうなんて、悲しいことです。娘が東大に合格していれば全て上手く行っていたのでしょうか?私はそうは思いません。娘を「自分の分身」のように母親が思っている限り、本当の親子関係は築けないのではないかと。





2012年子どもの受験で出た結果が仮に不本意なものであったとしても、そこはそれ、

母なんですから、
ここが踏ん張りどころです!!!
お子様が次の一歩を踏み出せますように。