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碧(あお)い日記 RSSフィード

2014-03-04

「帰ってきたヒトラー」を読んで 雑感 この本がドイツでベストセラーとなった意味




帰ってきたヒトラー Er ist wieder da.」

ストーリーは、単純です。

第二次世界大戦末期、ピストル自殺をして遺体はガソリンで焼かれたはずのヒトラーが、2011年の8月、ベルリンの空き地で目覚めます。

彼自身、何故そこにいるのかはわからないものの、戦前の記憶はそのまま。

現代に甦ったヒトラーは、生前のままに意見を言い、行動しているだけなのに、人々はそれをコメディアンが風刺としてやっている「芸」だと思い込んで、もてはやす。

最初は人気番組のキワものゲストであったが、徐々に人気と影響力を得ていき、あれよあれよと言う間に、何と国家権力に手が届くところまで状況が進んでしまう。


・・・という話なんですが。

この物語は、最初の設定(=ヒトラーが何故か現代に甦る)こそファンタジーですが、それ以外は一切ファンタジーはない状況設定で、徹頭徹尾、現実に即して描かれています。

そして、「いつ化けの皮がはがれるのだろう?」「いつ『ヒトラー』が自らの過去の過ちに気付くのだろう?」と思いながら読み進めると、全く裏切られてしまいます。

化けの皮は剥がれません、何故なら、彼は本物の「ヒトラーであり、彼自身、常に自分自身でいるから、です。

自らが犯した過去の重大な過ちについても、彼自身が現代の思想に触れて反省するどころか、第二次世界大戦についての清算を絶えずしてきたと言われているドイツ人の心にさえもまだ残っている未清算の事柄を、彼は、悪魔的なまでな巧みさで、白日の下に晒していくのです。


で、ここからは、長文、ネタバレになりますが、私の感想を綴ってみます。



コミュニケーションとは何?

前述したように、「ヒトラーが現代に甦っている」ということは、誰一人として気付きません。

何故なら、「お前は誰か?」「お前の本名は?」と聞かれて、彼が常に真実、「私は、アドルフ・ヒトラーだ。」と答えているから、なのです、この皮肉で、恐ろしいコミュニケーション

彼が、「私は、アドルフ・ヒトラーだ。」と真実を言えば言うほど、受け取る側の方が勝手に、「これは、『芸』に徹しているのだ。」と誤解するのです。真実を述べている彼の責任ではありません。

滑稽なほど(実際、笑ってしまうほど滑稽な場面が盛りだくさん)、コミュニケーションが成立していないのです。

これは彼と周囲の人々、出会った人々との間の、直接のコミュニケーションだけではありません。

彼が出演するテレビ番組の視聴者も、番組内の彼の昔のままの演説を聞いて、それが彼の本物の主張であるのに、「これは、手の込んだ『風刺』である。」と勝手に受け取り、喝采を送ります。

更に、それがYouTubeに動画として流されると瞬く間に70万回(!)も再生されるのですが、動画を見ているユーザーも、勝手に「これは、政治批判のコンテンツである。」と受け取っているわけです。

彼が、「私は、アドルフ・ヒトラーである。」と言っているのに、誰も危険視しないのです。

ドイツは、基本法という憲法によって、ナチスに関連するものは全て禁止されているのことはよく知られていますが、物語の中では、この本物のヒトラーによる危険な動きに関して検察告発しようとする動きがあったものの、それは打ち切られたということになっています。

その理由は、

アドルフ・ヒトラーが本当にヒトラーである可能性はなく、芸術家としてならばまったくの自由が与えられるべき

検察さえも、勝手に解釈しているわけです。

最初は、「ビルト紙」という実在のタブロイド紙が彼の真実を暴こうとするのですが、却ってヒトラーの術中にはまって、

才気あふれる意見をつぎつぎ発表する国民の真の代表者

と記事に書かざるをえない状況になり、やがて、同じく実在の「南ドイツ新聞」やら「フランクフルター・アルゲマイネ紙」やらもそれぞれ、

その情熱的な弁論は、一見ネオファシストそのままの単一的構造をよそおいながら、同時に、多元的もしくは直接的な民主主義プロセスを激しく訴えるものである

国粋主義の狼が羊の毛皮をかぶるという本質的矛盾を見事に操っている

と、彼の「芸」を称賛することになるのです。

加えて、彼が出演した番組が、テレビ番組に送られる、ドイツで最も権威ある賞であるグリメ賞(実在)を受賞するに至り、誤解が誤解を生んで、立派な箔もつきました。

更に更に、彼がネオナチの若者に襲撃され怪我を負い入院するに至っては、

極右ナチの暴力の犠牲者

正当防衛をあえて行なわず、非暴力を貫いた

と、美しく誤解するのです。ここまで来ると最早お笑いですが、それだけでなく、そういう美談が完成した途端、怪我で入院中の彼のもとに、ドイツの実在の政党の実在の幹部がそれぞれ電話をかけてきて、彼を自らの党に引き入れて政治的に利用しようとするのです!

さすがに、「陰気くさいオーラを自信満々に放っている不格好な」「東独育ちの」女首相の党からは、まだ電話がかかってきていない設定なのですが。

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(この方のことだと思われます、失礼な!)

発信側が「真実」を述べているのに、受信側が勝手にねじまげて解釈しているが故に成立しない、コミュニケーション

しかも、その危ういコミュニケーションは、ヒトラーの時代にはなかった、テレビやYouTubeやネットで更に増幅してしまう危険があるということ。

それを、著者であるティムール・ヴェルメシュ(←ヒトラーなら、「非アーリア人種の名前」というはず)は、現代ドイツ「あるある」(←ドイツに住んだことがある人にとっては、膝を打つことばかりでしょう)を絡めて、丁寧に描いているのです。

この丹念な描写が、荒唐無稽な最初のファンタジー設定を乗り越えて、読者に対して説得力を得ているのだと思いました。


ヒトラーが、ボロを出さない理由、人々が彼を危険視しない理由は、このコミュニケーションの不成立に加えて、彼が過激な政治批判をしても、ユダヤ人問題については、テレビ番組では言及しないことにあります。

ドイツでは、ユダヤ人問題は絶対にジョークにはできないトピックです。

現代に甦ったヒトラーを、「政治風刺の芸人」と思って雇うことにしたテレビプロダクションの女性幹部は、彼を採用するにあたって、釘をさします、

ユダヤ人〉を決してネタにしないこと。これは、ここにいるみんなの総意よ。

と。

この場面だけは、ヒトラーの方が、勝手に解釈した結果、彼と、現代ドイツの常識人である女性幹部の意向は見事に一致してしまうのです。

というのは、ヒトラーにとっては、〈ユダヤ人〉問題は、「ジョーク」ではなく「マジ」な問題なので、「ネタ」などにはできないから、なのです。

それが、「ユダヤ人問題をネタにしないから、彼はちゃんと『常識をわきまえた』コメディアン、芸人なのだ」という視聴者の誤解を更に助長することになるのですが。

これだけ情報が溢れており、テレビにネットにメディアには事欠かないのに、人々は「見たいものしか見ない」。

本当の意味でのコミュニケーションが成立していない、のです。

その滑稽さを笑っていられるのは僅かな間で、すぐにそれは危険な状況になり得る、ということ。

コミュニケーションとはそもそも何なのか?ということを考えさせられました。



多くの支持者を集めることが簡単だというからくり

物語の中では、現代ドイツ社会問題が、甦ったヒトラーの目を通して、戦前と比較する形で、政治体制から人々の服装までさまざまに描かれます。同様に、ドイツに住んだことがある方なら、「あるある」と思われることでしょう。

・多くのトルコ人が移民として、ドイツ社会に根をはっていること

政治家が、マスコミ受けを気にして軟弱になっていること

1991年に「ドイツ再統一」がなされたというけれど、それには、アルザスやロレーヌ、シュレジエンなど戦前ドイツ領であったところが含まれていないこと

ドイツ女性、とりわけ若い女性がスカートを履かず、ファッションが黒ずくめであること

・携帯をいじりながら道を歩く人が多いこと

・ゴミの分別が面倒くさいということ

スターバックスが街中にあふれ、店主が責任を持って客に接していた個人商店が減ってぎりぎりまで店員の数を減らしたセルフサービスチェーン店ばかりになっていること

・シンプルで丈夫な製品がなくなって、複雑で不要な性能がついた製品ばかりになっていること

・中年を過ぎても、胸を強調する若作りのファッションに身を包む女性が多いこと

・結婚、離婚を繰り返し、自分の娘ほどの女性と結婚する男性がいること

・・・移民問題以外は、日本や他の先進国にも当てはまりそうなことばかりですが。

政治活動において支持者を獲得することは、実はすこぶる簡単だということがわかります。

自分の主張全てに賛成な人を集める必要はないのです。

国民が現状に対して持っている数多の不満を並べ立てれば、どれか一つでもそれがヒットすればその人は支持者になるのです。

多くの社会問題のうちの一つ一つに不満を持つ人々が、その一つの不満を解消してもらうべく甦ったヒトラーを支持すれば、甦ったヒトラーはそれらの人々の全体集合を味方につけることに成功するのです。

そして支持された側は、全ての論点に関して自らの思う通りに実行できるのです、何故って、かくも多くの支持を得ているから。

あれ?何だか似たようなことが身近になかったでしょうか?

経済政策に賛成したはずだったのに、いつの間にか、原発再稼働、憲法改正、道徳の教科化、靖国参拝にも賛成したことになっているどこかの国民が・・・。

経済問題、少子高齢化問題、失業問題貧困格差問題、教育問題、原発問題、環境問題、etc。

日本に限ったことではないかもしれませんが、本当に、現代は政治課題が多すぎて、政策を掲げての選挙がもう限界になっているのではないでしょうか?

物語の中では、甦ったヒトラーはまだ政治家にはなっていませんが、彼がいとも簡単に人々の心を捉え、支持者を増やしていく過程を、著者ヴェルメシュ氏は、恐ろしくも現実に即して示しているのです。




結果が全てであり、それを達成するための過程や手続きは二義的なものなのか?

これを言い換えると、「政策を実現させるためならば、主義主張が違っても、手を組むべきなのか?」ということです。

この物語の下巻、即ち後半部分で、或る程度「政治風刺のコメディアン」としての名声を得た、現代に甦ったヒトラーは、自らの番組を立ち上げますが、その番組のゲストに、何と、ドイツ緑の党の元党首、レナーテ・キュナスト女史(実在)を招きます。

ちなみに、緑の党は、ドイツでは4番目(事実上は3番目)の規模を持つ政党で、1998年から2005年までは、SPDと組んで連立与党の座にありました。

言うまでもなく、環境に配慮した政策(脱原発自然エネルギー促進、二酸化炭素削減)に加えて、女性の社会進出、人権の擁護、多民族多文化社会の実現を標榜しています。

そのキュナスト女史に、甦ったヒトラーは、お互いに手を結ぶことを提案して彼女を驚かせ、当惑させます。

ナチス緑の党が連携するなんて、現実社会でも仮定ですら想像できないことです。

甦ったヒトラーはこう言います。

エネルギーの輸入は極力ゼロに近づけ、水力や風力など再生可能な資源をもとに、エネルギー自給自足をめざすこと。これが百年、二百年、あるいは千年後のエネルギー上の安全保障というものだ。あなたも、この点では多少なりとも未来に目を向けておられるはずだ。そして私が言いたいのは、あなたがめざしているのと同じものを、私もこれまでつねにめざしてきたということだ。

当然、キュナスト女史は反論しますよね。

ちょっと待って!あなたの場合は、理由がぜんぜん別でしょう?

至極もっともなこの問いこそ、甦ったヒトラーが待っていたもので、彼はこう続けます。

持続可能なエネルギー経済を推進するのに、理由が良いか悪いかが関係あるのか?風車に正邪の区別があるというのか?

この甦ったヒトラーの問いに、この物語の読者である現実の緑の党員、及び支持者の人々は、どう答えるのか?

これは、議会制民主主義のジレンマですよね。甦ったヒトラーいわく、「権力を掌握するためには国会で過半数をとる必要がある」のですから。

主義主張は一致しないけれど、政策が一致するから、目的のために手を組むべきなのか?

日本においても、この悩ましさは見られます。ここまで(極右とエコ政党が連携する)極端ではなかったですが、「脱原発」で元首相候補と、共産党推薦の候補が連携できるか否か、は、先日の都知事選においても提起された問題でした。

また現政権自民党と連立を組む公明党も、憲法改正やら原発再稼働で悩めるハムレット状態です。

逆にみんなの党は「政策が実現できるのならば」と自民党との連携に動き始めています。

最近では、都知事選出馬した田母神俊雄氏が、宗教法人幸福の科学」が設立した大学の教授に招聘されるという報道がありました。

政治家にとっては、権力を取らないことには、どんな政策も実現できないわけです。

一方、有権者にとっても、自分の意見が政策として反映されることが一番大事なのですし、大体、日々の生活が忙しくて、政党間の駆け引きを注視したりするヒマなどなく、結果さえ良ければいいのだ、という気持ちになりがちです。

しかし、本当に、政党や個人は、「結果」だけを見て、目的の実現のためには過程をなおざりにしていいのか?

著者ヴェルメシュ氏のこの問いに、今、私達は答えられるのでしょうか?



歴史を直視することに関して、タフであるということとは?

この物語の山場は、下巻の29章です。

日本よりは遥かに真摯に戦争責任について向かい合ってきたと言われているドイツですが、そんなドイツのそんなドイツ人であっても、相当タフでないと読み通せないような問題が、この章にはてんこ盛りです。

ドイツでは130万部売れたという、この本ですが、この本を手に取った全てのドイツ人にとって、28章まではげらげら笑い飛ばして読んでいたとしてもこの29章は一番厳しい章であったことと思います。

先ず、この章では、甦ったヒトラーにプロダクションが付けた女性秘書、クレマイヤー嬢が、実はユダヤ人であり、祖母の一家は密告されガス室送りになり、祖母以外は亡くなっているという衝撃の事実が明かされます。

このクレマイヤー嬢は、現代に甦ったヒトラーが有名になる前から、彼にパソコンや携帯の扱い方を教え、メールアドレスを取得してやり、言わば、彼が現代に順応するのを大きく手助けした人物です。

クレマイヤー嬢は、祖母の家を訪れた時、「政治風刺のコメディアン」である(と彼女は思い込んでいる)甦ったヒトラーのもとで働いていることを祖母に告げた途端、祖母はもの凄い剣幕で怒り始め、涙ながらに孫娘であるクレマイヤー嬢に訴えるのです。

(おばあちゃんは)こう言った。あの男がやっているのは、笑いごとではすまない。笑ったりなんかできないことなんだ。あんな人間が大手を振って歩くなんてとんでもないことだって。

 だから、私は説明してあげた。あれは、ぜんぶ風刺なんだよ。もう二度とあんなことが起きたりしないように、そのためにやっている風刺なんだよって。でも、おばあちゃんは言った。あれは風刺なんかじゃない。ヒトラーが昔に言ったことを、そのまま繰り返しているだけだ。人々がそれを聞いて笑っているのも、昔とおんなじだって。

この物語の中で初めて、甦ったヒトラーは揺らぎます、いえ、罪悪感で揺らぐのでは全くありません。

先ず彼の頭に浮かぶのは、「(外見はとてもユダヤ人に見えない彼女の家族が殺されたのは)人違いであったのでは?」という脳天気なことです。次に、クレマイヤー嬢がユダヤ人であることが事実だとわかってからも、今回は、彼の方が、自分に都合が良いように解釈します、優秀である秘書を辞めさせないために、

そう、ユダヤの血が混じっていたらそれで終わりというわけではないのだ。ほかの遺伝的資質が十分に優れていれば、たとえユダヤ的な資質があっても、それを乗り越えることは可能だ。

こう考えて、彼は全力で彼女を引き止めに入るのです。そして、何と自分から祖母を説得すると言い出します。自分のオーラに絶対的自信があるからなのですが。

私の仕事にとってクレマイヤー嬢がいかに欠かせない存在かを話せば、おそらくばあさんは目を輝かせ、孫娘の代わりを探す必要などないと言ってくれるだろう。イデオロギー的にたとえ疑念があっても、ばあさんはきっと、自分の聞きたい話だけを耳に入れるはずだ。

30章以降もクレマイヤー嬢が甦ったヒトラーの秘書を続けているところを見ると、彼の説得は成功したのでしょう・・・何という、苦く恐ろしい成り行き!


次に、この章の中では、去年麻生財務大臣副首相失言したのと同様のことが、提示されています。

「あの手口、学んだらどうかね。」というあの失言です。

この失言の前には、

ドイツは、ヒットラーは、あれは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握ってヒトラーは出てきたんですよ?ヒトラーと言えば、いかにも軍事力で(政権を)取ったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから!ドイツ国民は、「ヒットラーを選んだ」んですよ?間違えんで下さいね、これ。

麻生氏は発言されていますが、この29章の中でも、甦ったヒトラーの口から同様のことが言われます。

そして総統は、今日的な意味で、〈民主的〉と呼ぶしかない方法で、選ばれたのだ。自らのヴィジョンを非の打ちどころがないほど明確に打ち出したからこそ、彼を、人々は総統に選んだ。ドイツ人が彼を総統に選び、そしてユダヤ人も彼を総統に選んだ。もしかしたらあなたの祖母殿の両親も、彼に票を投じていたかもしれない。

そして、ドイツ人にとって最も琴線に触れることを彼は口にします。

真実は、次の二つのうちのひとつだ。ひとつは、国民全体がブタだったということ。もうひとつは、国民はブタなどではなく、すべては民族の意志だったということだ。

これを聞いて取り乱したクレマイヤー嬢は、

おばあちゃんの一家が死んだのが、人々の意志であるわけがないじゃないの!あれは、あそこでーーーニュルンベルク裁判にかけられた人たちが考え出したことよ

と反論するのですが・・・。

身も蓋もなく言ってしまうと、ヒトラーが言っているのは、民主選挙を経てナチス政権をとったことを前提として、

・国民全体がブタ→ドイツ人全体が、ホロコーストという非人道的な政策を実行した愚かにして低劣なブタであった。

・国民はブタなどではなく、すべては民族の意志だった→ドイツ人は愚かでも低劣でもなく、ホロコーストドイツ人の総意で採った政策だった。

それに対してクレマイヤー嬢は、

ホロコーストは、ニュルンベルク裁判戦犯として裁かれたナチスの人々が国民を欺いて考え出したことであり、ドイツ国民に責任はない

と、言っているわけです、このクレマイヤー嬢の見解が、ドイツでも一般的だと思いますが。

ドイツ人全体がブタだった」というのは、いわゆる自虐史観ですね。

大多数のドイツ人は、戦後から現在に至るまで、ナチスが悪い。ドイツ国民に責任はない」という論理を受け容れてきたのですが、著者ヴェルメシュ氏は、それに対して「それで十分なのか?」と厳しく迫っているのです。

誰しも自分の国を誇りたいですし、自分の国がブタだったとは思いたくないですから、自虐史観から逃れようと思うならば、甦ったヒトラーが示した「ドイツ人全体がブタだったか?/民族の意志だったか?」という二者択一のうちの、「民族の意志だった」という選択肢を採りそうになってしまう、という落とし穴になっています。

この29章では、読者であるドイツ人が、これまでの「悪いのはナチスドイツ人には責任はない。」という立場から更に進んで、「ドイツ人全体がブタだった」という苦い選択肢を採れるかどうか、が試されているのです。

私の個人的意見ですが、合理主義者にして堅実なドイツ人は、この苦い選択肢を選べるに足るタフさを持っていると思います。

それは、第二次世界大戦後、国全体として、そして国民一人一人が積み重ねてきた全てのものに自信を持っていると思うから、です。

歴史上何度も戦ったフランスと手を取り合ってEUを支え、幾多の困難を乗り越えて東西ドイツを統一し、国民レベルでも和解と協力がなされた結果、独仏が再び戦火を交えることは、今日極めて非現実的になっているから、です。

甦ったヒトラーは、第二次世界大戦後の独仏の宥和を「知識」として知ってはいますが、彼が彼の弁論術の全てを尽くしたとしても、過去70年という年月をかけて築き上げられたものをなし崩しにすることはできない、という自信が、現代のドイツ人にはあるのだと思います。

その自信がなければ、つまり、この本によって「ヒトラーと戦前のドイツ礼讃」にドイツ国民が傾く危険性が僅かでもあれば、逆にこの本は発禁処分にされていたでしょう。

この本が出版され、しかも130万部を売り上げるベストセラーになったということは、ドイツ人の自信の表れなのです。

この物語を傍観者のように読んできた私は、ここでハタと自問してしまいました、「日本人は、これだけのタフさがあるのだろうか?」と。

東京裁判戦犯とされた戦争指導者が悪かった。日本人には責任はない。」という見方さえ否定する(「戦勝国裁判であって、戦犯にも責任はない」)人々がいる日本で、「日本人全体が、ブタだった。」と認める「自虐史観」に耐え得るタフさが、日本人にあるでしょうか?

自虐史観」という言葉には、私も反応してしまいます、誰だって、自分の国の不名誉な部分は認めたくない気持ちはありますから。

しかし、現代ドイツ人は「自虐史観」でさえ飲み込めるタフさを持つことを、この物語によって求められていることを思うと、いかにも自分のひ弱さを感じてしまいます。

日本人は、戦後70年という短くはない年月の中で、果たして歴史を直視するタフさを得たのでしょうか?




この物語がベストセラーになった意味

物語の最後で、この現代に甦ったヒトラーは、

悪いことばかりじゃなかった。Es war nicht alles schlecht.

というスローガンで、更に活動を続けることになるのですが、このスローガン、またしてもどこかで聞いたことがありませんか?

「日本が戦争中、それまで欧米の植民地だったアジアの国々を解放し、善政を敷いた。」

とか、

「日本は韓国を併合して、教育やインフラの整備をした。」

とか、です。

それはさて置いて、この物語は、このスローガンを掲げて、甦ったヒトラーが今度は本格的政治活動に乗り出すところで終わります。

さて、物語の先、ドイツドイツ人は、どの方向に進むのか?

「悪いことばかりじゃなかった」とは、何とも巧妙なスローガンです。

一つでも「良いこと」があれば、正当化されてしまうかの如きです。

美化された過去として補正もされた「良いこと」を懐かしむのは、誰にとっても心地よいことです、現実に対する不満を暫し忘れることもできますし。

反対に、誰にとっても、忘れたい過去の「悪いこと」を突きつけられ、見たくないものを見る作業は辛く苦痛を伴うものであり、出来れば逃げ出したいことです。

政治家にとっても、選挙の票にもならない、有権者の耳が痛くなるようなことを主張するのは、やりたくないことでしょう。

寧ろ政治家ナショナリズムを煽って、「ドイツ人はブタではなかった」と信じ込ませ、国民はそれを信じるフリをする方が、どれだけ簡単なことか。

しかし、その困難な作業をやり抜く事こそが、現代を生きる国民だけでなく次の世代の国民にも、真の誇りを与える方法だと合理的に結論を出し、戦後70年間に渡ってやり続けた国があります。

それが、ドイツという国であり、だからこそ、この「帰ってきたヒトラー」がドイツで出版を許され、ベストセラーとなっているのだと思いました。

さるさる 2014/03/07 04:33 帰ってきたヒトラー興味深い内容ですね。
読んで見たくなりました。

日本でやるなら、うーん
帰ってきた大本営
帰ってきた大日本帝国
何故か個人が浮かびませんね

帰ってきた織田信長まで戻るのは無しですか?

冗談はさておき
日本における民主主義は国民が自力で勝ち得たモノではありませんゆえ、とても脆弱だと思います。
アメリカでは小学生から大統領選の模擬選挙をするそうですが日本では、大人でも食事の席での政治の話はご法度ですから何かが
帰ってきたら
あっさりそっちに行ってしまいそうでちょっと不安ではあります。
特に最近の自民党の天皇陛下万歳には寒気すら感じました。
日本では戦前礼賛しても別に誰も怪訝な顔すらしませんからね。

麻生さん
チャーチルの回想録も引用されてますね。
「日本人は外交を知らない」
とか何とか言ってるお話ですが。
よほどヨーロッパ通なのでしょうか?
クリスチャンですし…


あ、そうだ帰ってきた岸信介
ならリアルに見れてますね
確か彼は憲法9条を改正しようとしてたとか…
良い孫を持たれて、おじいちゃんはさぞ天国で微笑んで居られるでしょう。

そうそう、チャーチルの回想録の
日本人は外交を知らないの部分
英語では見つからないんですよね。
ご存知ありませんか?

souheki1009souheki1009 2014/03/08 22:34 さるさま、

>帰ってきた大本営
帰ってきた大日本帝国

>帰ってきた織田信長まで戻るのは無しですか?

>あ、そうだ帰ってきた岸信介


笑わせていただきました。

この「帰ってきたヒトラー」、私も最初は、よく出来たエンターテインメント的な本だと思い、面白がって読んでいました。
ドイツネタ、ドイツ人ネタも沢山入っていますし。
しかし、後半最後近くになって、怖さというよりは、悄然と肩を落として読み終えました。
「今、まさに何かが帰ってきているじゃん、日本にも。」
と思ったからです。
しかも、さるさまおっしゃる通り、日本には、この本がなくても、戦前礼讃の空気が満ちていますものね。


ついついあの魅力的な笑顔に負けてしまう、麻生氏ですが、ナチスの手口を見習えと言ったかと思うと、これまたおじいちゃんを意識してなのか、チャーチルを持ち出してきてみたり・・・。
(「日本人は外交を知らない」は、話題になったことは覚えていたのですが、記憶が薄れていたので、グーグルさまにお聞きして思い出しました)

安倍首相も麻生氏もなのですが、何で「母方のおじいちゃん」にこだわるんでしょうね。
何故、自分の父親や、父方のおじいちゃんが出てこないのか、とても不思議です。


今日のNHK朝ドラで、杏演じるヒロインが、最後の場面で玉音放送を聞いて、「(戦争が)終わった」と言っていました。
これがマズかったんじゃないか、と思います。
「負けた」ことを、政治家は勿論、国民一人一人がもっと自覚するべきでしたよ、未来への糧として。
「終戦」ではなく、「敗戦」から、戦後の日本が作られていたならば、どうなっていたか?
少なくとも、同じ過ちを繰り返さないことに関しては、もっと自覚的であったのではないか、と思ってしまいます。

てんてけてんてけ 2015/12/31 11:05 ヒトラーが政権を獲ったのは選挙の結果ではなくヒンデンブルグの大統領令であり、政権獲得後のナチスが公正な選挙をやったのか?を見てみると、どうもそうでもない。
なので「ナチスが合法的に政権を獲得した」という認識は結構違うんじゃないか、ということを言う人がいまして私も揺らいでいるのですが、当のドイツ人はどう思っているのでしょうかね?

souheki1009souheki1009 2016/02/14 12:40 てんてけさま、

コメントをいただいたのは昨年の暮れですが、当方プライベートでいろいろありまして、承認・返信が大変遅くなりました。

>当のドイツ人はどう思っているのでしょうかね?

ということに関しては、「ドイツ人は〜と思っている」と私が論評することは全くできません。

>「ナチスが合法的に政権を獲得した」という認識

何を以って「合法的」、どの時点を以って「政権を獲得した」ということも、市井のオバサンである私などに、論ずる資格はありません。
ただ、これを日本の与党幹部、野党第1党幹部が、それぞれ全く違う文脈で使っているのは、奇妙な印象を持ってしまいますけど。

学生(法学部)学生(法学部) 2016/02/24 14:10 負けた日本とドイツの国民だけを「豚」と表現して、原爆を落とした米国民や日独の比では無い虐殺・人種差別・(現在の米国領土を含む)侵略を行ってきた英国民を免責してしまうのは極めて危険だと思います。
基本的に戦争や植民地支配はありふれたことですので、植民地支配の内容やホロコースト・原爆といった「一線を超えた行為」だけが軍国主義や勝敗を越えた客観的問題であると思います。
我が国の場合、皇民化という目的があったにせよ、現地の人々に学校教育を提供しました。一方、英米は現地民に学校教育を提供せず、拷問・手足の切り落とし・奴隷化などを行いました。英米は現地民を「豚」として扱ったのです。ちなみに朝鮮半島については植民地ではなく我が国本国という扱いでした。戦況の悪化で中止となってしまいましたが、女性や朝鮮の人々にまで普通選挙権を付与する計画がありました。大日本帝国憲法はとかく非難されがちですが、スイスが女性に国政選挙権を付与したのは1970年代になってからです。
いわゆる東京裁判にしろ、勝者の軍法会議であることは否めません。我が国の軍法会議を禁止する憲法を支持しておきながら、東京「裁判」を正当化する「進歩的」知識人は法学を愚弄していると言わざるを得ません。
原爆を投下した米国、ホロコーストを起こしたドイツと、正々堂々と戦争した我が国を含む各国を同質なものとして扱ってはならないと考えます。
連合国万歳とヒトラー万歳、主観的礼讃という面では全く同じです。100%英米が悪かった、100%日独が悪かった、などと思考停止せずに、学問として冷静な目で見直すことが大切です。
長文失礼しました。

souheki1009souheki1009 2016/02/25 18:57 学生(法学部)さま、

>負けた日本とドイツの国民だけを「豚」と表現して、原爆を落とした米国民や日独の比では無い虐殺・人種差別・(現在の米国領土を含む)
侵略を行ってきた英国民を免責してしまうのは極めて危険だと思います。


とおっしゃっていますが、私は全く「負けた日本とドイツの国民だけを『豚』と表現」などしておりません、引用ですよ、しかも日本のことなどこの小説には出てきませんし。
以下の箇所は小説からの引用であることをご確認いただければと思います(下巻29章)。

*「真実は、次の二つのうちのひとつだ。ひとつは、国民全体がブタだったということ。もうひとつは、国民はブタなどではなく、すべては民族の意志だったということだ。」*


エントリーの中でこのヒトラーの発言の意味は書いていますので、説明は割愛させていただきますが、
このヒトラーが出してきた論理は、ドイツ人の心の深い部分をえぐる巧みな論理です。
これは、著者によるドイツ人読者への試金石ではないかと思います。
ドイツ人が戦後、過去の罪を直視し反省する心を絶えずアップデートしているかどうか?の。


学生(法学部)さまは、「日本は植民地でよいこともした」という趣旨のことを書いていらっしゃいますが、それはこの小説の最後の章で、甦ったヒトラーが新たに打ち出すスローガンに似ています。
*「悪いことばかりじゃなかった。Es war nicht alles schlecht. 」*

>連合国万歳とヒトラー万歳、主観的礼讃という面では全く同じです。100%英米が悪かった、100%日独が悪かった、などと思考停止せずに、
学問として冷静な目で見直すことが大切です。

私も全く同感で、ど素人ながら、歴史は多方面からの細かく切り分けた見方が必要だと思っています。
しかし、その大前提として。
自国の輝かしい歴史、誇れる側面だけを声高に語る前に、直視したくないこと、信じたくないこともまた、歴史を継ぐ者として受け容れ反省することが、ひいては自国の新たな誇れる歴史になるのではないか、とこの本を読んで思った次第です。

学生(法学部)学生(法学部) 2016/02/26 16:01 souheki1009さま、
丁寧なご返答をありがとうございました。
大学でも、マスメディアでも、どうも未だに私のような意見に対して、「右翼」などのレッテルを貼り言論空間から排除しようとする方が散見されますので……。
まさにナチス政権下でそうであったように、マスメディアや大学教授が(ある程度は)自発的に国民を扇動し、意見の異なる者にレッテルを貼り、挙句言論空間から排除するという暴力は、火炎瓶等による直接的暴力が少なくなった今日においても健在であるというほかありません。
その点では、今日の我が国の言論空間はナチス的であると言って良いと思います。
マスメディアは「第四の権力」と表現されることもありますし、政府の三権が牽制しあうように、マスメディア各社が牽制しあう仕組みを作るべきかと思います。
マスメディアは「誤報」の責任を取らないし、裁判官は冤罪を作っても減給されない。
マスメディアも裁判官も無責任で、「総統」のごとく鎮座しているのが現状かと思います。
我が国の法学は法解釈学ばかりが先行しています。
法解釈学は単に既にある法令を使う技術論にすぎませんので、例えばユダヤ人を弾圧する法律についても、法令にそう書いてあるから弾圧は正しいのだ、ということになってしまいます。
一方、我が国の法哲学は未熟です。法哲学はそもそも法令が正しいのかを問う学問で、例えば「憲法9条は正しいのか?」「ユダヤ人弾圧は正しいのか?」と考えます。
我が国では法哲学が軽視されている為に、まさしく戦前ドイツの如き「法治主義」に陥っています。
近年主流の「法の支配」では、法治主義とは異なり法哲学をも取り入れるので、「憲法の自然法違反」、「法律の憲法違反」があった場合は無効になります。
ちなみに自然法とは正義のことです。法学を突き詰めると最終的に宗教的になると言われているのはここです。なぜ、殺人は駄目で家畜を屠殺するのは良いか、ということです。我々人間にとって都合が良いから人間が他の動物より「偉い」ことになっているだけと言わざるを得ません。
恐ろしいのは、そもそも尊重されるに値する権利(人権と呼ぶにしろ、牛権と呼ぶにしろ、豚権と呼ぶにしろ)について決定しているのは権力者たる人間に過ぎないというところで、だからこそナチスのような勢力が権力を握ればユダヤ人など特定の「生き物」を家畜扱いできてしまうのです……。
人権の存在を数式で証明することはできませんし、法哲学的詭弁はあるにせよ実際には権力者が人権を定義しているに過ぎないわけで、牛が権力を握れば我々人間は食肉加工される運命かもしれません。
理系のような数式がないからこそ、各有権者の良心にすべてがかかっていると思います。
昨年20歳になったばかりの若輩者ですが、法学の学習・研究を引き継ぎしっかり進めてまいりたいと思います。
ありがとうございました。

souheki1009souheki1009 2016/03/03 14:08 学生(法学部)さま、


私のようなオバサンになると、自分では「柔軟な心を」と努めているつもりでも、ついつい凝り固まった考え方に陥ってしまいがちです。
20歳になったばかりという、学生(法学部)さまが、これから多くを学び吸収されていく上で、何に対しても柔軟な心を以って臨まれることを、衷心よりお祈りしております。

六波羅六波羅 2016/04/21 20:34 >学生(法学部)
で、結局何が言いたかったのこの人?
良いとこもあったと論がヒトラーの模倣について反論せずどうでもいい自分語りで煙を巻いたつもりかね?傷を隠すなよ臆病者
マスメディア叩きに論調変えても無駄無駄
こういう人間は長文でごまかした聡明なフリをしたがるがただのアスペ紛い。文章も噛み砕けないのか
この低レベルの脆弱な人間が法を語るとかお笑いだなぁ
詭弁の勉強だろ?お前がしてるのは

souheki1009souheki1009 2016/04/22 21:13 六波羅さま、

いただいたコメントは原則すべて承認して返信しておりますが、今回六波羅さまのコメントを承認すべきか迷いました。
私に対する批判ならば、厳しい内容のものでも承認して私なりに返信しますが、以前コメントしてくださった方に対する批判、それもかなり攻撃的なものなので、どうしたものかと。
しかし、ネット上の議論ですので、しのごの言わずそのまま承認させていただきました。


>長文でごまかした聡明なフリをしたがるがただのアスペ紛い

というのは、私のことかと思い、一瞬落ちこみかけましたが・・・。

笹世久美労笹世久美労 2016/05/19 09:21 なんだろなー。
書評や解説については良くできてると思うんだけど…

それを引用した日本の政治批判における論理展開が
「この作品を産んだドイツと独国民は何が何でも凄くて、
 日本(特に自民党政権だけ)と日本国民(反政府主義者は除く)は絶対にダメ」
という単純な善悪二項対立のデモナイゼーション展開で萎える。

…これって、ブログ主が指摘して批判してるはずの、
本の中で蘇ったヒトラーがやってることといっしょやん。

…あ、わかったw
このブログの大衆扇動的にして単純な反政府論調な論理展開それ自体が、この本の高度な皮肉なんですねw

うわー、ぼく、ぶろぐぬしのちのうがあまりにこうどすぎて、
そのてんにいままできづけなかったよ。

souheki1009souheki1009 2016/05/31 08:59 笹世久美労 さま、

返信大変遅くなり申し訳ありません。


>このブログの大衆扇動的にして単純な反政府論調な論理展開それ自体が、この本の高度な皮肉なんですね


買い被っていただいて、光栄ですが、そんなこと、な〜んにも考えていません、美し過ぎる誤解です。


>うわー、ぼく、ぶろぐぬしのちのうがあまりにこうどすぎて、
そのてんにいままできづけなかったよ。


とまで褒めていただいているのに、申し訳ありません。
これはきっと笹世久美労 さまご自身が、高度なレトリックに精通していらっしゃるから?でしょうかね。
さりながら、笹世久美労 さまの以下の要約、


>「この作品を産んだドイツと独国民は何が何でも凄くて、
日本(特に自民党政権だけ)と日本国民(反政府主義者は除く)は絶対にダメ」


これは、いただけません。
笹世久美労 さまとしたことが、これは全く正しい要約ではありません。
そもそも私は、選挙権を得て以来、自民党に投票し続け、2009年の政権交代の選挙で民主党(当時)が圧倒的勝利をした時でさえ、自民党に投票したものです。
そんな私でも、今の政権には違和感マックス、危機感マックスなわけです。
また、気質は関西人で根がラテンなので、ドイツに対して特に親近感を持っているわけでもありません。


さて。
映画化されたようですね。
原作をどのように映画化しているか、興味深いです。

灰色猫灰色猫 2016/06/01 11:34 『良い事もしたけれども悪い事もした』『その罪に日本は向き合えるか』

日本がした事って、白人による四百年間に渡る有色人種差別と植民地支配からのアジア諸国の解放ですよね。
WW2の開始時点で、アジアで独立を保っていたのは日本とタイだけでした。
他は全て白人に植民地にされて収奪を受けていました。そして、当時はそれが世界の常識でした。
強ければ支配する、弱ければ搾取される、弱いのが悪いんだって時代でした。

日本は、国連でそれはおかしいと主張しました。
白人達は植民地を手放すのが嫌で、日本を疎ましく思うようになりました。
悪いのは日本でしょうか。

日本も植民地を持っていましたが、それは欧米の植民地とは性質を異にします。
一方的収奪が常識だった時代に、日本は現地のインフラを整え、現地人に教育を施し、対等の人間としての扱いをし、
食糧の自給率を上げ、悪習を廃し、医療を施し、識字率を上げ、治安を維持し、お仕事を与えました。

今、旧植民地で日本を悪く言う国は一つもありません。
日本を悪く言っているのは、当時は存在しなかった中国と、植民地では無く併合された韓国だけです。両国とも現在進行形で日本を侵略中ですから、当然、戦略として日本を貶めようとします。その理屈は理解出来ますよね?

中国は日本に南京虐殺されたと主張しますが、物証から当時中国の民衆を虐殺していたのは今の中国共産党の前身の軍閥で、大日本帝国軍は中国民衆を守る側であった事が判っていますし、

韓国は日本に従軍慰安婦された強制連行されたと主張しますが、その嘘も既に崩れて来ています。
そもそも彼らは民衆百万人の署名をもって向こうから『借金で首が回らないし中国とロシアに狙われていて怖いので併合してくれ』ってお願いして来た訳です。併合反対派だった伊藤博文も暗殺されています。

今では英雄扱いされているテロリストの安重根は当時、朝鮮民衆に投石されて『併合して貰えなくなったら我が国は滅ぶのに何をしてくれるんだ、この馬鹿』と罵られていました。また、朝鮮以外の植民地は『朝鮮だけ併合して貰えてずるい、何故我々の方が日本を愛してるのに朝鮮の方が日本に愛されるのか』と愚痴ってました。
もし、日本が白人と同じような植民地運営をしていたら、旧植民地諸国も文句を言っていたでしょうし、韓国が自分から併合してくれなんてお願いして来る訳が無いですよね。

また、日本は、白人にハル・ノートを突き付けられました。
ハル・ノートを受け容れた場合、日本は全ての植民地を失って列強に抵抗する力を失います。そして当時は弱肉強食の時代、無力であれば植民地にされて奴隷扱いされる時代でした。更に、ハル・ノートを受け容れても日本を虐めるのをやめるかどうか考え直す(やめるとは言っていない)という内容。受け入れられる訳がない。
でも、受け容れなければ燃料供給を断たれて日本は詰みます。生き残るには戦争するしかなかった。

ハル・ノートの裏には米国を日本とぶつけて消耗させたかったソ連のスパイが絡んでたりしますし、後の韓国初代大統領となる李承晩も米国で盛んに反日を煽って居ました。
米国の大統領としても日本と開戦したかった。だから日本が到底呑めないような無茶な条件を突き付けて来た。

米国は大空襲で民間人を虐殺し、原爆を落として民間人を虐殺。日系人ってだけでスパイ扱いして収容所送りもした。
英国は背後からの不意打ち(そして一瞬で負けて日帝軍に人道救助までされてしまう)。
和蘭も無関係だったのに日本が生意気だと攻撃を仕掛けて来て一週間で敗北し、自分達が現地人を虐める為に使っていた牢屋にとりあえずぶちこまれて非人道的だと喚く始末。(でもその牢屋使って現地人に非人道的な事をしていたのは誰ですかね。)それで植民地を失った事に腹を立てて和蘭の王族が大和民族を皆殺しにしろとまで騒いだ。
中国は便衣兵のゲリラ。ソ連は中立条約違反して戦争後に日本に攻め込み婦女暴行の末に北方領土を不法占拠。
韓国も朝鮮進駐軍で日本に酷い事してますよね。
それらに比べれば日本はおおむね国際法に則って正々堂々と戦いましたが。戦後、それらの国が日本にやらかした国際法無視の凶悪犯罪に謝罪や賠償をした事ってありましたっけ。

真珠湾にしても、日本が宣戦布告をしたのを知っていて受諾を遅らせたって証拠が既に出て来てますし。
また、そもそも宣戦布告とかアメリカがきっちりやって戦争してる姿はWW2の後も全然見ないでしょう。

更にナチスがやらかしたユダヤ人虐殺、日本はユダヤ人に命のビザを発給して必死に逃がした。
サヨクは昔は話を隠そうとしていたが隠しきれなくなったので千畝さんだけの功績にして日帝政府はそれを邪魔していた事にしたがってるけど、あれは日本政府が全面的に救助活動をバックアップしていたって証拠も出て来ていますし。
中国は『日本人がユダヤ人を殺すのに加担していた自分達はそれを助け出した』って捏造してますけど、当の助けて貰ったポーランド人が未だに日本ありがとうって言ってますし。

それで敗戦した日本は国際裁判で極悪非道だと罵られた。
でもインドのパール判事はあれは完全な報復裁判だと。日本が悪なら他の国は何なんだって怒ってくれた。
東南アジア諸国はその後、欧米に敢然と挑んで独立を勝ち取った。日本が戦って有色人種でも白人にガツンと言ってやれるんだって証明してくれたから、我々の独立は早まったのだって言ってくれてる。
日本が本当に悪であったなら、そういう評価は出て来ないでしょう。当の旧植民地から。

それでも日本は戦後に自虐史観洗脳され謝罪と賠償金のお代わりに七十回以上応じ続け、それと別で(実際には詐欺であるにも関わらず)慰安婦への見舞金を出し、更に中韓に資金援助や技術支援を繰り返した。彼らはそれでもまだ足りないまだ足りないと言い続けて世界中で日本のないことないこと言い触らしているけれど。

そして今、中国が世界各国を侵略し始めた。
韓国も世界中で違法出稼ぎ売春(しかも日本風の源氏名で日本人になりすまして)をやっている。銃乱射事件も起こしてる。
彼らの進出した先では少数民族が民族浄化されたり、治安が悪化したりゴミだらけになったり資源が枯渇するまで乱獲されたり環境が致命的なまでに汚染されたり。
そんなだから彼らは全世界で嫌われて、そして今東南アジア諸国は『また強い日本に戻ってアジアの平和の為に戦ってくれ』と言い出した。
本当に日本のやった事が悪であり世界がその被害者であるなら、そんなお願いをされると思いますか?

罪に向き合うべきは、有色人種を差別し奴隷にし解放の為に国防の為に戦った日本人を虐殺した欧米諸国であり、匪賊だった癖に救国の戦士のように振る舞う中国であり、自ら望んで日本の世話になっておきながら戦後一緒に責任を取るのを嫌がって日本を切り捨て被害者になりすました韓国であり、自分達の罪と向き合うのが嫌だからナチスだけに罪を押し付け更に日本を糾弾し自分達は反省したのだと欺瞞しながら何の謝罪も賠償も一度も行わなかった独逸であり、敗戦国の癖に自分達はムッソリーニと戦ったゲリラ闘士だから途中からは連合国側なのだと同盟国日本に賠償を求めて『お前はアホか』とアメリカに却下されたイタリアでしょう。

『実際にそれぞれの国が(…誰かの都合で捏造された話をきっちりと除外した上で!)やらかした事』を列挙して並べて比較してみれば、『日本より正しい国なんてどこにもないし、日本ほど真摯にそれと向き合った国はどこにもない』でしょう。

あの戦争を戦わなければ今の日本は無かった。有色人種は今も奴隷だった。
貴方も、平和に平穏に生きては居なかった。自由に先進国民としての生活を享受なんて出来てはいなかった。
貴方の今の生活はあの時代に戦ってくれた日本のご先祖様の犠牲の上に在る訳ですが。

日韓併合前の朝鮮の写真を見た事ありますか。併合前の朝鮮の生活ぶりを知っていますか。
日本に文句を言う朝鮮人が、では全て無かった事にしてその生活に戻りたがると思いますか。

今、サヨクの人は日本が戦前の軍国主義に戻り始めたって言うけれど、今の日本は北朝鮮に邦人を百人以上拉致され、韓国にも邦人を五千人も拉致されて領土を不法占拠され教育も報道も乗っ取られてて、中国には軍艦や軍用機を領海内に送り込まれてます。
更に中国の南沙諸島の人工島基地。あれ本格的に動き始めて燃料の供給経路断たれたら日本のエネルギーすっからかんになりますよ。あと世界中で日本を悪く言う特亜の情報工作のせいで日本がどれだけ風評被害を被り現地人がどれだけありもしない罪で責めたてられ虐められ暴力を振るわれているかご存じですか。

『そこまでされても、日本は未だに防衛に終始し彼らを攻撃していない』のです。核ミサイル基地とか迎撃率100%じゃないのだから撃たれる前に先制攻撃しないと本当はやばいんだけれども。それでも今のところは『こっちから攻撃はしていない』。
まともな国なら自国民が浚われたり自国領土が占領されたら軍を出撃させますけど、日本は『それもしていない』。
ただ、周辺国と手を繋いで『もし侵略されたら助け合って一緒に防衛しましょうね』って約束をしてるに過ぎない。それが『戦争法』ですかね?

戦後七十年が経過し、インターネットの発展で物証付きで旧連合国軍の自己正当化の為の嘘や、特亜人の日本侵略の布石としての嘘がばれた。特亜人に占領されたマスコミが必死に隠していた真実が明白になった。
本当の悪がどっちだったのか、彼らに抵抗しなかったらどうなるのか、彼らの攻撃が何処まで及んでいるのかが可視化された。
だから、自分の身を守る為に戦わないといけないと、現実と向き合う人が増えただけです。

それが右傾化だ軍国主義だと仰るなら、では貴方は完全無抵抗のままチベット人みたいに漢民族に強姦され虐殺され民族浄化されたいのですか。
貴方は前の戦争も戦わずに白人の奴隷としてプランテーション農業をして生きるのが正しかったと思うのですか。

日本は既に、本来するべきよりも多くの反省をした。
反省していないのは日本を欺き責めたてた者たちの側です。

通りすがり通りすがり 2016/06/11 15:51 私は映画はそこそこ見るけれど、本はあまり読まないような人間でございます。ドイツや自国の歴史なども教科書で読んだ程度の知識しか持ち合わせておりません。
この度「帰ってきたヒトラー」なる映画が上映されると知り、前知識を仕入れるためにネットを検索したところ、こちらのブログに辿り着きました。
とても興味深く読ませていただきました。非常に参考になりました。ありがとうございます。
そしてこの記事についたコメントを拝見して、本記事を批判的に捉える方々は実に難しい言葉を使われるのだな、と思いました。また、ブログ主の真意をブログ主以外の方が決めつけるというのは、非常に怖いと感じました。
映画楽しみです。

souheki1009souheki1009 2016/06/11 20:12 灰色猫さま、

長文のコメントをいただきました。
承認いたしますが、全文掲載できるのか、少々不安でもあります。
万が一、途中で切れた場合は、分割して再度承認いたしますね。

さて、せっかくの長文コメントですが、全ての前提となる最初の一行の内容が、先ず、私のエントリーには見当たりません。


>『良い事もしたけれども悪い事もした』『その罪に日本は向き合えるか』


この二重括弧の中の文章は、一体、誰の文言なのでしょうか?
私が書いたものではないということは、灰色猫さまご自身ののご意見なのでしょうか?

それから、たくさんご質問というか、問いかけを頂いておりますが、例えば最後の問いかけですが、

>貴方は前の戦争も戦わずに白人の奴隷としてプランテーション農業をして生きるのが正しかったと思うのですか。


このエントリーを書いたのは2年以上前ですが、読み返してみるまでもなく私の記憶が正しければ、「帰ってきたヒトラー」という小説の書評(というのもおこがましい、感想文)です。
その感想文に対するコメントが、どこをどう捻ったら、「日本人が白人の奴隷をしてプランテーション農業に従事するのが正しいや否や」、という問いかけになるのか、申し訳ありませんが、私には理解しかねます。
灰色猫さまのご意見は、私とは全く異なるものですが、こんなブログのコメント欄にコメントするのではなく、ご自分のブログなりから広く全世界に向けて発信されるとよろしいのではないでしょうか?

souheki1009souheki1009 2016/06/11 23:53 通りすがりさま、

私も映画、観に行く予定にしています!
ただ、映画のオフィシャルサイトの予告編やあらすじを見た限り、原作の雰囲気とはかなり違って、コメディ色が強い印象を受けました、そう演出しないと娯楽映画にはならなかったのだと思いますけど。
ドイツ人のユーモアセンスも、日本人の私から見ると、訳わからないというか、悪趣味というか、そういうところもありますし。
ドイツでも大ヒット映画だったということですから、興味深々です。


通りすがりさまがお気付きになったように、コメントをくださる方の中に、この小説の内容に関しての感想ではなく、ご自分の歴史観や主張を披瀝するものが急に増えたのを、私自身訝っております。

梅原誠広梅原誠広 2016/06/17 19:31 すみません、このブログ読ませていただき、いささか軽率ですがMIXIでリンクさせていただきました。勝手なことですみませんので、不愉快でしたら直ぐ削除いたします

souheki1009souheki1009 2016/06/17 21:12 梅原さま、

わざわざご丁寧にお知らせいただき、ありがとうございます。
映画が封切られるせいか、最近このエントリーを読んでくださる方が増えているのは、嬉しいことです。

つかつかつーかーつかつかつーかー 2016/06/20 19:58 興味深く読ませて頂きました。このような書評を著して下さったsouheki1009様に感謝いたします。

この書評を通して何らかの教訓や頭をひねる際のガイドラインを得ようと思い色々考えたのですが、私といたしましては、この書評を通しまして、ヒトラーのようなものの再来を防ぐことはものすごく難しいことなのではないか、という感想を持ちました。落胆の思いを禁じ得ません。

と言いますのも、

・ほぼ全ての分野において自分と政策的意見が一致するピッタリな候補者というものはそう滅多にいるものではないが、自分といくつかの政策的意見が一致する候補者に投票した場合に起きうることは記事中の通り。かといってピッタリな候補者がいなかったら投票しないという行動をとったならば投票率ががっくり下がって組織票が幅を利かせるだろうし、自分と政策的意見が一致しない候補者へわざと投票するという行動を取る人はいないだろう。

・作中にてヒトラーがテレビ番組中でどんなことを言ったのかは実際に映画等を見るまでの楽しみとして取っておくが、人気を博して支持を得たくらいなので「いえてること」を言っているのだろうと推測する。「いえてること」になびかないのは、心情的に容易なことではないだろう。

・まあまあ事実に基づいた『悪いことばかりじゃなかった』をスローガンとするのは恐ろしく有効な着目点だ。(この場合、良いが何%で悪いが何%だった、という風な内訳まで詳述したら看破できそうな気もする。内訳を測る良い方法がないけれど。)

・単に逆張りをしただけの場合、帰ってきたスターリンとか帰ってきた毛沢東とか帰ってきたポル・ポトが待ち構えていたりして。

などなど、≪こうすれば大丈夫!≫的なものが見出せませんでした。私もヒトラーの術に既にはまっているのでしょうか。ヒトラーは私のような者の行動を見通しているのかも知れませんね。



記事中にある”政策を掲げての選挙がもう限界になっているのではないでしょうか?”というくだりは私も同感です。政策ではなく人柄・性格・思考回路で選ぶ方が良いのか、有権者一人が政策分野の数だけ票を持ち政策分野ごとに投票先を変えるか、などと空想するところです。

戦争というものは政治の産物でありますので、戦争の行方などよりも、戦争が始まるまでの過程の部分が大いに気になります。
ヒトラーが次に何をするの気になります。続編があるのかでるのかは不明ですけれど。


最後に、重ねて、このような書評を著してくださったsouheki1009様に感謝いたします。

souheki1009souheki1009 2016/06/21 21:43 つかつかつーかー様、


おっしゃる通り、

>ヒトラーのようなものの再来を防ぐことはものすごく難しいことなのではないか、という感想を持ちました。

私は物心ついて、日本の戦前の様子を本やメディアなどで知って、「どうして国民は愚かな道に突き進んでいく軍部を止められなかったのか?」「竹槍訓練やバケツリレーで本当に米軍に対抗できると思っていたのか?」等々、とても不思議に思っていたのですが、この本やら今の日本の現状から鑑みて、歴史の巻き戻しというか、ああ、こういう感じで世の中が変わっていって、人々は寧ろ嬉々として時代に熱狂していたのかも、と思います。
それは遠いどこかのことではなく、私自身の祖父母や親戚の大伯父や大叔母やらごく身近な人たちがその流れの中心にいたのだと思います。
だから、私たちがそういう流れの中にいて流れを作っていても決しておかしくない、というのが怖いところです。
恐ろしいことに、日本だけではなく、アメリカでもヨーロッパでも、ヒトラーの類が出現して持て囃される土壌が既に出来上がっているような気もしています。

折しも、参議院選挙前夜ですが、

>有権者一人が政策分野の数だけ票を持ち政策分野ごとに投票先を変えるか、

つかつかつーかー様のこのアイディアは、未来の民主主義に関して、希望を托せる数少ないものですね!
「自民党の経済政策には賛成だが、安保法制、改憲には反対。」という人は多いと思うんですよね。
今の政党選挙では、こういう有権者はどの党に投票すればよいのか?
日本人の殆どが共産主義の社会など望んでいないはずなのに、最近の選挙で共産党の得票が伸びているのは、ある政策分野において(安保法制とか、脱原発とか)共産党の政策に強く共感する人がいるからではないかと、私は思います。
安倍首相は、前回の選挙で、「安保法制や改憲には反対だが、経済政策は賛成」というマスを取り込みましたが、今回も同じことができるかどうか。

2年前のドイツのベストセラーについて書いたエントリーですが、今またこの本を読み返してみたいと思わされます。

しぇぱーどしぇぱーど 2016/06/24 02:22  映画を見た後この記事を見つけて読ませていただきました。映画本編とこの記事ともに自分自身も「右翼的」であると思っている自分にとっては非常に耳の痛い内容でしたがとても参考になりました。
 記事中の『多くの社会問題のうちの一つ一つに不満を持つ人々が、その一つの不満を解消してもらうべく甦ったヒトラーを支持すれば、甦ったヒトラーはそれらの人々の全体集合を味方につけることに成功するのです。』これはとても大事な現代の民主主義の問題点ですよね。私は未熟にもヒトラーと同じように『無責任な民主主義』と考えてしまいがちになりますが、まさにそれこそがヒトラーの作った罠の様な物なのかと感じました。誤りを犯さないためにもこの民主主義の欠点を敏感に感じて、ヒトラーの罠に陥らないように気をつけなければいけませんね。
 記事中最後の『悪い事ばかりじゃなかった』こそ確かに自分自身も含め、いわゆる「自由主義史観」を持っている人間にとって一番気をつけなければならないことですね。私自身も(戦後生まれで戦争を体験した事が無いにも関わらず生意気にも)「アジアを開放したから」「英米に戦争に巻き込まれたから」戦争は悪い事ではなかったと考えてしまう時が多々あります。しかししっかりと歴史を見直し「タフ」に「自虐史観」を受け入れる事こそ未来のためには大事だと作品とこの記事で強く感じました。ところでsouheki1009様は「艦これ」というゲームをご存知ですか?ゲーム自体は大戦当時の軍艦を擬人化したキャラクターのゲームなのだそうですが、最近このゲームがもとで当時の歴史を深く知ろうとする人が増えているそうです。そうやって歴史を知った皆さんがタフに自虐史観を受け入れこの国を正しい方向に導いてくれる事を期待したいですね。

souheki1009souheki1009 2016/06/24 12:13 しぇぱーど様、

映画ご覧になったのですね。
まだ観ていないので、映画についての感想は差し控えます。

>誤りを犯さないためにもこの民主主義の欠点を敏感に感じて、ヒトラーの罠に陥らないように気をつけなければいけませんね。

折しも、今日はイギリスで、政党の垣根を越えて、「EUからの離脱が残留か」というワン・イッシューで国民投票が行われていますが、複雑化したこの時代、一つの政党の政策と一人の有権者が望む政策が全て一致する、ということは稀だと思います。
政治家の側に、「選挙では我が党が勝ったが、全てに関して信任を得たのではない。」という謙虚な気持ちがあればよいのですが、冷戦&高度経済成長期であった過去の政治状況のままに、「選挙結果が全て」で突き進まれると、まさに民主主義の危機に陥ってしまうのではないでしょうか。


>しっかりと歴史を見直し「タフ」に「自虐史観」を受け入れる事こそ未来のためには大事

私自身、「戦争で勝ったアメリカが日本にもたらしてくれるものは全てよいもの」という戦後教育にずっと違和感を感じてきました。
一方、私のごく近しい親族が原爆に遭っているのに、「日本は世界で唯一の被爆国」という被害者的側面だけが強調されることにも、違和感を感じていました。
大人になった頃、慰安婦の問題やら、南京事件を知りました。
日本人としてどう考えるべきなのか、途方に暮れました。
これはとても不幸なことではないかと思いますが、今の若者にしてもそれは同様なのではないでしょうか?
それは何故なのか、と考えた時に、それは歴史をタフに学び見据える教育を受けてこなかったからではないか、と思い至るのです。

ドイツでは、高校生は教科の一環として、アウシュビッツやビルケナウの収容所跡への見学が含まれています。事前学習はもちろんのこと、収容所の生き残りの方の話を聞く機会を持つ場合もあるそうです。そして見学した後は、議論で自分の言葉で意見を言い合うとか。
親が子供を連れていく場合もあるそうです。
日本の親が、そういうことができるでしょうか?絶対にありえないですよね。
では、何故ドイツではできるのか?
それはエントリー中にも書いたように、ドイツ人の自信の表れなのです。
戦争を知らない子供達に史実そのままに歴史を伝え、「我々は決して二度と間違いは起こさない」と宣言できるからこそ、の自信です。
日本の子供達がそのような自信を持てないまま(持てるような教育を受けないまま)、大人になるのは不幸なことです(私を含めて戦後世代全ての子供たちが)。
「悪いことばかりじゃなかった」と言う前に、どれだけ「悪いこと」を正確に知っているのか、そして知ることから更に「二度と間違いは起こさない」という決意を導くこと、そこからこそ、日本人としての誇りと自信が生まれるのではないか、と思います。
「良いこと」をいくら並べても、「悪いこと」に関する清算がされていなければ、表面だけの「日本人スゴい、素晴らしい」にしかならず、空虚は埋まらないままです。


「艦これ」、知ってますよ。
何故、旧日本海軍の戦艦や軍艦が、美少女の姿をしているのか?理解に苦しみます。
あらゆる面で、不快なゲームだと私は思ってます。

>最近このゲームがもとで当時の歴史を深く知ろうとする人が増えているそうです。

これこそ「悪いことばかりでなく良いこともある」というレトリックではありませんか?
「艦これ」のようなゲームが流行るのも、正しく勇気ある、そして未来への自信に繋がるようなタフな歴史教育がないからだと、嘆息します。
このゲームで歴史に興味を持つことになっても、そこからは未来への自信は生まれてこないのではないでしょうか。

しぇぱーどしぇぱーど 2016/06/24 13:13  ご返信ありがとうございます。なるほどドイツに住んでいらしたsouheki1009さんならではのドイツ人と日本人の国民性やあるいは国民である事の誇りの比較とても興味深いと思いました。
 私自身は「艦これ」自体ナンセンスとは思いましたが、ゲームを通じて大戦について学ぶという点では面白いと思っていました。しかしsouheki1009さんがおっしゃるように自分たちの歴史に対する自信がないからこそあのようなゲームが生まれたという意見とても興味深く感じました。
 その点、ある種靖国神社もそういった「自信の無い歴史」の産物ともいえるのかもしれないと考えました。諸外国と違い靖国神社では官軍の戦没者のみを埋葬しているそうです。残念ながらドイツの例を知らないのでアメリカの例ですが、アーリントン
では南北戦争の南軍の戦没者も埋葬しているそうです。
 もしかしたら日本人の自国の歴史に対する自信の無さは、明治維新の際西洋思想を見よう見まねで受け入れてしまってここまで来た日本だからこその問題であり、今まさに在日問題などその歴史に対する直視が必要な時なのかもしれませんね。

ぱよ太ぱよ太 2016/06/26 14:44 隙あらば現代日本叩きが鼻につくけど書評としては及第点じゃないの

souheki1009souheki1009 2016/06/26 18:24 しぇぱーど様、

イギリス離脱のニュース一色の週末でしたね。

さて、

>ある種靖国神社もそういった「自信の無い歴史」の産物ともいえるのかもしれないと考えました。

その通りですね。外国の要人も花を捧げることができる、宗教性のない施設(千鳥ヶ淵のような)が必要でしょう。
2013年でしたか、来日したケリー国務長官とヘーゲル国防長官が揃って、靖国神社ではなく、千鳥ヶ淵に献花していました。
遊就館、でしたっけ?私は行ったことがありませんが、それがある限り、各国要人が靖国神社に行くことは到底ないことを考えると、「嘗て戦った者同士の和解と祈りの場」というものが存在しないことは、日本にとってとても不幸なことですね。

>日本人の自国の歴史に対する自信の無さは、明治維新の際西洋思想を見よう見まねで受け入れてしまってここまで来た日本だからこその問題であり、今まさに在日問題などその歴史に対する直視が必要な時なのかもしれませんね。


ご指摘のこの点は、日本人にとってはツラい部分ですよね。
私は、ぐぐっと楽観的に、明治維新の際の日本の西洋化は、今で言う「グローバル化」だったと前向きに捉えていいと思うんですよね。
明治の人たち、頑張ったと思います。
しかし、一方、第二次世界大戦後の極端なアメリカナイズは、果たして良かったのかどうか?
私が小学生くらいの頃から、1990年代の半ばくらいまで、NHKで夜のゴールデンタイムに、アメリカのドラマ、週に2日くらいやってましたよね?
「大草原の小さな家」とか、「警部マックロード」とか、「頑固じいさん孫三人」とか。夢中になって見ていましたよ、私。
吹き替えで見ると、日本人の私でも感情移入しちゃうんですよね。
今思えば、洗脳以外の何物でもなかったと思います。
数十年前は敵・味方として激しく戦った日本とアメリカが、斯くもここまで親密になれた一要因だとは思いますが。
ナショナリズムに走ることなく、国民としての誇りを育てるというのは、難しいことですね。

souheki1009souheki1009 2016/06/26 18:26 ぱよ太さま、

>隙あらば現代日本叩きが鼻につく

叩いてるつもりありませ〜ん!

>書評としては及第点じゃないの

ありがとうございます!

しぇぱーどしぇぱーど 2016/06/27 01:23 返信ありがとうございます

しかし、一方、第二次世界大戦後の極端なアメリカナイズは、果たして良かったのかどうか?
私が小学生くらいの頃から、1990年代の半ばくらいまで、NHKで夜のゴールデンタイムに、アメリカのドラマ、週に2日くらいやってましたよね?
「大草原の小さな家」とか、「警部マックロード」とか、「頑固じいさん孫三人」とか。夢中になって見ていましたよ、私。
吹き替えで見ると、日本人の私でも感情移入しちゃうんですよね。
今思えば、洗脳以外の何物でもなかったと思います。

なるほど(様々な議論はあるものの)文化帝国主義という考え方もありますし、個人的にはこれまで日本はあまりそのようなものと関係が無いとは考えてきましたが、その考えも面白いですね。
記事とはずいぶんと離れた内容ですが、そういった点も興味深いですね。

そこらへんの人そこらへんの人 2016/06/27 15:17 戦中の日本を批判するのに自虐と思った事はないですね。これが良いのかはわかりませんがw
暴走する軍上層部に調子に乗った国民。それを煽るメディア。流石に擁護できません。まあこれは世界恐慌のせいでもあるのですが。
歴史に自信がないというのは歴史を学ぶ事に意義を感じられないからでしょうかね。私自信は歴史を学ぶ事が好きですし、日本の長い歴史に誇りを抱いてます。その過程で国が間違いを犯してもそもそも世界全体で見ればもっと非道な事もありますし、どんな国でも清廉潔白ではいられません。繁栄の裏には犠牲者達の骸が横たわっているのですから。やはり、小さいころから歴史を学ぶ意義を教える事が重要ですかね。ただし自国の良い所も悪い所も教え、それを活かせような考え方を作らなければなりませんが。

takataka 2016/07/04 19:22 文庫版買ってこちらの書評を思い出しました。

コメント同士で議論するのはアレですが、、、ナチスの人道犯罪は、スペインや中国や日本軍や米軍の残虐行為とは性質が違います。

カントやニーチェやハイデガーを生んだ近代西欧自由民主主義国家で法治国家が、その最悪の暗黒面に堕ちた点で、
現代の自由民主主義諸国にとって永遠の教訓とする価値があります。

日本軍や米軍の残虐行為は、減らすことができますし、もしかしたら無くすこともできるでしょう。

でもナチスの犯罪は、永遠に無くせないかもしれない。その脅威は永遠です。
ナチスの主張は今でも魅力的です。軍隊も制服もかっこいいです。何より、キモい少数派を排除して民族の一体性を取り戻す快感、自分が今正しい側にあると信じられる恍惚!

でも、それはダメだというのが5000万の人命で人類が得た教訓です。

とはいえ、ナチスがあそこまでドイツをコントロールできたのは、ドイツの国民性もかなり影響してるでしょうが。

書評ですが、29章はドイツ人でないから書けたことだと思います。ナチスが悪でドイツ人は騙されたというのは、ドイツ人にとってもドイツを受け入れる欧州にとっても都合のいい神話です。しかしドイツの隣国の国民には、ナチス体制を完遂したドイツ人の不気味さが見えているのだと思います。

軍部が悪くて国民と天皇は引きずられただけという東京裁判史観が外交的に正しい神話にすぎないのと似てます。
遊就館の展示は史実を都合よく偏向して頭悪くて参りますが、遺族向けの慰安施設としては仕方ないかも。表現の自由がありますので。
靖国で会おうと言って無くなった兵士の霊に、無宗教慰霊施設が適切なのか、死者との契約を変更できるのかはわかりません。

艦これは、オールド戦史マニアの多くが、キモい、早く廃れて欲しいと眉をひそめましたが、遊んでみると結構はまっちゃいます。
ミリオタと言うだけで不謹慎でキモいのに、萌ミリオタは最悪の二重苦です。でも、自分にも萌ミリオタの鉱脈があったと嫌な真実に気づいて、堕ちた自分を苦い感情と共に受け入れるのです。。。

souheki1009souheki1009 2016/07/04 20:45 しぇーぱーど様、

こちらこそ再々度のコメントいただきました。


日本から遠く離れたドイツの一編の小説であるこの本、しかも日本のことなどこれっぽっちも出てこないこの本であるのに、考えさせられることが多いのは何故なんでしょうね。

ダックスフンドダックスフンド 2016/07/09 02:29 こんばんわ。映画が面白かったので原作も読んだら、これまた面白く他の人はどんな感想を持っているのかググってみたらここを見つけました。ここのレスを一通り読んでみたのですが・・・変な人もいたみたいですね(;´∀`)

さて気を取り直して・・・
>ヒトラーにとっては、〈ユダヤ人〉問題は、「ジョーク」ではなく「マジ」な問題なので、「ネタ」などにはできない

「ユダヤ問題に対する最終的解決策」についてちょっと聞きかじっていたので映画館では凄まじく黒いジョークと感じていましたが、原作を読んだところヒトラーは真剣にユダヤ人を凶悪な生物と考えていたことに気付き寒気がしました。こんなに頭の良い人が何でこんな被害妄想にとらわれているのか、その原因は何なのか・・・聞くところによると当時のドイツ人もかなりの数が人種差別とユダヤ人憎悪に染まっていたみたいでヒトラーが特殊な例外的存在ではないことも含めて。当時何があったのか知りたくなりましたね。

>・国民全体がブタ→ドイツ人全体が、ホロコーストという非人道的な政策を実行した愚かにして低劣なブタであった。
>・国民はブタなどではなく、すべては民族の意志だった→ドイツ人は愚かでも低劣でもなく、ホロコーストはドイツ人の総意で採った政策だった。

ナチスは選挙で総有権者数の過半数の票はとったことは無いので、その問いは詭弁でしょうね。

それとは別に本質的に人間は愚かな豚だと思いますよ。むしろ自分が愚か者である自覚を持った方が良いとも思います。その前提が頭に入ってあれば慎重に試行錯誤してモアベターな状況に持っていけると考えています。

>「悪いことばかりじゃなかった」とは、何とも巧妙なスローガンです。
>一つでも「良いこと」があれば、正当化されてしまうかの如きです

これですよ。これ!読んでみてモヤモヤしていたものが一気に晴れました。わが意を得たりというやつです。
どうも有難うございました

souheki1009souheki1009 2016/07/13 15:54 そこらへんの人さま、

コメントを頂いていましたのに、返信大変遅くなり申し訳ありません。

>戦中の日本を批判するのに自虐と思った事はないですね。

おっしゃる通り、それを「自虐」と思うのがおかしいんですよね。
「戦中の日本」を形成していたのは一人一人の普通の国民であったのですから、あの優しい祖父母であったり、冠婚葬祭で会う年配の穏やかな親戚の面々であったりも、もちろんその一員であった、というので、日本人的には「戦中の日本に対する批判」が「戦中を生きていた人たちへの非難」になってしまうと慮って遠慮しまったのでしょうかね。
ドイツ人に何故それができたかと言うと、あの突き抜けた合理的思考(日本人的には理解は難しい)、「批判」は「批判」であってそれ以下でもそれ以上でもない、というあのカラッとした国民性ゆえだと思います。

>どんな国でも清廉潔白ではいられません。繁栄の裏には犠牲者達の骸が横たわっているのですから。

そこらへんの人さまの、この考え方こそが、今の歴史教育に欠けていることかもしれませんね。
試験を睨んで年表的に歴史を教えても何の意味もありませんし、自国の歴史礼賛だけやっていても真に歴史を学んだことにはなりません。
今記憶を辿っても、中学、高校の歴史の授業で、「グループディスカッション」とか、議論というものをした覚えは全くありません、歴史の授業とは、先生が一方的に講義するだけのものでした。
真に「歴史を学んだ」と言えるのは、そこらへんの人さまがおっしゃるように、

>自国の良い所も悪い所も教え、それを活かせような考え方を作らなければなりません

であり、自分の言葉で客観的に歴史を語ることができるような教育でしょうか。
今の日本では、それが一番難しいことのようですが。

souheki1009souheki1009 2016/07/13 17:05 takaさま、

コメント返信遅くなり申し訳ありません。


>それはダメだというのが5000万の人命で人類が得た教訓です。


その、この上なく貴重な教訓、決してこの教訓を無駄にするような社会は生まれないだろうと確信させるはずだった教訓が、「ヒトラーが現代によみがえる」という単純な設定で、いともあっけなく崩壊する可能性があることを見せたのが、この小説ではないか、と思います。


>ナチスがあそこまでドイツをコントロールできたのは、ドイツの国民性もかなり影響してるでしょうが。


takaさまのおっしゃる通りだと思います。
ドイツに3年住んだ身で言わせていただくと、ドイツ人って(と一括りにできるくらいの高確率で)異常に清潔好き、綺麗好き、まさに不気味なほどです。例えば、肉屋のショーケースですが、毎日夕方の閉店時には全て空っぽにしてピッカピカに消毒薬で拭いています。自宅の窓ガラスの清掃を怠ると、ポストに苦情のお手紙が入っているというのは有名な話ですが、本当に徹底しています。
他にも、(日本的)ジョーシキで考えて、「これは無理だろう」という作業も力技でやり遂げてしまいます(何せドイツ人ガタイがよいので)。
また、時間をかけて粘り強く本懐を遂げる能力も世界一だと思います、彼らはそれで東西ドイツ再統一を成し遂げました。
時間厳守、規則厳守、も、チョー真面目な日本人の三枚くらい上を行っています。
これらの「美点」ともいえる国民性が、束になってどどっと負の方向に働いたらどうなるか?それがナチスの犯罪だと思います。
ドイツ人が戦争犯罪について深く反省しても尚、国民性というものは変わらないわけですから、takaさまがおっしゃるように「しかしドイツの隣国の国民には、ナチス体制を完遂したドイツ人の不気味さが見えているのだと思います。」だと思いますね。



>ナチスが悪でドイツ人は騙されたというのは、ドイツ人にとってもドイツを受け入れる欧州にとっても都合のいい神話です。

このあたりは、ヨーロッパ人の老獪なところでもあり、また例えば隣国フランスにしても、もし第一次大戦の勝敗が逆でフランスが敗者で莫大な賠償金を負わされハイパーインフレに見舞われていたら、ドイツと同様に歴史的にユダヤ人を差別する文化があるフランスにヒトラーは現れなかったとは断言できないところもあり(それこそ「国民性」の違いはあるでしょうが)、この神話をヨーロッパ全体で受け入れざるを得なかったのでしょうね(逆に勝者側のフランスでヴィシー政権の総括が行われていないという欺瞞もあります)。
一方、ヨーロッパ人ほど老獪ではなかった日本人は、いえ、正しく言うと、一部の方々は、

>軍部が悪くて国民と天皇は引きずられただけという東京裁判史観が外交的に正しい神話

さえ受け入れられないと未だに駄々をこねているのですから。


艦これにまつわる萌ミリオタについては、コメントを控えさせていただきたいと存じます。

souheki1009souheki1009 2016/07/14 18:40 ダックスフンドさま、

このエントリーの長い長いコメント欄をお読みになった上で、「気を取り直して」コメントいただき、ありがとうございます。


>当時のドイツ人もかなりの数が人種差別とユダヤ人憎悪に染まっていたみたいで


これなんですが、ドイツ人だけではなくフランス人、そして西欧キリスト教世界全体の問題なんですよね、ユダヤ人差別。
シェークスピアの「ベニスの商人」におけるシャイロックの描写は、特別なものではない、と思いましたね。
あの感覚(シャイロックはユダヤ人だから、どんなに痛めつけても構わない的な)を西欧キリスト教世界は、ずっと持ち続けてきたのです。
勿論、ヨーロッパ各国の中で、政治、経済、文化、思想、科学の分野で活躍してきたユダヤ人は数知れませんが、どこかで伏流水のように流れ続けていた(いる)のだと思います。
アジア人の我々には、とても理解できない、複雑で歴史的な背景があるのでしょうが。
第一次世界大戦で負けたドイツに於いて、可能性の少ない偶然が重なって黒石が雪崩的に盤を覆ってしまうオセロのように、ヒトラーとナチスがドイツという国全体を覆ってしまう状態ができ、組織的なユダヤ人虐殺という、超えてはいけない一線まで超えてしまったのだと思います(すぐ上のコメントで、takaさまという方が、ドイツ人の国民性も理由の一つに挙げていらっしゃいますが、それも然りだと思います)。
それと同じドイツ人の国民性が、一方では、「ユダヤ人虐殺」という、普通なら目を背けたいような自国の歴史を直視させるのだとしたら、何とも皮肉です。


>本質的に人間は愚かな豚だと思いますよ。むしろ自分が愚か者である自覚を持った方が良いとも思います。その前提が頭に入ってあれば慎重に試行錯誤してモアベターな状況に持っていけると考えています。


ダックスフンドさまがおっしゃる通り、ドイツ人が自国に誇りが持てるのは、「自分たちは愚かな豚で過ちを犯したが、それを直視してきた。だからこそ二度と間違いは犯さない。」という自信があるから、ですね。
しかし、一方では、アメリカのトランプ現象、フランスの右翼の台頭を見ていると、ありえないオセロの盤がまた出現する可能性も。
あれだけの過酷な歴史の教訓さえも、70年も経つと賞味期限を失ってしまうかの如くです。

鳥目鳥目 2016/07/16 18:28 書評拝見いたしました。
私にはドイツ在住の経験がありませんから、ドイツ人が感じるところのニュアンスという物が理解できません。ただ、想像するだけです。ですからこの書評は大変参考になりました。
今度購入することにしました。ありがとうございました。

ただ、ヒトラーを絶対悪と考えている時点で本読みの反骨心が疼きます。考えてみて下さい。「悪いことばかりじゃなかった」という言葉は単なる言葉で、背景次第でいかようにもとることができます。実際ドイツ人がそう考えるならそれはそれで間違いじゃない。ドイツ人の勝手というものです。自由というものはそういうものです。

じゃあ、それが原因で戦争になったら?と考えるかもしれません。戦争はない方がいいに決まっています。回避すべきものです。それでも運悪く、努力も拙く戦争になるかもしれない。でもそれは自由主義のコストとでも呼ぶべきものです。むしろこういう考え方は許されないと考えることこそファシズムではないでしょうか。

たとえばコメント欄で艦これに言及されていますが、ゲームごときに目くじら立てるのはヒトラーがやったエゴン・シーレらの画家に対する弾圧にも似て狭量な印象をぬぐえません。無論批判するなという訳ではありません。しかし、ご自身が不快である、という理由で否定なさるなら、同性愛が嫌いだという理由で弾圧したヒトラーとどう違うというのでしょう?

つまらない話を書いてしまいましたが、怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない(以下略)という有名な言葉で締めくくらせていただきます。

souheki1009souheki1009 2016/07/19 11:07 鳥目さま、

>ヒトラーを絶対悪と考えている時点で本読みの反骨心が疼きます。

この件に関しては、鳥目さまの反骨心が慎重に作動されますように。
私も含めてアジア人は、西欧におけるキリスト教徒とユダヤ人との長い歴史を知識としてしか知りませんし、もちろん体験的にもわからないわけです。
私たちから見ると、宗教革命後のプロテスタントとカトリックという同じキリスト教徒同士の血で血を洗う闘争もなかなかに理解し難いものですが、20世紀の文明国家において、ユダヤ人問題の最終的解決(=全滅させる)という「政策」が行われたことは、尚更に私たちアジア人の理解を超えており、発言は慎重の上にも慎重にすべきではないかと思います。
すぐ前にコメントをいただいたtakaさまという方がおっしゃっていますが、ヒトラーとナチスがやった、国家的組織的なユダヤ人殲滅、というのは、他の国の他の戦争犯罪とは峻別されるべきものだと思います。
歴史上起こった戦争ではどの戦争でも、酸鼻な戦いやら人間としてのモラルに反する戦場での行為は多々ありましたが、それとヒトラーがやったことはレベルが違います。

>「悪いことばかりじゃなかった」という言葉は単なる言葉で、背景次第でいかようにもとることができます。実際ドイツ人がそう考えるならそれはそれで間違いじゃない。ドイツ人の勝手というものです。

という鳥目さまのご意見なのですが。
私は滞独中にドイツ語の個人レッスンを受けていた先生と、ドイツのアウトバーンの話になって、私がアウトバーンの素晴らしさ(戦車も通れる!直線部分だと飛行機も発着できるほどの広さと頑丈さ!速度無制限!無料!)を挙げていると、彼女が微妙な顔をして、「アウトバーンは確かに現代ドイツにとって重要だけど、アウトバーンを作ったのはヒトラー。だからドイツの人々は、アウトバーンについてあまり語らない。」と言われてしまいました。
夫に至っては、仕事関係のパーティーでドイツ人に「ドイツの自動車産業が発展したのは、アウトバーンのおかげだが、アウトバーンはヒトラーが作ったとは誰も言わない。」と言われたそうです。
つまり、ヒトラーとその時代について、今までは「悪いことばかりじゃなかった」とは、とても言えない状況であったところが、この小説の中で、ヒトラーが現代に甦ってコメディアンとして有名になり、政治活動を始めるにあたって、「悪いことばかりじゃなかった」と言い出したこと自体が、かなりcontroversialというか、今までのタブーを破ってしまった状況設定なのではないかと、私は思います。日本における「戦争中、併合した韓国や、占領したアジアの国々で、日本人は良いこともした。」と発言するのとは、全くレベルが違うようです。


>それは自由主義のコストとでも呼ぶべきものです。むしろこういう考え方は許されないと考えることこそファシズムではないでしょうか。

このあたりも慎重な切り分けが必要で、例えばドイツでは、思想・言論の自由は保障されていますが一方、ネオナチ政党や共産党は、憲法に定める
自由な民主的基本秩序の侵害を目的としているとみなされ、憲法裁判所から解党命令が出されました。それこそ戦前の反省を踏まえているのだと思いますが、このドイツの制度はファシズムではありませんよね。


艦これ、については書くとまた面倒臭いことになりそうなので、控えてきましたし、書くエネルギーも今のところないのですが、これについても「ゲーム」とひとくくりにして、「ゲームごときに目くじら」というステレオタイプな言葉に落としてしまうのではなく、一つ一つ切り分けて考えるべきなのでは?
艦これファンの方がどんなに言葉を尽くされようとも。「艦これ
大破」というキーワードで画像検索した画像を見て、不快感を感じない女性はいないのではないでしょうか?

>同性愛が嫌いだという理由で弾圧したヒトラーとどう違うというのでしょう?


全く違う!!!!!と申し上げて締めくくらせていただきます。

takataka 2016/07/29 22:45 最後の段は、萌ミリに対する寛容は、ある特殊な集団の徳ではあるが、
そのような特殊な徳がないことは、当然ながら非難には当たらない。
という趣旨です。

おそらくその徳は、非難すべきものをも、どうせ少数派だから敢えて見逃すという、いくらかの危険と悪も伴うので。

takataka 2016/08/01 17:00 そうそう、私のコメントは読み捨てで表示許可しなくて結構です。
だいぶスレ違いですし。
問題の整理に役立てばというだけです。

仮名仮名 2016/08/18 01:28 >艦これファンの方がどんなに言葉を尽くされようとも。「艦これ
>大破」というキーワードで画像検索した画像を見て、不快感を感じない女性はいないのではないでしょうか?

「男に都合よく性的にデフォルメされた女性」と言う存在への不快感ですよね。
同様に「女性に都合よく性的にデフォルメされた男性」+何かで構成される創作も存在しています(やはり男性からは拒否されがちです)し、これに対する嫌悪感は個人の性的趣向(および他人の性的趣向に対する拒否感)が主でしょう
嫌いであることは個人の好き嫌いで自由ですが、そこからそれを志向する人間の歴史観など、人格への否定に論を繋げる事は同性愛に対するヒットラーの手法と同様です
「もうちょいこそこそするべき」と言う程度なら同意できるのですがね

クライスクライス 2016/08/20 22:04 書評なのに、今の政治家を名指しであげてるのはどうかと思う。

個人的に今の日本が戦前に日本を多少とはいえ憧れてしまうのは仕方ないところがあると思うんですよね。別に中国侵略や韓国併合を正当化しようとか大東亜共栄圏が正しかったとかいうわけではありませんが、良くも悪くも日本の足で立てていた時代ですから。
正直、在日米軍がいなくなれば(あるいは敵対したら)憲法九条のせいでやたら微妙な戦力しかない自衛隊だけでいざという時国を守れるのかという不安を感じずにはいられませんし、さらにそのアメリカで「海外から駐屯軍引き上げようぜ」という主張のトランプが大統領候補として脚光を浴びている今は特にそう思う人が増えているのかもしれません。

それにドイツのネオナチ政党や共産党が民主的基本秩序の侵害として禁止されているという話が出ていますが、ドイツ内でも思想を理由に自由を制限することの方がはるかに民主的基本秩序の侵害ではないのかという反論もあるそうですし、難しい過去を背負ってるドイツには思想・言論の自由の定義についてさえ、いまだ定まらぬところがあるのかもしれません(ドイツに限った話ではないのかもしれませんが)。
まあアメリカでも戦争中に日系人を問答無用で強制収容所なり軍人にして激戦地なりに送り込んだり、冷戦期の赤狩りで共産主義者だけではなく共産主義に許容的・容認的な人間さえ逮捕して尋問し、疑わしい奴はたとえ無実でも纏めて牢獄に放り込んだり国外追放したりしてた時代もあるのですし、民主主義といえども大きな対立になれば、人権など容易く無視されてしまうものなのかもしれません。

そうならない為にこそ、政治的に対立するものであっても話し合うことを忘れず、そうやって問題を解決せねばならないとは思うのですが、ドイツにナチスが台頭してきた要因のひとつに議会が対立しすぎてろくに意見がまとまらず、国民が分断意識に苦しんでたというのがあるそうですし、それがナチスの実行した政策「強制同一化」も「国民の分断意識を改善し、内乱に至りかねない状況を打破する」という大義になってしまったところがあるそうなので、「どこまで認めるのか?」というのは難しいテーマなのかもしれません。

kazsakazsa 2016/09/03 13:30 映画を「おもしろそうなコメディ」を期待して観にゆき、期待を良いほうにうらぎられ、原作(文庫版)を読んだ者です。


遠い昔の学生時代に「ドイツ人は『ナチスが悪かった』(表現をお借りすれば国民全体が豚ではなかった)と総括して近隣諸国と協調できたが、日本人は太平洋戦争を総括することなく近隣諸国との軋轢を解消できなかった」と習いました。
戦後七十年、ドイツ人は其の辺りも問うようになっているのだなぁと興味深く鑑賞&読了し、ドイツ在住経験がおありのsouheki1009さまの考察を拝読して更に思いを巡らせた処です。food for thoughtな記事をありがとうございます。


ほかの方が種々コメントなさっていらっしゃるので(読解力の疑われるコメントも散見されますが)くだくだは申しません。但、

>そもそも私は、選挙権を得て以来、自民党に投票し続け、2009年の政権交代の選挙で民主党(当時)が圧倒的勝利をした時でさえ、自民党に投票したものです。
そんな私でも、今の政権には違和感マックス、危機感マックスなわけです。

との危機感にはたいそう共感致します(投票先が異なろうとも)。
米国大統領選に於ける共和党主流派の苦悩は日本でも報じられておりますが、自由民主党内でのそうした声はあまり聞えてきません。ドイツでのAfDの躍進といったポピュリズムの擡頭を憂う以上に、安定絶対多数与党が極右的鬱憤の受皿となっている状況が、『帰ってきたヒトラー』と同種の不安をかきたてます。

souheki1009souheki1009 2016/09/12 09:28 takaさま、

コメント返信大変遅くなって申し訳ありません。
巷では夏休みが終わったというのに、夏の間に返信できなかったコメントに今頃お答えしております、申し訳ありません。

>萌ミリに対する寛容は、ある特殊な集団の徳ではあるが、
そのような特殊な徳がないことは、当然ながら非難には当たらない。

>非難すべきものをも、どうせ少数派だから敢えて見逃すという、いくらかの危険と悪も伴うので。


私には当然ながら、萌ミリとやらに対する、寛容という「徳」はありませんし、そもそも「非難すべきものをも、どうせ少数派だから敢えて見逃す」というのは「徳」などとは言えないのではないか、と思うものです。

souheki1009souheki1009 2016/09/12 10:07 仮名さま

コメント返信、大変遅くなって申し訳ありません。


>嫌いであることは個人の好き嫌いで自由ですが、そこからそれを志向する人間の歴史観など、人格への否定に論を繋げる事は同性愛に対するヒットラーの手法と
同様です


お言葉ですが、私は別に「人格の否定に論を繋げる」ことは致してはおりませんが?
しかも、このエントリーは小説の書評であり、エントリー本文中には「艦これ」のことなど一言も触れておりません(全く関係ないですし)。
また、本文をもし読んでいただいていればおわかりだと思いますが、この小説自体が、ヒトラーが過去にやった政策云々を主題にしているのではなく、現代ドイツの諸問題を、「現代に甦ったヒトラー」というファンタジーを通して描いているものです。
申し訳ありませんが、「艦これ」については他の場所で議論していただければ幸いです。

souheki1009souheki1009 2016/09/12 10:52 クライスさま

コメント返信、大変遅くなって申し訳ありません。


>個人的に今の日本が戦前に日本を多少とはいえ憧れてしまうのは仕方ないところがあると思うんですよね。


意見は様々です。
私などは、日本の戦前の小説が好きで若い頃は読み漁りましたが、では自分があの時代を生きたかったか?と問われたとしたら、「absolutely
NO!!!」ですよ、憧れ皆無。
クライスさまが「仕方がないところ」と理解を示されている、戦前の日本に憧れている人たちとて、「戦前に憧れてるあなたをあの時代にワープさせてあげる。でもあなたの役は、『中国北部のぬかるんだ道を雨の中二週間行軍させられた挙句(←映画か何かで見た光景です)いきなり敵の襲撃を受けて大怪我を負い不衛生極まりなく薬さえない野戦病院で死んだ日本人』の役か、『東京大空襲で逃げ惑った挙句焼け死ぬ日本人』の役か、二択ね!」と言われたら?
皆が皆、カッコイイ軍服を着て参謀室で髭をなでている役にはなれないんですけどね。

多分ドイツでは、「戦前のドイツに憧れる」人は少ないのではないでしょうか、歴史を少しでも学んだ人ならば。
日本の場合、日本史選択者であっても高三の三学期に駆け足で通り抜ける第二次世界大戦のほんの上澄みだけの知識と、一方では叙情的に且つ悲壮感の中にも殊更美しく描かれる当時の映画やドラマ、でしか戦前を知りないですからね。
戦争を総括し、教育年齢にある子供を含めて国民全体で共有してこなかったツケが今になってあちこちの局面で出てきたのではないかと、私などは思います。


>ドイツ内でも思想を理由に自由を制限することの方がはるかに民主的基本秩序の侵害ではないのかという反論もある

私も最初、ドイツで、ネオナチは禁止されて当たり前ですが、共産党まで禁止されていることを知って驚きました。
しかし、ドイツは過去の経験から、それこそチャーチルの言葉ではないですが、「民主主義は最悪の政治形態だが、過去のあらゆる形態よりはマシ、なかんずく戦前のナチスの政治形態だけは二度とごめん」と、ドイツ人お得意の合理的思考で考えた結果なのだと思います。


そして、クライスさまのコメントの最初の一行

>書評なのに、今の政治家を名指しであげてるのはどうかと思う。

ですが、根拠がよくわかりません。
昔の政治家なら名指ししてもいい?
もしくは今の政治家は名指しではなくイニシャルでとか?
今のところは、日本にも言論の自由はありますので、今後も(機会があれば)名指しでいきたいと思っております。

souheki1009souheki1009 2016/09/12 16:35 kazsaさま、

コメント返信遅くなって申し訳ありません。

私は結局映画を観に行けませんでした。DVDを待つことにします泣

>米国大統領選に於ける共和党主流派の苦悩は日本でも報じられておりますが、自由民主党内でのそうした声はあまり聞えてきません。


2年半前に書いたエントリーですが、この小説がスゴいと思わされるのは、単に小説世界の中で感想が終わるのではなく、色々なことに反射して自分に返ってきて更に考えさせられることですね。
翻訳が出てから2年半も経って、そしてドイツから遠く離れた極東の国のオバサンである私のような読者にも、今なお新たな問いかけをしているのですから。

今朝から、9.11の追悼集会で体調を崩したヒラリー・クリントン氏がニュースになっていますが、この件が致命傷になりトランプ氏が大統領になり、アメリカと世界が危機に陥ったとしたら、一番の戦犯は、他でもない共和党主流派ということになるでしょうが、日本も同じではないか、と思わされますね。
民進党の党首選よりも、黙する自民党内の実力者の方々の奮起の方が気になります。

中卒者中卒者 2016/12/22 18:41 失礼いたします。
私は話題になっていたこの映画を見る前に文庫本を読んで引き込まれ、その熱の冷めぬ内に映画も見たのですが、本当に色々と考えさせられる物だな、と。中卒という低学歴ながらも思いました(汗
映画のラストシーン前でヒトラーがある言葉を述べるのですが、それを聞いて真っ先に思ったのが、『顔のないヒトラーたち』という映画の題名でした。内容は見ていないので関連があるかは別として、今の世界情勢を中卒者ながらに見ていると、この『顔のないヒトラーたち』が真っ先に浮かんでくるんです。日本人にしても、ドイツ人にしても、アメリカ人にしても、イギリス人にしても。
まさに世界は『顔のないヒトラーたち』状態なのでは?、と。ヨーロッパでは難民問題等で極右政党が勢力を広げているとニュースで目にします。私は右翼的だとか左翼的だ、とかはあまり考えないようにしてニュースを見ているのですが、どうも世の中は、特に日本は『戦前の良い事だった事柄』をピックアップして、それを美化する傾向があると思います。
それこそまさに作中の『悪い事ばかりじゃなかった』状態、とあなた様が言っている通りだと思いました。
前述の通り、私は学の無い頭ですが、歴史に関しては大学に行って勉強したかったなぁ、と常々思っている身でして(汗
おそらくこの文章も他の方からしたら何言ってんだこいつ?と思われそうですがご容赦を……。
ただ今の日本の、前にならえ、と言いますか。政治、歴史に深く考えもせずに、ほぼ無関心と言わんばかりの状態は大変おかしな状態だと思っています。
米国は確かに原爆を落とした。ナチスはユダヤ人は虐殺した。アジアは欧米諸国に不当に扱われていた歴史があったかもしれない。
ただ、日本も戦争をした。『戦争をした』。全てはこの一言が物語っていると思っています。
戦争は勝っても負けても、両者が『悪』そのものだと思ってます。それ自体が。その戦争をしないために軍備は必要、と言われるでしょうが。
話は映画の内容に戻りますが、ヒトラーが作中で言った言葉、それこそこの映画の中で一番意味のある言葉だと思いました。
まだ映画を見ていないというコメントを見ましたので、ネタバレは控えますが。
関係なさそうな内容を失礼しました。ご容赦を。
私はこの熱の冷めぬうちに、『顔のないヒトラーたち』なる映画を早く観たいです。

thunder-bolt510thunder-bolt510 2016/12/26 00:27 映画を見た余韻でこちらに辿り着きました。非常に興味深く読ませて頂きました。これまでのコメント欄でのやりとりを見ていたらなんとなく聞いてみたいことができたので、良ければコメントください。


そもそも人類がブタであると考えている僕は、日本人は多民族と比較すれば相対的にマシであるというネット右翼的論法にはわりと否定的です。しかし忘れてはいけないことは、今も昔もやらなきゃやられる世界であるということです。この点ブログ主さまはどうお考えでしょうか?


語られている勝者のブタの歴史のどこまでが真実で、これに反証反論する敗者であるブタの、正統性バイアスまみれの民族主義のどこまでが真実なのか、僕にはもはやすっかり分かりません。しかしはっきりしていることは人類はブタということなのですね。餌場がなくなれば、ひょいと足を伸ばして蹂躙し、更なる足場を虎視眈々と狙っているわけです。これに対抗するブタが、人間であろうとすれば、勝敗は明らかではないでしょうか。どう思います?

それを踏まえて、勝者であるブタに敗者であるブタは服従し続けるべきなのか、はたまたブタはブタなりにせいいっぱい人間であろうとするべきなのか、あるいはブタであることを自覚し、ブタにはブタ的精神で挑むべきなのか、僕は非常に頭を悩ませているところなのですが、ブログ主さんはどう感じられますか?

souheki1009souheki1009 2016/12/26 17:24 中卒者さま(←こうお呼びすることに強烈な違和感を感じますが、便宜的に呼ばせていただきます)、

世界を見るのに学歴は関係ないのではないかと思います。
高校の教科書の上っ面だけを学んだだけではダメで、教科書以外の歴史書も読んで自分のものとして学ぶか否か、考えるか否か、ではないでしょうか。
ちなみに私の世代(共通一次世代)で、「世界史は量が多くて大変だから」という理由で世界史を選択しなかった人は多く、彼らの世界史の知識は中学校止まりでありますので(愚弟含む)、あなた様が何ら卑下されることはないかと思います。

私は、映画「帰ってきたヒトラー」も「顔のないヒトラーたち」もまだ見ておりませんので、映画についてはここでは述べられません。

さて、あなた様がおっしゃる、

>どうも世の中は、特に日本は『戦前の良い事だった事柄』をピックアップして、それを美化する傾向があると思います。

>今の日本の、前にならえ、と言いますか。政治、歴史に深く考えもせずに、ほぼ無関心と言わんばかりの状態は大変おかしな状態だと思っています。

には全く同感で、以前は「戦前を美化する」ことも「まあ、そう言いたい人(多分少数?)もいるよね」と看過していたのですが、最近はその美化の傾向が夙に強いので、危惧さえ覚えるほどです。
その美化ですが、雑なのか、それとも逆に巧みに混ぜ合わされているのか、様々なことが一緒くたにされていると感じます。
例えば、和食とか、伝統工芸・伝統芸能とか、日本のそういうものが「優れている」のは、「戦前」とは何の関係もないことですが、そういうことも、「日本人は今も昔もスゴイ!」的な描かれ方になってしまって、ナショナリズム一歩手前と感じられるものも多々あったり。
特攻隊の描かれ方についても、「国のために殉じた」という捉えられ方が一般的ですが、私なんかは、過労自殺をした電通の女性社員(お母様の手記を読んで涙が止まりませんでした)に対して思うのと同様に、前途ある若者の正常な判断力を奪うものは何と恐ろしいシステムなのか、それが企業であれ国であれ許されるものではないと思いますね。

そして未来を担う子供は、忙しすぎる上にスマホの出現により、読書や自分の頭で考える時間が失われたまま(そもそも「歴史」は受験の科目としてしか学校で教えられませんし)、大人になってしまうこの時代です。
大人も同様で、まさにあなた様がおっしゃる「政治、歴史に深く考えもせずに、
ほぼ無関心と言わんばかりの状態」ですから、この小説のように今新たに「ヒトラー的な人物」が現れても、無関心のまま肯定してしまうかもしれませんね。

年の瀬なのに、お先真っ暗なことばかり書きましたが、それでもこの時代、逆にITやらSNSを武器にして、より良い世界を作っていく人々がいることに希望を持ちたいですね。

dasdas 2017/01/28 03:51 ツタヤでDVDを借りて感想を探していたら辿り着きました。
小説は読んでいないのですが映画は爆笑した後もすぐに毒がくる
緩急が上手い作品だなと思いました。

僕はコメント欄の二人目の方から吹いてしまったのですが
ブログ主様が丁寧に返信されてるので感動しました。
ネット上でそういった方とコミュニケーションを取るのは非常に
疲れると思いますが、ここまで真摯に向き合う姿こそまさにタフな方だなと。
この映画を見終わった後も、このレビューのコメント欄を見ても「愛国心」って便利なものだな。と一層強く思います。
2回分楽しめました。
小説版買って3回楽しもうと思います。
ありがとうござました!

souheki1009souheki1009 2017/01/29 17:02 thunder-bolt510さま、

コメント承認と返信、大変遅くなり申し訳ありません。

示唆に富むお尋ねをいくつかいただいております。

>今も昔もやらなきゃやられる世界であるということです。この点ブログ主さまはどうお考えでしょうか?

>対抗するブタが、人間であろうとすれば、勝敗は明らかではないでしょうか。どう思います?

>勝者であるブタに敗者であるブタは服従し続けるべきなのか、はたまたブタはブタなりにせいいっぱい人間であろうとするべきな
のか、あるいはブタであることを自覚し、ブタにはブタ的精神で挑むべきなのか。


コメントをいただいてから年を越し、本日2017年1月29日、世界を見渡すと、thunder-bolt510さまの上の三つの問いかけが、ずっしり響きます。
これが1年前にいただいたお尋ねならば、全然違った答え方をしていたと思いますが、何という世界の現実なのでしょうか。

・「やらなきゃやられる世界である」ということは、紛れもない事実だと思います。しかし、「先にやってしまったが故にそれを理由に完膚なきまでに潰されてしまう」ことも事実だと思います。

・「対抗するブタが、人間であろうとする」場合とは、今まさに現実で起こっていることですね。トランプ新大統領に対して、メキシコ大統領やら、カナダ首相やら、独仏首脳が、人道主義や民主主義に基づいて人間的であろうとしていますが、これが成功するのか否か。「勝敗は明らか」(=人間的であろうとすれば負ける)だからと言って、偏狭な「アメリカファースト」に迎合してよいのか。今年行われるフランス大統領選挙や、ドイツの総選挙の結果がどうなるのか、まったく予測できませんね。


・勝者であるブタに100%正義があったわけでなくても、戦争が終われば敗者は、勝者による新しい枠組みの中に否が応にも組み込まれます。第二次世界大戦後日本は、駐留米軍を受け入れ、アメリカの核の傘の中に入ることによって、いわゆる「戦争で負けて外交で勝つ」「Good
Loser」を選択して、経済に集中した結果。奇跡のような経済復興を遂げ、G8という世界の大国の中に連なっています(一応)。大成功のはずだったのが、トランプ新大統領の出現により、日本人がずっと思考停止していたことがさらけ出されてしまいました。「日本が攻撃された時にアメリカの若者が日本のために血を流して、日本の若者はアメリカのために血を流さないのは不公平ではないか?」とトランプ氏に言われて、言い返せる日本人はいないでしょう。「『思いやり予算』で米軍駐留費の7割強を日本が払ってます。」では答えになりませんから。いつかこういう日が来る時のために、敗者であったブタは、思考停止せずに日々賢く戦略を練っておくべきだったのでしょうね。かつての勝者ブタよりも遥かに賢く、加えて人間的でいられるようにするために。吉田茂の「Good
Loser」という身の振り方は、いつかWinnerになる日まで周到に密かに人間目指して頑張っておくべきことまで示唆していたのかも(今からでも遅くはないことを願います)。


thunder-bolt510さまの問いかけに、現時点での考えをつらつら書いてみました。
これから世界がどうなるのか、今年は不安な1年になりそうです。

souheki1009souheki1009 2017/01/30 19:11 dasさま、

残念ながら映画はまだ見ていない私ですが、dasさまの

>爆笑した後もすぐに毒がくる緩急が上手い作品

というコメントを見て、すぐにでも見たくなりました。


同じ小説を読んでも、全く違うご意見の方(読んでいらっしゃらないと思われる方も散見しますが)のコメントを読むと、驚かされることも、考させらえることも、多々あり、或る意味楽しくもあります。
今のところ、いただいたコメントには返信を書いてから承認しております。
(そのせいで、承認・返信が大幅に遅れてしまうこともありますが)

トランプ大統領が誕生した今、この小説を読むと更に気付かされることもあるかも、ですね。
是非、3回目を楽しんでください!

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