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2018-02-18

仮面ライダービルド 21〜23話感想

※一時、書きかけの記事を公開してしまっていました。すみません。差し替えます。

うわあ…(21話を見た直後の言葉)

前回の更新は21話を見る前だったのでした。なんてのんきなことを書いていたんだ…

というわけで、『ビルド』、まさかここまで踏み込むとは思っておりませんでした。
おそらく、平成ライダーで初めて主人公が人を殺したという描写がなされたはずです。
すごいなあ…
敏樹氏でも靖子女史でも虚淵さんでもなくて、武藤さんでなるとは思っていなかったな。

でもこれは、機が熟したとか単純に制作陣の覚悟が固まった、というだけのことではないように思います。
おそらくですが、視聴者に対する信頼度が高まったんじゃないかなーと勝手に思うのです。

実際、これまでも作中では殺人と明言されていないながらも、実質的にそれは行われていました。
それを「これは怪人なんで」という描写で言い訳をしてお茶の間に流していたわけです。
しかしそれは制作陣の及び腰と言うよりは、配慮の一環だったのではないかと感じます。そこまでやっていいのか?みんなついてこれるか?
そういう探り探りの17年間だったのではないか。

平成ライダーが問いを突き付けてきたのは間違いないことで、しかし一方で、視聴者がそれを受け止め時に答えを返し時にさらなる問いを突き返してきたこともまた、確かなことです。

時代も変化しました。痛みをオブラートで包んで提示するには、大人も子どももあまりに生の情報に接する機会が増えています。
そうした中で、「戦争」をテーマにする。ゆえにこそ制作陣はこの判断に踏み切ったのではないでしょうか。
視聴者も受け止めてくれる、むしろだからこそ見てくれるのではないか…そのように。
それくらい信頼してくれているなら嬉しいなあという個人的な願望かもしれませんが。わたしは勝手にそう受け取ったのです。

仮面ライダーグリスについて

とはいえ、ただぶつけてくるようなことはしないのはさすが。
うまいなーと思ったのが、戦兎の葛藤を一話にまとめたことです。見ている時は、えっ初めからこんな重いのぶっこんでくるの!?と思いましたが。逆にあれ引きでやられたら辛すぎますよね…
そして戦いが済んだ次の回では、冒頭に猿渡とミーたんのやりとりを入れることで息抜きをしてくるという。いや、さわさんの「5万円」にはかなり笑いました。
でもそのすぐ後でさらなる犠牲者が出るんですけど!つるべうちか!

さて、話を戻すと赤羽を不本意ながらも確かに自分の意志で殺してしまった(殺す可能性があると知りつつ戦ってしまった時点でもうギルティなのです…)戦兎ですが、グリスこと猿渡がほかでもない仇のはずのその背中を押します。
あれを見た時、なんでグリスが武田航平さんなのか腑に落ちたんですよね。
考えてみれば、殺人を犯して葛藤するってドラマ、現代劇ではほぼやらない・やれない話なんですよね。現代では特殊だから。子ども向け特撮ヒーロードラマだからこそできるのかもしれない。
でも、特殊だからこそ、すごく難しい演技なわけです。
武田さんはすでに平成ライダー経験者です。別に音也は殺人についての葛藤はありませんでしたが、平成ライダーが持つ独特の重さを経験しているわけです。
だからこそ、呼ばれたのかな、と。まあこれも勝手な見方なんですけども。でも、一視聴者として、武田さんがグリスとして立っていると安心感と説得力があるんですよね。それは、音也を知っているからだけではなくて。

あと、猿渡がああも分かった態度をとれるのは、彼が志願兵だからだよね。
説明もちゃんと受けて、なおかつ自分で選んだからこそ、覚悟も決まっている。
それに比べて戦兎と万丈が落ち込むのはしゃーないよ!だって君ら巻き込まれてるだけだもん!そこからどう覚悟をつかみ取っていくか…ということなのだよねえ。

しかしそのグリスも西都のライダーに対しては怒りをあらわにします。
ここ、ちょっとまだ消化しきれてないんですが。戦兎は許して、あいつらは許さないという線引きはしてしまうのか?
これは、仲間を虐待されたから、というのがあると思いますが。でも、だからこそちょっと危険。だって、戦いに感情を入れてしまう――正誤があると決めてしまう考え方だから。相手がいいやつでも悪いやつでも、戦争は戦争だよグリス。
でも……一人の人間としては当然の態度で。
実際に戦争をするのは人間同士だからこそかと思うと、この先が気になります。

戦兎の苦悩

いやー、犬飼さんすごかったですね…やつれ方が…
自室にひきこもってるのも相当でしたけど、個人的には現場に花を持って行ったのがたまりませんでした。

花!花て!そして手を合わせてひたすらに赦しを乞う…

その姿はあまりにも「普通」でした。ヒーローどころか、物語の登場人物とも思えない。近所に住むそこらのお兄さんでした。
花も、とにかく目についたものを買ってきたのかその辺で摘んできたのかというくらいのみすぼらしさで。

殺人とは非日常ではなく、まったくなく、日常の一つなのだとハッキリと突き付けるシーンでした…

決意の「変身!」も、あんな顔して変身したヒーローはまずいないのではないでしょうか。すごい、整った顔なのにぐしゃぐしゃにしたままアップで撮ったよ…
そんな顔するなよ!って言えませんでした。そんな顔しないでよ!ってなりました。

ああ、映画で楽しそうに万丈を煽っていた姿が遠い…
ていうか今こそ先輩ライダー呼ぶ時だよ!映司か紘汰あたり誰か呼んできてあげて!

戦兎とマスター

傷心の戦兎が最後に頼るのが裏切り者のマスターっつーのがまた痛い…ほかにいないのか人材!(いません)

でも戦兎の気持ちもわかる。ハッキリと裏切られたのはわかってるのに、それでもなお、あの時手を差し伸べてくれた温かさを求めてしまうのだよなあ…
いやわたしもつい、ムカつきながらも「でもなんかあるのでは?」とか思ってしまうのですよ。理由があったとしても駄目なことしてるんだけども!

マスター、「おやっさん」なんだよね間違いなく。と同時に、父性の立場でもある。葛城巧は母子家庭だし。
すごいなーこのマスターの造形。父殺しもここに重ねてゆくのだろうか…

戦兎と万丈と美空

さて前回でこの三人について、ちょっと物足りないなーとか言ってましたが、なんでそう感じるのか一つ見えたので書いておきます。

美空ちゃんに戦兎を止めるボタンが渡されました。重い、重いよこの流れ!
なんですけど、意外と重くならなかった。少なくとも戦兎が思いつめた回ほどには。
それはなぜかっていうと、美空ちゃんの葛藤があまり描写されてないからなんですよね。

あそこで、美空ちゃんもまた追いつめられているはずなのです、実は。
ボタンを押して戦兎を止める=殺すのか?という葛藤だけではない。見過ごせば、戦兎が再度殺人の傷を負うと言う葛藤もあるはずなのです。
あれほど苦しんだ戦兎に、さらなる苦しみを背負わせるのか?
でもそれは描写がない。

また、先立つカフェでの戦兎との場面では、美空ちゃんは戦兎に「あなたは人間!」と強く言い切ります。あそこはあそこで感動的なんですけど、一つ引っかかりもあるんです。
なぜなら、ネビュラガスを注入されたとはいえ人間である、と認めることは、戦兎がまぎれもなく言い訳もなく殺人を犯したということも認めることになるからです。
彼がそれをすでに、完全にとは言わないまでも受け止めているとはいえ。言い切るには美空ちゃんにも相応の覚悟が要求されます。
でもそれはするっと流される。

そして美空ちゃんが見守るその中で、戦兎を助けるのは、それまで葛藤がたっぷりと描写されていた万丈なのです。よくきたぞ万丈!

つまり、美空ちゃんが戦兎と万丈を「外から」思いやる立場になっちゃってるんですよね。そこが、関係性がそこまで強く見えない原因なのかなーと。

とはいえ、そこまでやったら辛すぎるから…という判断もありそうだなあとは思う。まあ辛いよね…

西都のライダー

外見を見て、「わー禍々しい、かっこいい!」となり、効果音が叫び声のようで「わー禍々しい、かっこいい!」となり。
変身解除後を見て、「お前かよ!!!!!」ってなりました。声が出た。
まあお手並み拝見かな…(幻徳に対してあたりが厳しいスタイル)(オチ)

この先への期待

本作はビルドもクローズもグリスも、みんな誰かのために戦場に出て傷ついている…という状況の作り方がうまいですよね。見ていて胸がきゅっとなります。

乱戦大好き人間としては、今後、東都と北都が組んで西都と敵対するのかが気になるところ。
今のところ、各ライダーは「国」を背負ってしまっているのがつらいところです。自由のために戦えていないよ!それを乗り越えて、すべての人のために戦えるようになるのか、が一つキーなのでは?とにらんでいますが果たして。

さて、しかしちょくちょくアマゾンズネタが入れられててちょっと笑ってしまう。映画のCMが入るってわかってない段階で脚本作ってると思うんですけど、さすが流れを持ってるな平成ライダー。

2018-01-21

仮面ライダービルド

最初の方はぼやぼやと眺める感じだったのですが、ブラッドスタークの正体が明かされたあたりから「おおっ」となり、三国争乱に突入したところで「ほうほう」と見るようになっております。グリスかっこいい〜!
平ジェネFINALでテンション上がったというのもあるのですが、その上がったテンションを受け止めてくれるようなヒリヒリした話になってきて楽しいです。

最初は、ライダー版三国志ってすごい発想だけど、見せ方はどうなるのかしら?と思っていましたが、世界観の説明よりも戦兎と万丈の珍道中に焦点をあててくれたので素直に話に入ることが出来ました。
記憶がないわりに自信家なので暗くならないという戦兎のキャラクターもさることながら、やっぱり色々疑問を呈してくれる万丈くんがいることでお話が見やすくて良いですね。基本、万丈を応援する形で見ています。いけいけ万丈がんばれ万丈!

戦兎と万丈

戦兎も、飄々としながらも、記憶のないことへの葛藤…そこからヒーローをすることへの渇望につなげているところが人間味を増して好きなところです。信じた人に裏切られ、また己の過去に裏切られたからこそ、「誰も死なせない」ことを希求するというのも、ひじょうに個人的な事情な分、応援したくなります。きっとそうであっても許されない部分、許してくれない人っていうのはたくさんいて、でもきれいごとじゃないことを背負うからこそ、人をかばって戦うことが出来るんだと思うんですよね。

万丈は、美空ちゃんをデートに引っ張り出したところで一気に好きになりました。さすが彼女がいた男は違うな!次に戦兎と美空のためにブラッドスタークに怒ったところが好きです。お前いいやつだなー!

知性派の戦兎と肉体派の万丈というコンビネーションがうまく嵌まっているなーと思います。特にクローズのパワーアップ、戦兎だと肉体的にもたないというところがうまい。ビルドが使えばいいじゃんとならないところが。
友だちというわけじゃない、相棒というわけじゃない。反発しあっているというわけでもない。でも偶然で一緒に戦うことになってお互いを補い合う。これまでの主人公コンビとはまた違った形でおもしろいです。

気になるところ

主人公男二人とマスターのバランスはおもしろいのですが、少々女子が弱いかなーって感じがします。

特に美空ちゃんはキーキャラで、万丈や戦兎がお互いを補い合うための理由のひとつでもあるんですが。
なんでかなーと思ったんですけど、『ビルド』の話っていまんとこ一対一なんですよね。戦兎と万丈、戦兎とマスター、万丈と美空、みたいな。
戦兎と万丈とでと、戦兎と万丈と美空とでは、また空気が違うと思うんですよね。そこんとこが見えてないのかなー今のとこ。

そして紗羽さん…影が薄い…ジャーナリスト仕事でしか動かせてもらってないからかなー。

『ビルド』は遊びのシーンも多く用意されているので、この辺も出てきたらもっといいのになーと思っています。

作り

アバンでキャラクターの掛け合いがあるのが好きです。すごくキャラが広がるし、本編が重くてもバランスがとれている。これは発明では!?

演出的画面的にはまだなんか爆発してないなーというか。もっとめちゃくちゃなものが見たいなーというのはあります。
でも、戦兎と万丈のサイレント掛け合いには爆笑しました。そこでもノリツッコミはするのか万丈!そしてプロテインで懐柔されていいのか万丈!
ああでもこいつ、今プロテインも満足に摂取できない境遇なんだよなあと思ったら一気に同情してしまった…がんばれ万丈。

それにしてもマスターのキャラはとにかくいいですね。演じる前川さんの雰囲気のおかげで、むかつくんだけど憎めないという絶妙なバランス感覚。劇団系の方かと思いきや、モデル出身なのはびっくりしました。でもなるほど、すらっとしてると思ったよ!
この話、かなりの部分マスターの存在感に負うところが大きいと思うので、いいキャスティングだなーと思って見ています。

そしてグリス!武田航平さんの帰還だー!!!
いやー、かっこいい。けだるげなのに芯が熱いという人物像がこれだけ嵌まる人もなかなかおりませんね。
グリスの挑発的な変身ポーズがかっこよすぎて家で真似しています(馬鹿)。
そこからの「みーたん」には盛大にズッコケました。いや、こういう遊びいれてくるのとてもイイネ!

お話的にはついにボトル争奪戦が始まりました。三国入り乱れての戦争とは、難しい題材のはずですが、1クール目をじっくりキャラに割いたのが功を奏していると思います。見やすい…!『鎧武』からここまで来たかーと思いますが意外に早い進化だった。大森Pが『エグゼイド』からの連投というのが良かったのかなと思います。いやお身体は大変だと思うんですが。『エグゼイド』で得た知見がかなり最初から使われている感触があるので。
正直、大森Pとは合わないのかなーと思ってて、『ビルド』も見るまでちょっとためらいがあったのですが、今のとこ楽しく見れていて良かったなーと思ってます。

乱戦大好き人間としては西都の動きも気になるなー。さてさて。

2018-01-08

仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー

大丈夫!?オーズファンのみんな泣いてない!?大丈夫!???

いや…実は、見に行くことにしばらくためらいがあったのです。

オーズは一度完結しているわけで。そして、脚本がメイン作家でないとなると、果たしてどうなるのか。
わたしはオーズが大好きなわけですが、そのひとつにあのいびつさがあったので、最近のライダーらしく爽やかにまともに描かれてしまったら、正直どう受け止めていいのかわからなかったのです。
一度終わった作品がもう一度息を吹き返すきの諸先輩方の不安とはこのようなものだったのか…察することは出ていましたが、しかしやはり同じ立場にならないと心底の実感にはなりませんね…

ですが、いろんなところで映司役の渡部さんが「一ファンとしてこだわった」とおっしゃっていたのを見たり聞いたりしたので、一念発起して見に行ったわけです。

結果…なんかえらいものを見せられました…これはまた妙な映画が出来上がった…

ビルド&エグゼイドだし、withレジェンドライダーだし、平成ジェネレーションズFINALだしって感じで、色んな要素のある集大成のような映画でした。
いやー1回見ただけでは消化しきれなくて3回行きました。3回行った映画は『さら電』以来ですよ!

相変わらず長いですが、感想です。

映画としての感想

まずは総体の話から。

さて、映画としては、メインストーリーはビルド勢、というか、いまだ迷いのある万丈にスポットを当て、先輩ライダーの背中を見せることで彼の意識を強める、というきれいなまとめ方でした。万丈くんみたいなキャラがメインでいるとやりやすいなあ。

しかし、なんの脈絡もなく一番痛いところを煽ってくる戦兎、万丈のことを間違いなく友だちと思っていない。

意外と、エグゼイド勢は活躍はするんですけど後日談的要素はありませんでしたね。
っていうか、この話でメインを張る設定上の理由はあるんだけど、物語上の理由がないという…
個人的にパラドの話が来るか!?と期待したのですが…まあ、『エグゼイド』に関してはどうもVシネの方で語れなかった部分を語りつくす気配を感じるので良いのでしょう。
でも迷いのある万丈にパラドも重ねるってのも良かったと思うんですが。二年もさまよわせて、かわいそうではなかろうか…*1

二つの世界がつながっているのではなく、並行世界としたのは、『ビルド』側の事情が大きいのでしょうが、その分それぞれの世界でキャラクターが分かれて謎を解くようになり、見せ方としてはごちゃまぜ度が下がって見やすくなって良かったように思います。登場人物多いからね。

恒例の夏映画のゲスト出演をああいう風にして絡めてきたのはなかなか手が込んでいるなーと感心しました。でもそれがまた先に繋がっていくのは細かい、芸が細かい。

ところで、新しいフォームチェンジの影が薄かったのは良いのか…?とちょっと気になりました。
まあ、最後に強化フォームのお披露目があるから、バランス的にこれでいいのかな。

それにしても、EX-AIDを何の説明もなく「エグゼイド」って読めるのすごいと思うよ万丈くん。

「赤と青の仮面ライダー!」「…お前もだろ」のところ、3回見て3回とも笑いました。大好きです。

飽きさせないカメラワーク

とにかくなによりカメラワークが良かった…!上堀内監督、すっかりファンです。

設定をじっくり練り、細かく解説してくれた結果、脚本的に説明台詞や説明風景が多くなってしまった本作。正直、ちょっと寝そうというか、子どもがむずかるのも視界に入ってきたりしました。
しかし、その物語上の動きの少なさを、上堀内監督の工夫された細かいカメラワークで飽きずに見続けることが出来ました。画面をただ見ていて楽しい、っていうのは、映画の基本的快楽なんだなーって再確認しました。

しかも、さらに言えばただのマニアックな構図遊びにとどまることなく、『ビルド』やこの映画の世界観を広げるのにも役立っていました
たとえば、nascitaの前で緊迫したやりとりをする三人を、ガードレールの向こうから眺めたり、俯瞰で見下ろしたり、商店街を遠景でとったり。そうすることで、nascitaが、戦兎たちが、どんな場所で生き、暮らし、戦っているのかの実感がわくのです。

そうそう、最初の廃ビルは空撮(なのかな)でぐるぐる遠景でとっていてかっこよかったー!High&Lowで見たやつという気もしましたが(笑)

エグゼイドパートの、避難所を階段の上からなめていく長回しのところも最高でしたね。
緊迫感とともに、場の混乱が伝わってくる。その中で、医者たちが駆け回ってみんなを助けようとしている…役者のみなさんもすっかり役を自分のものにしているので、難しいカットだったと思うんですけど、浮ついた感じは全然なかった。あそこは実に見ごたえのある場面でした。

キメに使う静寂は、爆発を背景にした仮面ライダーのバイク集合シーンというチョイスも良かったです。あそこかっこよかったー!
ていうか、バイクアクションが多くておおっと思いました。

敵が惜しいぞ

個人的には、敵がなんかもったいなかったなあという気が。せっかく悪の科学者を出したんだし、そこは科学者対決に持ち込んでほしかった。研究を進めることに執着する最上に対し、同じく理系でその気持ちを解しながらもアンチテーゼを突き付ける永夢と戦兎…とか。
科学をどう使う?というのは、それこそ力をどう使う?というヒーロー物のテーマと通底するものであり、まさしく『ビルド』のテーマだと思うので、そこは繰り返しでもいいと思うんですよね。

ところであの謎のアジト、なによりもあの作り物感の強い鮭のせいで、へんてこPVを今から撮るのか!?と変な意識が湧いて困りました。よし踊ろうぜ!
それにしても、マッドサイエンティスト最上のどのあたりにファンキー要素が隠されていたのでしょう。趣味はパンクロックとでも言うつもりか?
オーケンさん違和感ないというか満を持して感がないというか、あれ、以前にもどこかでいなかったっけという気になりました。あながち間違いではない。

エニグマは手の形をしており、二体のカイザーはライトとレフト。手をつなぐ――なるほど、『オーズ』とからめるんですな!?と思ったら特になんもなかった。
いや、絡めなくてもいいけど、ここまでモチーフを統一したんならそっちで仕掛けが一つくらい欲しかったなあ。せっかくかっこいいんだし。
倒し方はなるほど裏技って感じで、エグゼイドとビルドの合わせ技感があって良かったです。

ちょっと注文

気になるところは、映画としての見せ場がいまいちわかりづらかったかなあ。
爆発炎上のレジェンドライダー戦に比べると、エニグマ戦が地味に見えてしまって…パワーアップもあったんですけども。
最上自体との対決における因縁がないのもあるかなあ。
バイカイザーがエニグマと合体して巨大な両手と空中戦するとか、もうダムが動き出すとかめちゃくちゃさが見たかったところはあります。

それから、説明台詞がとにかく多かったこと。
設定に凝るのはいいんですけど、ただダーッと説明するんじゃないくて、もっと動きや、おもしろおかしい表現とか混ぜて欲しいなあ。『鎧武』からここはあんまり改善されていない気がする…

お話としては、被害を最小限におさえるため、ではありますが、エニグマを起動させたことで各地に被害が出てるんだから、それに対する葛藤というか一言は欲しかったのがあります。命に別条がなくても、家が壊されたらみんな困るよ!
特に永夢は避難民と直接触れ合う立場だからそこのとこよくわかってると思うし、健康だけではなく笑顔を取り戻す医者になるというのがずーっと語られてきた信条なわけですし。
伏線の回収とか設定が緻密な分、こういうところも拾って欲しいなあと思ってしまいます。

あと、これは難ではないんですが、今回は完全に既存キャラで固めていて、それは吉でもあるし凶でもあるなーと思いました。
映画用視点キャラがいないと、世界観はかためやすいし、話も突っ込んだことができるし、ファンとしても見ごたえはあるんですが、一方で、現行くらいしか知らない人は置いてかれちゃう点もあるんですよね。
まあ今回は集大成という側面があるので、良いのではとも思いましたが。

テーマの回収〜先輩ライダーと万丈くん

本作、個人的にかなり先輩ライダーへの言及の仕方が好きです。
というのは、本作を見ながらあらためて、平成ライダーって個人的な理由で戦っていたんだよねって再確認できたからです。

そうだ…みんな、正義なんていうあいまいなもののためじゃなく、自分の中のゆずれないものを護り貫いた結果、世界を救うところまでたどり着いたんだよね…

戦兎だって、ラブ&ピースのため、だけど、じゃあなんでラブ&ピース?って言われたら、突き詰めると、そういう自分の心が温かくなる正しいことをしていないと、自分をしっかりつかめなくなっちゃうからなんだよね。単純に、いいやつだから、では片付けられない。

タケル殿だってとにかく人を助けたいという思いがまずあって、それで三回も死んだり*2、映司は映司でやむにやまれぬ個人的な事情からついにはメダルと同化してしまったり。弦ちゃんなんかは、まずダチのためがすべての先にあってそれが突き抜けて地球を救ったりするわけで。紘汰はいわずもがな…

万丈が迷うのは、ある意味当たり前の話であって。万丈、きみがヘタレとかそういうことではないんだよ。
戦いってのは厳しくて辛くて、そして責任がとにかく重い。だから軽はずみに戦えない人の方が本来は正しい。
でも、困っている人がいたら助けたくなるのもまた、当然の気持ちなんだよね。
その一歩を踏み出すために、「自分なりの理由」が必要になるんだ。理由が先か、後になるかはその人次第であって、ね。

歴代ライダーたちの苦闘を思い出し、現役ライダーの万丈の背中をみんなで見守る。そんな構成だったのが、"平成ジェネレーションズFINAL"と銘打た本作で描かれたことは、とても良かったと思います。

ところで、万丈が決意を固めるシーンですが。
「誰に頼まれたわけでもねえのに…」と「誰に感謝されるわけでもねえのに…」とのところは、オーズとゴースト逆の方が合ってたように思います。細かくてごめん!

あ、あと万丈に「あんたも仮面ライダーだからか」って問われた時に、弦ちゃんがいったんそらす顔になったのも良かったです。そこで簡単な肯定にしなかったのがすごくよかった。

テーマの回収〜歴代ライダーの描き方

あと、歴代ライダーの描き方が通り一辺倒じゃなかったのが個人的にすごく嬉しかったです。
それはたぶん、本人だけが出たわけじゃなかったからじゃないかな、と思います。

いまや大人気俳優の福士さんがでるだけで、『フォーゼ』ファンは嬉しかったと思うんですけど(セリフ回しが上手くなってて感動しました…!)、個人的には大杉先生が出たことで世界観の再現度がグっと上がったなあと思いました。

ほら、『フォーゼ』、大杉先生みたいなちょっと雑な人格がいてこそ、みたいなとこ、あるじゃないですか。
弦ちゃんのかっこいい活躍だけ見せられても、なんか『フォーゼ』らしくないというか。

大杉先生、まあダメ人間なんですけど、ああいいなって思ったのが、大杉先生が生徒を避難させていたところで。というのは、それを見て、弦ちゃんが「負けてらんねえぜ!」って言う。あそこで、うわー弦ちゃんだ!フォーゼだ!って一番なったんですよ。
傍から見たら先生のささやかな善行も「おお、意外とやるな」って上から目線になるところで、弦ちゃんは同じ目線で相手を見ることが出来る。どんな相手でもライバル=ダチ認定できる。そういうやつなんだし、そういう作品なんだよなーってのが詰まってました。

あと後ろのこと気にしないから、万丈がその背中にぶつかるとかそういう細かいところがらしくて良かった。弦ちゃんはそういう雑なところあるよ!

変身の3・2・1で大杉先生の変顔出るの楽しみにしてたので、出なかったーって残念がってたんですけど、仕事してたんならしゃあねえや!

『ゴースト』は、「永夢先生に助けられた命だから…!」でいろいろすべて回収していたのもさることながら、御成。あの壇黎斗(神はつけねえぞ)を手なづける御成…!さすが!これぞ『ゴースト』!!!って感じでした。
ところで、万丈くんがいちいち冷静に突っ込んでくれてとてもスッキリしました。エグゼイド勢みんな真面目だからさー。
しかしすっかり黒髪タケル殿に慣れてしまった。エンドロールで茶髪タケル殿を久しぶりにして新鮮だった。

あと、最後の戦いが水場だったのが最高でしたね…死に近い場所にこそゴーストは相応しいのです。
みんなが口々に普遍的な戦う理由を述べている中、一人だけ「人は未来を繋いでいける」とか「二つの世界をつなぐために!」とか、わりと関係ない話をしていたのもツボでした。すごい『ゴースト』っぽい。

しかし、柳さんがもう剃髪してないって理由だとは思うんですけど、アフロ御成がいるとどんだけシリアスな場面でもつい目が行ってしまってつらかったです。

『鎧武』はまあ立場的にあんまり出張れないんでしょうがないんですけど、久々に紘汰のめちゃくちゃなキックが見れたんで個人的に満点です。トランポリン使ってもあの高さはなかなか出ないよ!?
あとカチドキ見れたしね!

『エグゼイド』勢はわりといつも通りというか、すっかりもうそこにいるだけで成立してましたね。個人的には貴利矢の肩の抜けたアドリブや仕草がたくさんあって、そのおかげでよりリラックスして見れました。
それにしても、壇黎斗に対しても最後まで敬語を貫き通す永夢先生は本当に真面目でえらいな…って思いました。わたし、あいつキャラとしては面白くて好きだけど、基本的にやったことはまったく許していないよ!
でもちょっとだけ、例の冷たい目が見たかったなって思いました。

そんでもってオーズ〜オーズパートの濃密ぶり=平成ライダーの変さの再現

で、まあ、たぶんこの映画、ここの話をしないとおさまらないわけなんですけど。
でも、じゃあ、この「平成ジェネレーションズFINAL」って、オーズ完結編だよね。って言えるかというと、実はそうでもないんですよね。
ポジションとしては他のライダーと同じで、万丈に道を示す諸先輩方の一人。尺の割き方もそれほど他と変わるわけでもありません。テーマ的に特に深くかかわっているわけではない。

なのですが。
見た人はわかる、あの濃密さ。

おかしい…おかしいくらいに濃密なんですよ!
レーダーチャート作ったら、他が全部同じくらいなのにオーズの要素だけめちゃくちゃ抜きんでてるという。
でも内容的にはそれほど関わってない!バランスがおかしい!

でもね。このめちゃくちゃさ…見てて思ったんです。
ああ、『オーズ』だ…平成ライダーだ……

そう。先にも述べたように、平成ライダーというのは、個々の信条をどこまでも貫いた結果、正義に肉薄するという、とても人間的な、情念的な、個人的な話なのです。
だからこの映画で、オーズ勢が他とのバランスなど一切考慮せず、個々の情念をどこまでも貫いて彼らの話を成立させていたの、まさしく同じ構造であると言えるのではないでしょうか。

個人性が際立つことで、平成ライダーの、他とは一線を画す異質さ――公式がほぼ二次創作みたいな謎の構造が存在していた。その情念こそが、硬直したお題目を突き破り、生きたヒーローを作り上げた。

だからこの映画を見ていて、すごくしっくりきたんです。ああ、これは平成ライダーそのものだなあと思って。

最近、すごくまともな話が続いているので、平成ライダーも丸くなったな…根を下ろしたな…と、感心する反面、寂しさを覚えていたのですが。この映画を見て、まだまだ枯れてない!大丈夫!と強く思いました。

"平成ジェネレーションズFINAL"の名にふさわしい変さ、あったと思います。

オーズファンの視点から

とまあ、一通り映画として語ったんですが。
いやあ、オーズファンとしてはこれはもう、興奮せざるを得ないんでね、語らさせてもらいます。

ていうか、万丈の髪型とTシャツの柄を見て、え!憑依くんの!?って期待したんですけどなんもなかった。
新フォームもフェニックスだから、えっ!?タジャドル!?って反応したけど特につながりはなかった。
なんなの?話には食い込まないのになぜここまでオーズ推しなの?敵は手をつなぐというモチーフだし…なんの暗喩なの?こちとら、興奮のあまり沸点が高くなっているからすごく無意味に動揺するよ?

とりあえず、いちいち映司とアンクの表情が、感情が乗りすぎてすごいでも、口から出てくるのはいつもの軽口、ってところが、もう本当に『オーズ』で、渡部さんが脚本かなり手を入れたと聞きましたがいったいどこからどこまでやったんですか!?って感じです。靖子にゃんトレース完璧すぎじゃないですか!?

また、台詞とかだけじゃなくて細かいところもオーズファンの心をくすぐってきてすごかった。

  • 肩車して現れるガメルとメズール!
  • 落ちていくアンクに手を伸ばす映司!(腕を一回たたくとこも最終話リスペクトなのか!?)
  • MEGAMAXの回収!まさかの回収!
  • 背中から襲われるウヴァさん!そうこなくっちゃ!
  • アイスで命の取引が成立する映司とアンク!
  • アンクの投げるメダルで変身する映司!
  • 他が強化フォームの中で、あえてのガタリキバのチョイス!予算が降りないと発動できないため、本編での発動が映画を含め二回しかなかったガタキリバのチョイス!ウワー!
  • アンクの声で変身するタジャドル!
  • なにもいわず、目だけで感情を表現して消えていくアンク!すごい靖子っぽい!!!
  • 映司ー!アンクー!ウワー!!!(断末魔)

はあはあ…すみません、取り乱しまして…

いや、実は最初見ている最中は、「え?大丈夫?なんの説明もなく二人の世界に入ってるけど、大丈夫なのこれ?」って動揺していたんですけども。でも、例のBGMがかかって変身した瞬間、「もうどうでもいい!!!!!」ってなりました。もうどうでもいい!オーズファンとしてすごいもの見てるからもうどうでもいいです!

すごく良かったです!!!ありがとう世界!(でかい話になった)

ところで、上映終了後、近くの男児がしきりに母親に感想を述べていたのですが。それが、「オーズ、かわいそうだった」。
「少ししか一緒にいられなかったんだよ。かわいそうだよね」ってずっと言ってて、おばちゃんグッときてしまいました。いい感想だ少年…その気持ちを大事に持って、大きくなったらまたこの映画を見返してほしいと思いました。

集大成として

という感じで、平成ライダーファンとしても、オーズファンとしてもとても楽しかったです。ビルドの話としてもちゃんと成立しており、遊びの要素もたくさんあって、いろんな面から見ごたえがあって良い作品だったと思います。

3回行ったんですけど、ポストカードは一回しかもらえませんでした。会場の問題かな。
ちなみに弦ちゃんでした。なんかこういうのよくフォーゼが当たる。しかし、今の福士さんでこの髪型は貴重だろうなあ。

あ、あと、エンドロールもやばかったですね。名場面のチョイスが名場面すぎて動揺しました。個人的にはタコヤキでかちこむアラン様のカットがあったのがGJポイントでした。
オーズ全コンボとか、オーズのラストカットが映司・アンク・比奈ちゃんの手つなぎとか、『鎧武』ラストバトルのカットとか、ツボの押さえ方がすごい…あれをファイリングして配ってくれ…
そういえば、どの主題歌も口ずさんでる子どもに三人くらい出くわしました。みんなわかるのかー、そうかー。今の『ビルド』なんか難しそうだなあと思ってたんですが、そんなのは大人の思い込みなんですねえ。

というわけで、年末年始とても楽しい映画ライフでした。
冬映画の共闘シリーズはこれでひとまず一区切りということになるのかな。この先はどうなるんだろう?楽しみにしています!

*1:もしかしたらVシネの方で空白の二年に言及するのかもしれませんが、それならそれで目くばせはあってもいいと思うんですよね

*2:『ゴースト』語り損ねているわけですが、見せ方はともかくも、人のために命を投げ出し蘇るたびに人間の枠から逸脱していくという、ヒーローの危うさを意識した設定、とても好きです