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ガソリン満タン☆エンジン全開 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-05-30

[]<ドラマ初出演記念*てるてるたま愛8>

こんばんは。

またまたお邪魔します。はないちです。

そう、恒例となってます『たま愛』です。

今回のお話に副題をつけるとしたらば・・そうですねぇ・・

『てるてるたま愛』でしょうか。(笑)

ちょうどドラマにも出ましたし。タイムリーですね〜。

ドラマでは設定が「佐渡在住→ささら在住」に変わっただけで役名もキャラクターも<まんま>な二人。

『素』に近い・・・・いや『素』そのもの・・な名演技でした。

それにしても、あの退場パフォーマンスはなんだったんでしょうね??これまた迷演技でしたね。(笑)

と、いうわけで

今放送されているドラマを彷彿させるストーリーになっています。

しぃたまさん曰く「不思議ちゃん路線」だそう。ははは。

ファンタジーと言い切ってしまうと語弊がありますが、『自然』と『僕』との心の通い合いを表すような、優しいお話です。

この心の通い合いは、実は<自分との対話>に過ぎないのかもしれません。

夢なのか現(うつつ)なのか・・・さて、どっちなのでしょうね?(^ー^)

だから、『てるてるたま愛』。ってことで。


それではゆったりした気分でどうぞ。

『春の御使い』


そして、毎度の事ながら <皆様へお願い>m(_ _)m

****無断引用、転載等はご遠慮下さい ****



春の御使い(みつかい)





春だというのに,とてつもなく寒かった三月のあの日。

もうすぐやってくる受験の事を考えると、僕は重く太い鎖で体をグルグル巻きにされている気分だった。

河原の土手には明るい日差しでいっぱいだった。

暖かい光が川面を輝かせていたけど、冷たい風は僕の頬を鋭く刺した。

僕はポケットの拳を固く握りしめ,猫背の背中を更に丸めた。



学校まで続く並木道を歩いていると,ふと気づいた。

どこか遠くから来て,すぐ傍にふわっと甘いような香りを感じていた。

サクランボかな?

でも,傍にある桜の枝を見ても蕾さえない。

すると今度は,僕の体の中央で響くような,今まで聞いたこともない音を感じた。

それは,僕の中の芯を何かガラスのような物でそっとなぞるような,不思議な感覚。

耳鳴りとは違う,音なのか光なのか自分でもさっぱり分からなかった。


何かに心を奪われたような感じで,その場に立ち尽くしてしまった。

何となく桜の樹に手をあてた。



桜の樹から疼くような息吹を,手のひらで感じ取ることが出来るようだった。

そして,僕はその時,見た。

はじめは小さな女の子が樹の陰に隠れているのかと思った。

「何しているの?」

と声をかけてみると,それは言葉じゃなくて音のような光で反応した。


さっき感じたのはこの光だったのか。

そう気づいてもう一度,声をかけようとしたら,もう姿が見えなくなっていた。

しばらくの間,魔法でもかけられたように何も出来なかった。

ふわっとまわりを,淡い何かで包んでいるみたいだった。



しまった。遅刻する。

弾けるように駆け足で学校へ向かい,大急ぎで予鈴のなる校舎に飛び込んだ。

その日の僕は,朝の出来事で頭がいっぱいだった。

何度も繰り返し思い出す,音のような光。

僕は,どうにか細かい部分を思い出そうと必死で考えていた。



「次のところ,読んで。」



「どうした。おい,聞こえてるのか?」

さっきのことが頭からこびりついて離れない僕は,耳に入らなかった。

僕は,思いっきり椅子と机を蹴飛ばして立ち上がった。

椅子が大きな音をたてて倒れた。

そうだ。

思い出した。

あの子は裸足だった。

それに,こんなに寒い時期に白い腕を出していた。

小さな女の子に違いないと思ったけど,よく考えてみると絶対,大人の女の人だった。

体の大きさが丁度二回り,いやもっと小さくしたサイズかも。

小柄といえばそうだが,とにかく全体が普通の人間より確実に縮小されている。

そして,いま僕の手の震えが治まらないのは,それが間違いなく透けていたからだ。

体の向こうに見えたのは,そこに広がる風景だった。



「どうかしたのか?おい!どうしたんだ。」



「そのまま立ってなさい。」

何の反応もしない僕に,とうとう先生がそう言った。

僕の意識は,今ここには無かった。

そんな僕をクラスのみんなは不思議そうに眺めていた。



放課後,学校を飛び出して走っていた。

何を見たんだ?

俺が感じたのは音なのか,光なのか?

駆けつけてみた場所に,期待でも不安でもない怖いもの見たさのような気持ちで辿りついた。

でも,そこにあったのは何も変わった様子のない一本の桜の樹だった。

その後,あの桜にまつわる,ある話を聞いた。



何年か前,あの河原沿いにある桜並木の何本かは,学校前に植えられていたそうだ。

古い樹と,もともと成長が悪かった細い樹が,道路を広くする工事に邪魔になるから,河原に植え替えられた。

桜の植え替えは,春の花が終った時期が一番いいらしいけど,人間の都合でまだ雪も残る寒い時期に行われた。

「こんな時期に植え替えたら可哀想だ」という植木職人の言葉は無視されて,役場の人が「年度末までに工事を終らせたい」と言う理由が通された。

そのうちの何本かは河原の土に根付かなかったらしい。

その話を聞いたとき,僕の心はなぜか,ざわついた。



あと数日で受験となるある日,僕は授業もなく自主学習で学校へ行った。

外には,冬に下り忘れた雪が降り始めていた。

やるべきことは一応やってきたつもりだ。

ただ,確実とか絶対と言う言葉は,全然口にできなかったけど。

クラスには,今更ながら参考書や単語帳をめくっているのもいたし,諦めがついたのか,自習といいながら友達と騒いでいるやつもいた。

僕は,何となくそんなクラスメートを眺めながら,机に突っ伏して寝ていた。



「おい。見てみろよ。」

誰かが小さく叫んだ。

そこには,白く舞踊る雪とともに桜の花びらが風に泳いでいた。

夢を見ているようだった。

そして同時に,ある記憶が蘇えった。



これは,僕がこの町に来た時からしていたことだった。

あの時の僕は,この桜のようにまだ伸びきっていないような小さくて細い姿をしていた。

僕は,他の樹に比べ枝も細く,数えるくらいの花しかつけていない桜に向かって話しかけた。

「どっちが先に大きくなるか,競争だ。」

植物にも何か感情のようなものがあって,それを伝えたいと思うことがあるのだろうか。

お互いに気持ちが通じ合ったり出来るのならば,たぶん,こんな感じなのだろう。

触れた指先から,柔らかい音のような暖かい光を僕は感じとった。



こうして,桜に向かって何かを話し,願いを込めるようになった。

僕は自然にこの桜に向かっていろんなことを告白していた。

ちょっとしたおまじないのような,自分の中の「これから何か始まる」という時の儀式みたいなものだった。

桜に誓っていたのかもしれない。

ある日,突然その桜が無くなったとき,ショックで寂しさが込上げたが,何となくそれも桜らしいような気がしてすっかり忘れてしまっていた。

でも,何か迷って,決心する時,いつもこの桜が見守っていてくれていたような気がする。

姿を見せた「音のような光」は僕に「ここにいるよ」と知らせるためだったのかもしれない。



その桜並木は,春になると一斉に薄紅色の花をつける。

桜を見ると,春がきたなぁ,と感じる。

そして,あっという間にその花びらを散らす。

その度に,名残惜しさを感じながらも,必ずまた満開の春が来ると信じている。



受験の日,僕は桜の樹に手を当てて心の中で話しかけた。

そして合格発表の日も同じように,この桜に報告した。

もうすぐ訪れる新しい生活。

その生活に少し慣れた頃,またたくさんの花をつけ,そして潔く散っていくんだろう。

その変わらぬ大きな流れの中に,僕の気持ちを宿しながら。

いつまでも,ずっと。







この物語はフィクションです。

実在する個人名・団体とは一切関係ありません。

くまくまくまくま 2006/05/31 23:24 すごいなぁ。ステキ。いい雰囲気〜。この不思議ちゃんな感じに私の中でいろんな曲が流れてきました。あの曲とかあの曲も♪そして、事実よりリアル!っていう感じ。ふ〜んそんな事があったのかぁ〜なんて思って。「音のような光」最近、私が気になることと重なってツボ!ツボ!でした。しぃちゃん!ブラボー!!!
映画にしたいよ。ん〜でも自分でぐるぐる描いてるのが楽しいのかな^^ふふふ♪

soul49soul49 2006/06/01 16:19 ★くまくまへ
毎度,感想ありがとうございます。私はいつも,書いている内容や掲載時期を内緒にしていますが,そろそろと言う時,いつも連絡をくれている気がするのだけど,なんか感じるワケ?笑
「音のような光」は光輝いているものは,たぶん凄く綺麗な音も出しているんだけれど,濁った心では聴く事ができない。そういうのを聴き取れるような人はどんなひとなんだろう。その人は,きっと「光のような音」を作り出せることが出来るかもしれない。

映画ねぇ・・・映像にして,より伝わるかというとそうじゃないことも多いから。ふむ。そうね,自分でニマニマしながら考えているのが一番だねっ。

やなぎ村やなぎ村 2006/06/01 18:58 素敵な世界を覗いちゃったようです。
その中には足を踏み入れちゃ汚れる気がする。
そ〜っと、そ〜〜っと見ていたい・・・

kotokoto 2006/06/01 21:33 『たま愛』今回も良いねー。頭の中で映像と音楽がぐるぐるしてるよ。
う〜ん「直クンにはごく自然にあることかも知れない」とこれまた普通に思ってしまった。
普段の生活の中でも不思議なこと、受け入れちゃってるもんね〜。
そういう2人心の広さ?は見ていて凄く安心するんだけど(笑)

soul49soul49 2006/06/02 11:31 ★やなぎ村さん
だいじょーぶ,だいじょぶ。書いてる本人が一番汚れておりますから〜〜そっと桜の陰から覗いているのは,一人だけじゃない気がする・・・並木道沿いにズラァ〜〜〜とみんなが居そう。ふっふふ。
コメントありがとうございました。
★kotoさん
桜をモチーフにした曲はふたりも歌っているから,好きな曲をBGMに読んでもらえると嬉しいです。
田舎に行けば,そこでの昔からのしきたりだったりとか,自然への畏怖の念とか普通の生活の中にあって,見えないものに対する受け止め方が都会とは違うと思うんです。
そういうものを,大事にすることが出来る(と私は思ってる)ふたりは,ただ丸いだけの器じゃないと思います。
どんな形か,どんな大きさなのか,ただ見届けたいのよぉ〜〜爆

大黒大黒 2006/06/03 01:23 「てるたま」(のりたまみたいだ・・)ありがとうございました〜♪
なんだか爽やか〜に読み終えてしまいました。
本当はちょっと心が痛む話なんですけど、彼が前向きだから。
なくなってしまった桜、「ここにいるよ」と言ってくれた桜は彼自身の中に芽吹いて成長していくんでしょうね。
いつか内なる光(=音)を私達に向けて放ってくれるのを期待しています〜〜。
バズーカみたいに強力なのをね。(笑)

soul49soul49 2006/06/04 11:59 ★大黒さん
のりたま,てりたま・・・・思い浮かぶのは食べ物ばかり。笑
あ?爽やかでしたか?彼が爽やかさんだからでしょうか?
でも,桜のイメージが潔いので,そこから来ているのかも知れませんね。
随分,昔,実家の近くでも柳や桜,名前は忘れてしまいましたが,子供5人ぐらいの手を回しても太いような木が,街が整備されるたびに切り倒されていくのを見てきました。
切られる作業をずっと眺めていたのもありましたし,昨日はあったのに,次の日通ったら無くなっていた事もありました。
自分が育てたわけでも,世話したことも無いのに,いつもの生活にあったものが無くなるってことは本当に心に穴が空いたようになりました。
でも,人の記憶の不思議な所は,「忘れる」事が出来ることだと思います。そして,「憶えている」ところも。
いつか,彼も心の奥にあるものを形にしていく事があるのでしょうか。待っていたいです。

くまくまくまくま 2006/06/08 00:37 はい。・・って随分遅いレス^^;。私、『音のような光』は見えませぬが、どうやらしぃたまちゃんのうずうず感は感じるみたいッス^^♪

soul49soul49 2006/06/09 20:14 ★くまくま
んじゃ,「匂いのする光」は??
だから,うずうずわかるんだしょ〜〜???ひっひひ。下品〜〜

涼 2006/07/01 03:22 今頃、ごめんください<m(__)m>出遅れも、ここまで来ると開き直って(笑)。今回も楽しませていただきました。
最初に思うのはいつも、色や匂いが感じられる文章だなぁ、という事で。質感を感じる、と言ったほうがイイのかな。
視えない体質の自分には、体感しようもありませんが、植物にも何かを伝えたい想いってあるのかも、と思いました。
桜は移植の難しい樹木だそうです。こんなふうに突然、目の前からなくなってしまったら、きっと切ないでしょうね。
転機を迎えた彼の前に、現れた桜ちゃんは、なにを伝えたかったのかな。満開の華の下で、新しい道を歩き出す彼の、今後が楽しみです。くふ。(プレッシャー?)では。

soul49soul49 2006/07/01 14:42 ★涼さん
ご感想ありがとうございます。
芽生えの瞬間を見ることが出来るのは,植物が一番チャンスがあると思うのですが,毎日観察していると,昨日と全く違う姿にぐんぐん成長するのを見るとすごいなぁ〜って思います。目に見えて大きくなる時は植物もなんか言ってそうでしょ?
ヨイショ!ヨイショ!!とか。笑
大樹だったら,なんかウンチク話でもしてくれそう。
私も全然聴こえたためしがありませんが,そういうことを想像してはそうだったらスゲェとか思います。バカ。
「桜ちゃん」・・・思わず,なおじろがフーテンの寅さんの格好に変身してしまった。爆
ココ最近の大きな転機。桜ちゃんに相談したでしょうか?(ナイナイ)