soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

ナショナリズム / ン・ワダアキ

初音ミクを使ったオリジナル・アルバム。全15曲。


ピコピコした電子音楽の歌モノとボーカロイドにありがちな曲調ではありますが、今作にはさらに70's〜80'sのニューウェーブ、いわゆるDevoやらトーキングヘッズあたりの(良い意味でも悪い意味でもの)古臭さ、ダサさ、毒々しさ、神経質さを感じます。タイトなビートが多いのが余計そう感じさせるのかも。
パッと聴く限りそこまで独特なことをやってる印象は受けないのですが、むちゃくちゃ「濃い」聴き心地です。
原色をそのままぶちまけたような濃さは同人音楽ではあまり聴かないものかも。
ただその濃さあまりに、アルバム通して聴くと疲れるのが難点か。
ジャングルビートを取り入れたり、フックのあるメロディを差し込んだりと色々やってはいるんですが、強烈すぎる「音のカラー」が続くので多少ダレるかもしれない。
が、一曲一曲の質はなかなかのものです。ミク嫌いの自分を唸らせるくらいに。


①ピコピコしたアレンジの甘いポップス。サビが「オズの魔法使い」みたいなミュージカル映画チックなのが面白い。途中で急にジャングル化するギミックも。
②「ガツン!ガツン!」と打ち鳴らされる硬いスネアに、ひたすら刻まれるハイハット。その上をニューウェーブなシンセが飛びのる。「音」は今風なのに「昔の音」が聴こえてくる不思議な感覚。いやー、こういうリズムに弱いんですよ。このアルバムを端的に表している曲だと思います。
③こちらもガッチリしたリズムの肉体的な電子音楽。とぼけた雰囲気だけど毒も感じる。いやー、こういうリズムに弱いんですよ。
⑥エロい声ネタが使われた攻撃的な楽曲。インダストリアルばりに強力なビートにやられる。ベースもかっけー。今作で一番好きな曲です。
⑦比較的普遍的なポップス。サビのメロディがスゴク良い。1990年代のギャルゲ/アニソンに毒をちょこっとだけ足した感じ。
⑨ドラムも、ピアノも、シンセもリズミカル♪こちらもサビが良い。ニューウェーブみんなのうたって感じ。
⑪ひたすら反復するリズムに電子ノイズとアンビエントなシンセが絡み合う。ストイックな曲ですがなかなかの中毒性。
⑬7曲目のリミックス。基本は同じながら音の圧力を抑えてやさしく編曲。「サ・ハモニガー」がこっちの方がくっきり聴き取れる気がして新鮮。


70's〜80'sに最新だった音楽が好きな玄人が楽しめそうなミクCD。
硬さと毒がメインにあってそれをポップ要素が溶かしてくれてるってなイメージです。