soundwing-あの素晴らしい駄文以下のなにか

関西(大阪)のライブレポートを中心に更新。昔はフリーゲームや同人音楽のレビューをしてました。

2013/01/20 初春音演会(HAPPY BIRTHDAY、タルトタタン、アーバンギャルド、パスピエ) @ JANUS

出演する4バンドすべてが女性ボーカルというイベント。
今話題になってきてる個性的なバンドがピンポイントで揃ってます。GREENSめ、このブッキングはヤリ手よのう。


ちょっと遅れて到着。OAも居たのですが丸々見れず。HAPPY BIRTHDAYの途中からでした。

HAPPY BIRTHDAY

『しゃかいのごみのうた』のPVに脳天撃ちぬかれて以来ずっと気になってた女性2人ユニット。(ギターボーカルとドラム)


遅刻のため見れたのは最後3曲だけ。しかも全部聴いたことがない曲で残念。
曲前に小芝居が入るライブ進行。ボーカルが役者顔負けの熱演で顔くしゃくしゃの泣き顔で悲しいセリフを言って……こりゃ年頃の女の子なら泣くわ*1


感情が許容量をオーバーして溢れ出てる歌、ドラムもパワフル。全力で当たってくステージはすごい。
新曲の『イチャイチャチュッチュキャピキャピラブラブスリスリドキドキ』ではアラビアンな間奏のところでそのままアラビアンな振り付けがありました。


良かったけど女子の世界がムンムンしたステージングだったのでかなりアウェー感が(俺が
化粧品ショップに男一人で入っちゃったような感覚に囚われました。


タルトタタン

元・相対性理論のリズム隊である真部さんと西浦さんがプロデュースするアイドル2人組。この日はバンドスタイルで前述の2人もで演奏していました。


アンニュイ系アイドルで音楽的な部分はプロデューサが担う……かと思いきや、曲によってはちゃんとキーボードも弾いてるが意外でした。お遊戯レベルではなくそこそこ難しい演奏をしてました。


また歌声は「あ、生でもこんなかわいい声が出るんだ」って感動。録音物だとこういう声も何も考えず受け入れるけど、生で聞くと「おぉっ」てなるなぁ。


ステージに立っててもコタツでまったりしてるような力の抜けた2人の雰囲気が和みました。
ジッタリンのカバーでは「私たちが生まれる前の曲をカバーします」ってのにびっくりした。そうかぁ、若い人らが出てきてるな。自分も年齢はそんなに離れてなかったりするんですがw


振り付けシンプルで入りやすいし、2人のハモりも綺麗。
音楽性は相対性理論に似てると言われてるみたいだけど、やはりこちらのほうが”アイドル”って感じがしてあまり似てるなぁとは思いませんでした。
アイドル的と言ってもキャピキャピ感はない。力抜けてても真面目そう。淡々とやることを述べていくMCなど媚はない。
ただほわほわしてるんじゃなく芯がある……実は実力派な感じがしました・


左の人が曲コールを間違えた時、右の人がハキハキと訂正してるのを見て「この人たちいいなぁ」と。たんなるアンニュイ系とはちょっと違う。


ギターもなんか見たことあるな、と思って帰って調べたら元くるり大村達身さん*2でした。


アーバンギャルド

自称「トラウマテクノポップ」。


面白い音楽をやってるとは思うけど、どうも狙ってる感に馴染めず。
コンドーム投げ入れパフォーマンスなんかやったりもしてたけど衝動でなく準備してるのかなぁ、って感じで見てました。
ただ本人たちも、自分たちが完全にロックじゃないことを自覚した上で色んなギミックで面白くしようとしてるのかなぁと思いました。それはひとつの手法だと思う


ということで外でポテト食べながらモニターで見てました。JANUSのポテトはめっちゃうまい!


最後にやった『ガイアカウンターの夜』は文句なしにカッコ良かった。メロスピ的な熱いメロで直球に琴線に触れた。


パスピエ

トリを飾るのはパスピエ。メディアではまだ鮮明なビジュアルが公開されてないからどんな人達か楽しみでした。
出てきたメンバーは若くて残響レコードにいそうな風貌。ボーカルは黒髪と笑顔が素敵なカッコイイ女性でした。なんとなく國府田マリ子を連想させる。


イロモノ(?)ばかりが続いたあとの正統派というのものありめちゃくちゃ胸に響いたライブでした。
等身大なままで演奏をぶつけてくる感じで見ていて気持ちいい。


キメキメの動きをするベースとステージ真ん中で熱く弾くキーボードは残響系にいてもおかしくない熱量のある演奏。
CDで聴くとポップネスの強いバンドかと思うけど、想像以上に熱気/勢いがあります。どれでいてどの曲もスッとメロディが入ってくる。良いメロディを書くなぁ。
YUKIに似てるとよく言われるボーカルは、ライブで聴くとまったくそうは思いませんでした。もっとストレートな歌い方になる。声がくっきり通ってて良いボーカルです。


『チャイナタウン』で元気よくスタート。
次の『トロイメライ』のサビでちょこっと上がるところがグッときて思わず拳を強く握っちゃう。グッドメロディすぎてちょっと泣きそう。
新曲の『フィーバー』はかなりアグレッシブ。変拍子かましまくりでますますポップの文脈では語れません。


そしてやってきた神MADで有名な『最終電車』。
イントロのピアノに合わせてボーカルさんが「また大阪のライブ来てね。約束だよ。」って小指をかかげたのがアニメの名シーンかなにかに見えてマジ泣きしそうになった。かかった瞬間に空気が変わっちゃうアンセム級。
切ないだけじゃなくスネアに合わせて拳を振り上げたくなるロックな曲でもある。みんなすごい笑顔で楽しそうに聴いてノッてる。すごい曲です。


そして『最終電車』にも劣らないイントロで「おっ」思わせる曲『電波ジャック』で終了。サビがトリッキーでフルパワー感がありますね。最後の大騒ぎって感じ。キーボードソロは熱が篭ってました。


イベントのトリってこともありアンコールあり。『脳内戦争』。CDだとちょっとサブカルな歌い方だけどもっと正統派に歌ってました。


とにかく正直なステージング。
真正面からポップでグッドな曲を追求している人達という印象を受けました。最終的にアウトプットされる曲の形は違うけどスタート地点はモーモールルギャバンとかに近い気がする。
ライブの実力は未知数でしたが素晴らしかったです。ポップ寄りなCDからロックになる。CDよりライブのほうが好きかも。
『最終電車』のイントロはマジでグラっときた。


ライブの空気は今後のファンの付き方しだいだろうなぁ。ロキノン系にも行くだろうしポップな方向にも触れられるだろうし。この日はそこそこロックなノリだけどモッシュが発生するような雰囲気ではありませんでした。

[セットリスト]
①チャイナタウン
トロイメライ
③トリップ
④名前の無い鳥 [新曲]
⑤フィーバー [新曲]
⑥最終電車
⑦電波ジャック
en)脳内戦争


女性ボーカルばかりと特殊なイベント。ロックなアクトが少ないのも自分にとっては違う感じです。
個人的にはパスピエが頭ひとつ抜きん出てました。
曲も演奏も。ますます好きになりました。

*1:「ライブでは、グッと込み上げる感情を抑えきれずに、相次いで女子達が号泣する」という触れ込み

*2:「THE WORLD IS MINE」「アンテナ」「NIKKI」の私的くるり黄金期のメンバー