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凪のあすから第7話

凪のあすから』第七話「おふねひきゆれて」

ストーリー

おじょし様完成。今年は中止と決まったおふねひきをやりたいと望む生徒達。

「おふねひき」は海神に女性を生贄としてささげる儀式。古代は本当に女性をささげていたが、現代は木の人形をささげる。

今年のおふねひき実施は陸と海の大人のメンツから実現はきわめて難しい。

漁協の会合に遅れてやってきた至とあかり。陸と海の人が殴りあい寸前の状況になっていて唖然とする。光と一緒にもみ合いを止めようとするが、混乱からおじょしさまがまた壊れる。

会合に来ていた父があかりと直接会って結婚をあきらめるよう説得。個人と個人の問題を陸と海の問題に拡張しようとしているとあかりが指摘。決意は変わらないと告げる。

その夜、荷物を整理するあかり。昼の騒動から父親への信頼を失った光はあかりと一緒に家を出ると決める。父とうろこ様に別れを告げ旅立つ姉弟。その先で待っていたのは…

視聴コメント

  • アイスをおごろうとする先生(前回ラーメンおごるの失敗したからね)
  • プールが中止になる寒さ(フラグ)
  • おふねひき署名のため人妻を落としにかかる要君w
  • 「円盤反対!」
  • 賛同した視聴者が本当に円盤買わなかったので爆死したってマジ?
  • 円盤の売り上げなど沢山ある評価指標や資金回収手段のひとつにすぎないけど
  • 紡「多分、みんな、できることしかできないし、できないことを無理にやろうとしても、きっとつらいだけだ」
  • 君は40過ぎてるだろう
  • 海と陸で正面切って「豚」、「魚」と罵りあう関係だったんだな
  • 海峡をはさんで「カエル食い」、「ライミー」と罵りあう国もあったな
  • (面と向かっては言わないだろうけど)
  • うろこ様特殊能力あるんか

解説

おふねひき中止の中止が中学生の努力で実現しつつある。中学生らはもう陸と海の間の偏見がない。とりあえずおじょし様を見せて青年会()の会合実現にまでこぎつけた。

それが互いの立場や意見の衝突でとんだ揉め事に。差別や偏見をなくすことは容易ではない。笑えるドタバタにしてるけどこの作品が扱うモチーフは案外重い。

あかりと至は中学生達に見せる恋愛のモデルケースであり、陸と海の差別意識の相克の象徴でもある。そのあかりだからこそ父に、私と至の話を海と陸の話にすりかえている、主語が大きいと率直に指摘できる。

個人としては、父の気持ちはほぼ決まっているように見える。父があかりの結婚に反対しているのは宮司とい立場と、うろこ様から聞かされた未来の話のせい。父は父でつらい気持ちでいることが示されていて、話に奥行きがある。

ここでのうろこ様は父に言い訳を提供してやる役割。残念イケメンのくせに案外しっかりしてる。

岡田麿里という脚本家について少し。

秩父出身でアミューズメントメディア総合学院を卒業してすぐ脚本家デビューのプロパーの作家。「麿里」の字がなかなか変換候補に出ないこともあってかよく「マリー先生」と呼ばれる。

アニメの脚本が評価されたのは2006年の『シムーン』のあたりから。本作にも関わっている西村純二氏が監督のこのアニメ、人は全員女性として生まれ、思春期の終わりに後の性別を選択する、という不思議な世界の物語を美しく繊細に描いている。マイナー作品ながら知っている人の間では評価がかなり高い。

その後西村純二監督、P.A.WORKS制作の『True Tears』(2008年)でシリーズ構成を担当。私がこの脚本家を意識したのはこの作品から。富山のアニメ制作会社であるP.A.が初めて元請で制作したこのアニメ、富山を舞台に複雑な恋愛ドラマを描いて人気になり富山の観光にけっこうな変化をもたらした。そして、湯浅比呂美と石動乃絵という2人の魅力的なヒロインを創造した。

放送からかなりたつが、今も人類は比呂美派と乃絵派に二分されている。とりあえず2010年ぐらいまでは、検索すると、アニメと関係ない掲示板で突如として乃絵比呂美論争が開始されるのが見られて笑った。

そういう魅力的なヒロイン2人が生れたのは、多分に脚本家の力量による。

そして、オリジナル作品で、かつ舞台を自身の地元の秩父に設定した『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011年)は爆発的なヒットとなった。その流れがほぼ同じスタッフによる映画、『心が叫びたがってるんだ。』(2015年公開)につながる。

岡田麿里氏の脚本の特徴は、これら代表作を見れば誰にでもすぐ分かると思う。簡単にキーワードだけ言えば「昼ドラ」。でも、単に複雑にストーリーが交錯する話を作るだけの人ではないことも、作品を鑑賞すればご理解いただけると信じている。

追記:『あの花』が10月17日から再放送。

http://www.anohana.jp/tv/onair/index.html

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