フリーター全般労組のみなさん、および全ての日本の労働者同胞へ

Industrial Workers of the World (IWW) からメーデーの挨拶と連帯の声明を送ります。われわれはあなた方の暖かいご紹介に感謝し、われわれ自身の紹介をもってお答えしたいと思います。

IWWは(トラック運転手、梱包労働者、教職員などといった)職種別に分断されるのでなく、むしろ(運送、食品、教育など)産業の線を繋ぐ形で組織される、全労働者の組合です。アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティー市に本部をおき、ほとんどの組合員は合衆国とカナダの住人です。またイギリスで大きく成長中であるほか、ドイツ、オーストリアルクセンブルグ、オーストラリアにもメンバーがいます。組合員の広範囲な地理的分布にも拘わらず、員数は比較的少数です。現在、活動的なメンバーは約二千人ですが、過去十年の飛躍的な成長に鑑みると、この傾向が将来も続くと予想しています。

IWWは一九〇五年に結成されました。American Federation of Labor (AFL) に統制された保守的な諸組合に対して、抜本的なアルタナティブとして出発したのです。IWWは──たとえば移民、人種的マイノリティー、女性、非熟練労働者、移民の農場労働者、仕事を求めて汽車で渡り歩くホーボーなど──他の組合が「組織化不能」と看做した労働者たちを組織していったのです。たとえばジョー・ヒルのような歌手は、IWWの組織論を大衆的な響きで広め、IWWの新聞は北米全土とそれを超えて購読されていきました。

一九一三年にはIWWは主要勢力に数えられるようになり、合衆国全土のメディアの見出しページを飾るようないくつもの大ストライキを実現します。そこで経営者階級と政府は、IWWを大きな脅威と規定し、潰す必要があると認識します。次の十年間は、メディアの中傷、経営者達に雇われたならず者たちの暴力、政府の強烈な弾圧、内紛、仕組まれた「陰謀」裁判などが合体し、IWWを多いに打ちのめします。われわれは以後一時誇った成員数を凌ぐことが出来ていません。しかしそれでも組織は生き延び、初期の多くの過ちから學んできました。その間、組合員数が、二三百人ほどに落ち、ほとんど目立った活動もなく、かろうじて生き延びた時期もありました。しかし今日われわれは再び精気を取り戻し、百年前の結成当初と同じ原理に身を捧げる組合になりました。

IWWは常に「労働者階級と経営者階級に分かち合うものはない」と信じてきました。今も昔もIWWの最終目標は、労働者階級を団結させること、賃金制を廃棄すること、労働者によって自主的に運営された経済/社会制度を生み出すことです。しかしながら、われわれはこの目標を、政治政党や暴力によってではなく、労働者の組織化とゼネストによって勝ち取ろうと考えています。IWWの歴史的指導者の中で、最も重要な人物の一人ビッグ・ビル・ヘイウッドの言葉によると「もし世界中の労働者が勝利したいならば、みずからの団結を認識しさえすればいいのだ。彼らが腕を曲げさえすれば、世界は停止するだろう。手をポケットの中に入れている労働者には、資本の全ての所有よりも強い力がある。」

このような高い目標を掲げながらも、IWWの組織者たちは、労働者たちのために、より良い給金、健康、安全、職の安定、決定権など、日常的な闘争に携わることの重要性を理解していまず。われわれは、二つの階級の間には真の平和はないことを知っているので、経営者との契約を信じていないが、それが戦略的に重要だと判断する場合、よい契約の為に闘います。しかし契約/非契約に拘わらず、われわれの目標は、様々な位階の労働者たちの職場における実権を打ち立てることなのです。われわれはこの戦略を「団結的組合主義」と呼んでいまず。これはAFL-CIOの「企業(ビジネス)組合主義」や、(会費による儲けを見込んで)ひたすら員数を増やすために、組合員の参加より契約を求める「勝利のための変化(Change to Win)組合主義」に対抗するものです。

われわれは様々な産業の職場に部署を持っていまず。その中でも、ことに食品と教育は最強です。われわれのキャンペーンの中で有名なのは、たとえばニューヨーク市スターバックス労組と移民食品労働者の闘争、そしてスコットランドイングランドの大学における職を守る闘争です。これらはIWWが関与している様々な闘争の内の二三の例です。

しかしわれわれが組織するのは結局、労働者であって職場ではありません。われわれの規約に賛同する労働者は、誰でもIWWに加盟することが出来ます。そして組合員が職を移動したとしても組合員資格は継続します。この為ほとんどの組合員のための基本的組織は一般組合部(General Membership Branch)となっています。一般組合部は、組合員がその職場で組織化をしていようといまいと、都市や地方ごとに形成され、そこに住む全ての組合員はそこに所属しています。このことが、全ての組合員を組合を民主的に運営する過程に参加させ、地域的な組織化やその他の企画に参加させることを可能にしているのです。

また北米の外では、組合員は──たとえば the British Isles ROC (BIROC)、the Australia ROC (AUSROC)、the German Language Area Members ROC (GLAMROC) などのような──地域組織委員会(Regional Organizing Committee)において組織されています。それぞれの地域組織委員会は、強い独立性を持ち、IWWの方針を、それぞれの地方における独自の状況に適用することを可能にしていまず。IWWは、国際的には、組合員によって選ばれた七人の無報酬のボランティアからなる一般実行委員会(General Executive Board)と、シンシナティー市の一般本部から組合を管理する一般書記謙財務部長(General Secretary―Treasurer)によって統括されていまず。それに加えて機関誌『Industrial Worker』の選出された編集長、一般組織化委員会(General Organizing Committee)、一般防衛委員会(General Defense Committee)、国際連帯委託部(International Solidarity Commission)を持っています。国際連帯委託部は、世界中のわれわれの同盟者たちと連絡をとり、支援するために選出されたグループです。たとえばこの声明も国際連帯委託部の名で書かれています。

われわれはフリーター全般労組および、同じ方針を持つその他の日本の労働者組織と相互扶助的関係を発展させていくことに多いに興奮しています。われわれは、そのような関係を築くための共通の土台を多く持っていると信じています。そしてわれわれ双方の組織が成長と発展を続けるにつれ、われわれの団結を多いに示していけることを期待しています。対話を続け、将来われわれの組織が、支援し合っていくための具体的な計画について議論していこうではありませんか。

五月一日、国際労働者の日にちなんで、地球上のあらゆる地域の労働者たちのことを念い、世界中の労働者が団結する時、何ごとも可能になるのだということを想起しましょう。

団結のために、

マイク・ペサ
International Solidarity Commission
Industrial Workers of the World (IWW)
E-mail: solidarity@iww.org
Website: www.iww.org