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2009-01-11 地球公論12

プレカリ旅行と非正規雇用 よねざわいずみ


 私の趣味の1つは鉄道旅行だ。国鉄時代からの「青春18きっぷ」を使えば、新幹線や特急には乗れないけれど1日あたり2300円でどこまでも移動できる。ムーンライトながら(いわゆるかつての大垣夜行)とかの夜行列車を使えば510円の指定席料金の追加で夜寝ながらの移動もできる。最近は地方にもネットカフェが普及してるのでそこに泊まれば宿泊費も浮く。全国の駅をめぐりながら、掛け流しの安い温泉に浸かって日々の疲れを癒したり廃線跡や産業遺稿に触れて現代史に思いをはせる、そんな楽しみのために日々の労働があったりするのだ、私の場合。
そんなプレカリ旅の近年の変化。「普通列車のグリーン車自由席」に、グリーン券を別に買えば18きっぷでも乗れるようになったのだ。各停ばかし朝5時から乗り継いで東京に戻るのが24時、とかだと、750円払って高崎や宇都宮や熱海からはグリーン車でラクチン、というプチ贅沢はなかなかやめられない。申し訳程度だけど座席はリクライニングするし2階建て車の1階席なら揺れも少なく静か。寝るにもセルフ宴会にもなかなかよいのだ。
しかし、よくよく考えるとこの話は根本からおかしい。もともと18きっぷは、学校休業期間にガラガラになる地方の鈍行列車に客を乗せるサービスとしてはじめられたものなのだ。いくら各停とはいえ「グリーン車に乗せる」なんてサービスは「本来の趣旨」とはまったく関係ないではないか、と。
もちろんこれにはカラクリがある。今、首都圏の中距離電車にはグリーン車が2両ずつついている。これまで10両なり15両なりの全部が普通車だった路線では、それが2両減らされてグリーン車に置き換えられている。そしてグリーン車には「グリーン車Suicaシステム」なんてのが導入された。Suicaでグリーン券を買っておいて、そのSuicaを席の上にタッチすると車内改札が省略される。そして車内改札を省略する以上、乗車券のチェックもできなくなる、すなわち「18きっぷで乗っちゃイカン」というチェックもできなくなる。だからいっそのこと18きっぷでも乗れるようにしてしまって、ほとんど実入りのない18きっぷ客からもグリーン料金を徴収しよう。そんなJR東日本の思惑がきっぷのルールに反映されたのだろう。
一方で、グリーン車利用者の全員がSuicaを持っているわけではない。ICカードで儲けたいJR東日本のホンネとしては「全員Suica」なのだろうけど、他の地域からの利用者を排除するわけにもいかない。だから従来の紙のグリーン券でも乗ることはできる。当然、それをチェックする「きっぷ拝見」は必須となる。それを行うのは車掌さんだったけど、このグリーン車の新システムとともに導入されたのは「グリーンアテンダント」という名前の非正規雇用の労働者たちだったのである。
グリーンアテンダント(以下「GA」)は、グリーン車内を巡回し、Suicaグリーン券でない乗客にグリーン券の提示を求め、所持していない乗客に車内グリーン券を発売し、さらには飲食物を販売する。要はこれまでの車内販売に、改札業務が加わったという代物だ。
グリーン車導入で「毎日の通勤でグリーン定期券を買える金持ち」からお金を取り、普通の定期券の客は普通車両が減ったぶんよりひどいラッシュに詰め込まれ、Suica導入で電子マネー普及を進めて儲けて、さらに正規雇用たる車掌さんの仕事を非正規雇用に振り分ける。こんな構造が、今の普通列車グリーン車とともにもたらされたというわけだ。
さらにだ。男女雇用機会均等法という、いろいろありつつも存在している法律を考えると、GAにも機会均等があるはずだ。実際、普通の車内販売には男性の売り子さんもたくさんいる。しかしなぜかGAは女性ばかり。
これも、非正規雇用のなせるワザ。GAはJR東日本の子会社に1年間の契約社員として雇用され、JR東日本から業務請負する形で働いている。機会均等法は募集・採用時の性差別を禁止しているけれど、実際の業務先配置にはそういう規定はなく、「女性のみ」という現場が堂々と展開されているのだ。
そしてとんでもない事件が起こってしまった。深夜のお客さん僅少な時間帯に、客によるGAへの性暴力事件が発生してしまったのだ。以上のような施策の合わせ技として、起こるべくして起こってしまったとも言える。JR東日本グループの責任も極めて重い。
先日、八ッ場ダムに水没させられてしまう川原湯温泉に入るべく、私は早朝にグリーン車を利用した。しかしなぜかそこには屈強なガードマンの姿が!! あからさまに室内に目を光らせていたのである。
せっかくグリーン車に乗ったのにガードマンに監視されるという現状、性暴力の起こる社会、ガラガラなところにガードマンを乗車させても採算が取れるシステム…。
プレカリ旅行をしているだけなのに、現代社会の矛盾を膨大に見せつけられる。嗚呼。

【巻頭】 「プレカリ旅行と非正規雇用」 よねざわいずみ
【読物】 「ワーキングプアの条件」 清水貴子
「労働者のための教養講座 第5回」 シライシミチタ
「ルンペンプロレタリアートは階級上昇の夢を見るか?」 戦闘的ゴジラ主義者
「ぼくの道 第2回「夏子との再会」」 三浦仁士
【声明】 「不当逮捕への抗議と62億円の豪邸の持ち主への要求」 フリーター全般労働組合執行委員会
「不起訴を受けて」 麻生でてこい!!リアリティツアー救援会

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