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2011-05-13 解決案件の報告など

[]Q&A「改めて雇用保険って何? どうやって手続きするの?」

Q.
 5年間IT系企業でプログラマーとして働いてきました。経営不振のため、会社が退職金を割り増しして希望退職を募っていたので、これに応じて退職しました。これまで会社のやり方に納得いかないことが多かったのと、これを機会にキャリアアップを目指そうと思ったからです。会社からは、「会社都合の退職だから、雇用保険の失業手当はすぐもらえますよ」と言われたのですが、そもそも雇用保険ってなんですか?

A.
 雇用保険は、働いている人が失業したときなどにお金を給付する国が運営している保険です。失業したときにお金を受け取れるから失業保険ともよばれます。一定の給付を行うことで、生活の心配をせずに一日も早く再就職してもらうのが本来の目的です。
 働く人を雇った場合、1週間に20時間以上、31日以上継続して雇用する見込みがあるときは、正社員だけでなくパートや派遣、契約社員など雇用形態を問わず、働いている人や会社の意思にかかわらず、加入が義務づけられています。
 雇用保険の保険料は、働いている人と会社がおおよそ半分ずつ負担します。給与明細に雇用保険という名目で保険料が差し引かれていたはずです。見てもらえればわかりますが、雇用保険の労働者負担分は、1000円程度。入っておいたほうが絶対に得です。
 解雇など会社都合で退職した場合、手続きをすればすぐに失業手当が給付されますが、辞職など自己都合で退職した場合は、3ヶ月は失業手当が受け取れない給付制限期間があります。自己都合で退職すると、失業手当を受け取る上では、不利になるのです。希望退職に応じるというかたちで退職したので、会社都合扱いになったんですね。
 保険料を負担していても、退職するまで何ももらえないとなると、長く務めている人は損をした気分になりそうです。雇用保険といえば、失業したときにもらう失業手当(正式には「基本手当」といいます)が知られています。
 雇用保険には、この失業手当以外にも、厚生労働大臣が指定して民間の教育訓練機関が実施する教育訓練を受講した場合に受講料の一部が支給される「教育訓練給付」、育児休業や介護休業で休んだために賃金が支払われなかった場合に、賃金の一部が支給される「育児休業給付」「介護休業給付」、など働きながら活用できる制度があります。

 失業手当をもらうには、いわゆる離職票が必要です。離職票が発行されるまでの流れは、こうです。
 会社は、雇用保険に加入している従業員が退職する場合、退職・解雇の日から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を会社を管轄するハローワークに提出しなければなりません。会社が最初にハローワークに提出する「雇用保険被保険者離職証明書」には、「離職理由欄」、つまり「その人がなぜ会社を辞めることになったのか」を記入する欄があります。この欄は、まずは会社が記入しますが、会社が書いた離職理由に対して異議があるか・ないかを記入する「離職者本人の判断」という欄があります。離職理由が自己都合とされてしまうと、給付制限期間が設けられるだけでなく受け取れる失業手当の金額も少なくなるので、きちんとチェックして、異議があればその旨、しっかり記入しておきましょう。
 会社から送られたこれらの書類をもとに、ハローワークから「資格喪失確認通知書」と「雇用保険被保険者離職票」が会社に公布されます。雇用保険をもらうためには、この離職票が必要です。
 会社が離職票を渡してくれないときは、まずは会社に、雇用保険の手続きを取ったかを確認してください。していないようであれば、ハローワークに申告します。できれば、事前にハローワークに電話などで連絡をしてから行くとよいでしょう。そのときに、どのような書類を持参する必要があるかを聞いてください。
 ハローワークの職員とのやりとりは、ときにねばり強さが必要になることもあります。自分自身も負担した公的な保険を受け取るための手続きですから、あきらめずに交渉しましょう。

 失業手当をもらう場合、本人の住所地を管轄するハローワークに求職の申込みをして、雇用保険被保険者離職票を提出します。すると「失業認定日」が指定されるので、その日に、再度、ハローワークに行きます。その後、原則として4週間に一度、失業状態にあることの確認をするため、指定された日にハローワークに行くことになります。
 4週間に一度、ハローワークに行くなんてちょっとめんどうと思うかもしれませんが、失業手当は、就職しようとする積極的な意思があって、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない「失業の状態」にある人を対象に支給されるもの。
 このため(1)病気やけがのためすぐには就職できないとき、(2)妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき、(3)定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき、(4)結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき、はもらうことができません。このため、4週間に一度、「失業の状態」にあるかを確認するということになっているのです。
 なお、失業手当をもらえるのは、退職してから最長で1年間=12ヶ月です。つまり、退職してもなかなか手続きをしないで、11ヶ月目に手続きをした場合、仮に1年分もらえる要件が揃っていても、1ヶ月分しかもらえません。
 失業手当の手続きは、とにかく早くするに限ります。貯金を取り崩したりする前に、まずは失業手当の手続きをしてください。

2010-01-26 1月25日・UMC(ユニオン運動センター)統一行動

[]ユニオン運動センターの仲間と1日かけて社前行動をしました


上野駅前で派遣ユニオン・王城ユニオンが自主営業を続けるサウナ王城前で。
王城ユニオンのブログhttp://d.hatena.ne.jp/oujyou_uion/
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東京管理職ユニオンが争議中のシオノケミカル。
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1月14日、東京都労働委員会が、KDDIエボルバに対して、派遣ユニオンのKDDIエボルバ支部に行った組合つぶしという不当労働行為に救済命令を下しました。それを受けての抗議行動。
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反貧困の本や人権関連の本を多数出版しているのに自社で働く労働者の権利を踏みにじっている明石書店。東京ユニオンが争議中。
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2010-01-25 自由と生存の野菜市の聖護院大根はうまかった!

[]労働相談入門講座

昨日、1月23日は、相談・交渉担当者育成のための労働相談入門講座をしました。東京管理職ユニオンの書記次長でもあるQTさんの解説で、みんなで学び合い中。
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2009-01-30 派遣切り、1人で悩まず相談を!

[]派遣切り、1人で悩まず相談を!


フリーター全般労働組合メールマガジン 31号」(法律知識 派遣切り、非正規切りで活用できる制度/清水直子)より
Q.昨年12月半ばに、派遣会社から「今月末で契約満了。寮も1月5日までに出るように」と言われ、今月5日に寮を出ました。10数万円の貯金はありますが、アパートを借りる敷金・礼金には足りません。ネットカフェに泊まって、求人雑誌で「住み込み・日払い」の仕事を探していますが、なかなか見つからず、このままだと貯金が底をついてしまいます。どうしたらいいでしょうか。

A.活用できる制度があります。昨年秋頃から拡大したいわゆる派遣切り・非正規切りへの対策として、昨年12月から、厚生労働省は、ハローワークを通して、社員寮などから退去を余儀なくされた人への住宅確保のための支援を始めました。
 具体的な支援内容は、1.「雇用促進住宅の入居あっせん」と、2.「住宅入居初期費用、家賃補助費、生活・就職活動費の資金の貸付」です。
 1.派遣切りなどで社員寮からの退去を余儀なくされた求職者とそれに準じる求職者だとハローワークで判定されると、各地の雇用促進住宅(かつて雇用保険料のお金を使って建てられた住宅です)に、空きがあれば、緊急に入居することができます。平均家賃は2万5千円。6ヶ月の定期借家契約です(延長可)。入居の相談は、各地のハローワークか非正規労働者就労支援センターで。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1212-4.html
 2.事業主都合(解雇・雇用期間満了)で仕事を失って寮を出て住むところも失った人は、住宅入居初期費用などの資金を貸し付けを受けることができます。常用就職に向けた就職活動を行うこと、貯金・資産がないこと、離職前に主として世帯の生計を維持していた者といった条件はあります。担保・保証人は不要。貸し付けの利息は1.5%。貸し付け半年後に常用就職していた場合は、返済が一部免除されます。貸し付けの相談は、各地のハローワークで。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1212-4d.pdf

 寮を出る前なら、そのまま居座って派遣会社と交渉することもできます。「解雇は認めません。働き続けます」「(借地借家法27条の賃貸借の解約には6ヶ月の猶予が必要ということを根拠に)寮は出ません。ここに住み続けます」「家賃は払います。今まで通り給与から天引きしてください」「解雇は認めません。今まで通り給与を払ってください」と答えて、次の住居や仕事を確保してください。
 交渉にあたっては、フリーター労組など、1人でも加入できる労働組合に加入して行えば心強いでしょう。労働組合に加入して交渉すれば、契約期間途中の契約解除なら残りの期間の賃金補償を求めることもできます。期間満了であっても、派遣会社から、契約を更新してもっと長く働けると期待するようなことを言われていた場合は、交渉の余地があります。不安定な仲間の生活を支える越冬実行委員会(http://etto.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-59f6.html)の「派遣切り対応マニュアル」も参考にしてください。

2007-11-13 データ装備費返還訴訟第二回期日の報告

[]データ装備費返還訴訟第二回期日の報告


 グッドウィルデータ装備費返還訴訟の第二回期日は、11月12日、16時30分から、東京地裁722号法廷でした。原告側の傍聴者は30人ほど。今回は、26人の原告のうち6人が原告席に着きました。
 法廷で裁判長はまず、グッドウィル側の代理人の弁護士にデータ装備費の負担を求めたことに対価性はあったのか、つまり、何に使ったのかを明らかにしてほしいと求めました。

 この裁判官の質問は、グッドウィル側から12日付で届いた準備書面と関係があります。その驚くべき内容とは?
 グッドウィル側の準備書面には、データ装備費については負担を求める理由・動機は存在しても特定の使途というものはない(!)、といったことが書かれていました。
これを受けて裁判長は、データ装備費の負担に対価性はあったのか? つまり何に使ったのかを明らかにしてほしいと求めたわけです。
 裁判長はさらに、仮に合意の上だというなら、どういう説明をして、具体的にどんな合意をしたのかを明らかにするよう求め、そうしないと話が進まないとも発言しました。

 裁判長は、勢いに乗って、データ装備費を何かに使ったのなら、例えば、本当に福利厚生や保険などに使ったのならバランスシート(会社の資産状況を示す財務諸表)に載るはずだ、使途を明らかにしてほしいとも求めました。
 使途を具体的に示せ、というのはグッドウィルユニオン側が、団体交渉の席上で求めてきたことでもあります。グッドウィルユニオン側は、今日付の求釈明でも、データ装備費の使途と合意の内容を明らかにするよう求めました。

 さて、裁判の流れとしては、被告であるグッドウィルは、12月20日までに求釈明への答えを書面を出し、それを読んでグッドウィルユニオン側がさらに釈明を求める必要があれば求め、反論する――ということになります。
 ちなみに、12日付けでグッドウィル側から出された準備書面のなかには、ほかにもあきれるような主張が書かれています。
 要するにこういうことです。日々派遣される労働者というのは、日本の労働市場のなかでは流動化された労働力で、なにもグッドウィルで働かなくても競合する同業他社はたくさんある。データ装備費をとられるのが嫌なら、ほかのところで働く「完全なる自由」がある。ほかの会社でパートやアルバイトとして直接雇用でも働く「完全な自由」がある――。そういう問題か!
 それから、こんなことも。データ装備費を設定しなくてもデータ装備費に相当する金額分だけ賃金を低く設定すれば経済的には同様の効果がありより簡便であったのは確かである。被告会社がこのような方法によらなかったのは、同業者間では後発だった被告会社が同業他社のやり方をそのまま採用したからに過ぎない――。開き直るな!

 この裁判でグッドウィルユニオン側は、データ装備費について不当利得返還訴権と損害賠償請求権の両方、どちらの理屈を採用してもいい、と主張しています。
 グッドウィル側は、データ装備費は労働者との合意に基づいて徴集しただけで何が問題なのかということと、仮にこの合意が公序良俗に反していても、その分の賃金を払わなかっただけに過ぎず、時効により請求権は消滅していると、予想通りの主張をしています。
 弁護団の1人、小川英郎弁護士は、「今日、裁判官は、対価性がどうなのかというデータ装備費問題の核心を突く質問をした。この問題を具体的に検討していこうとしている姿勢の表れだ。不当利得だという実態をしっかり伝えるためにも、グッドウィルから受けた説明の内容など具体的な経験を伝えていこう」と語りました。

 次回期日は、12月27日(木)午前11時、705法廷(場所が今回とは変わります)。傍聴席を埋めて、関心の高さを裁判官に示しましょう!

2007-08-11 朝青龍問題は人権・労働問題だ

[]朝青龍問題は人権・労働問題だ


横綱の包囲

横綱・朝青龍が包囲されている。怪我を理由に夏巡業を休業しながら里帰りしたモンゴルでサッカーに興じていたということで、所属部屋・高砂部屋や相撲協会に厳しく咎められ、多数のマスメディアからは激しくバッシングされ、今なおその状況が続いている。その型破りとされる言動や、週刊現代が主張している八百長疑惑などの「伏線」もからんで「品格に欠ける横綱」という叩き方が蔓延し、横綱は四面楚歌状態にある。

怪我で休むとして故郷で政府主催のサッカーチャリティイベントに参加していたことは確かに軽率だし、巡業をサボったと言われても仕方がない部分もある。しかしこれに対する「処分」がまた「極刑」ともいうべき非常に重いものだった。二場所連続出場停止、九州場所千秋楽(11月25日)までの謹慎(稽古場・病院以外の外出禁止)、四ヶ月間30%の減俸だ。かなりキツイ。

不祥事の「ケジメ」の付け方には「業界」それぞれの慣行にしたがったものがあるのだ、という論議が存在していることは承知しているつもりだ。減俸処分も公務関係などでよく聞く話だし、あるいはプロスポーツ選手の一定期間にわたる競技出場停止ということも業界慣行としては一つのやり方なのだろう。ちなみに力士にとって場所の出場停止は、月給以外の収入(本場所手当、力士褒賞金、懸賞金)を自ら手放すことであり、「競技生命」の短い世界ではやはり減俸処分とあわせてそれなりの「ケジメ」の付け方ではあるだろう。そのことの評価はおくとして、あえて「極刑」というのはやはり謹慎処分のことだ。

制限された人身の自由

「謹慎」といえば殊勝な語感だが、外部交通権が制限されてはいないとはいえ、身体の自由を阻害するという意味では軟禁には違いない。他の力士でも、たとえば旭天鵬がこの四月に交通事故を起こしたとき、夏場所出場停止・一ヶ月謹慎・減俸の処分を受けている。なるほど謹慎中は部屋で稽古、それ以外は外出を控えるというのは相撲業界では慣行なのだろう。しかし「解雇まではしない」ことの担保として処分があるなら、謹慎は強制的なものとなるほかはない。この間の相撲協会や所属の高砂部屋(同親方)の朝青龍に対する態度を見ると、まるで一意に自宅に封じ込めようとする対応であり、この処分は事実上の人身の自由への制限だ。

こういうと何を大袈裟なという向きもあるかもしれないが、稽古場・病院以外は出歩くなという私的時間にかかる謹慎処分とは、事実上の拘束でなくて何なのか? 外部交通権があるから軟禁ではないとする見方があるとすれば、それは処分する側に甘い判断といわざるをえない。そもそも「軟禁(house arrest)」は外部交通権というよりは、拘束そのものを表す概念だ。交通権の制限はむしろ付帯的な事柄として取りざたされる。あのアルベルト・フジモリにしてもチリで「自宅軟禁」状態にあるとされているが、実態としては外部の人間が出入りしているのが現状だ。それでもフジモリ自身の移動の自由が制限されているからこそ、彼は「軟禁」状態にあると国際的に捉えられている。このことは「Fujimori under house arrest」などとして検索し、目立った情報資源に目を通せば理解できることと思う。ちなみに軟禁より強度の自由の制限である監禁も、日本の刑法第220条がいうところのものとしては、一定区画から脱出できない状態に置くことによって身体の自由を拘束することを指し、必ずしも物質的障害を手段とする必要がないとされていることを付言しておこう。

で、この謹慎=軟禁はまた、身体の自由の制限が結果して精神的拘束へと転化する可能性も当然ある。この間の協会・部屋の態度やバッシング報道の洪水という状況も忖度すれば、処分には心理上の強制的な拘束の効果があったとしても穿ちすぎではない。事実、日本的風土・角界の伝統的慣習にすんなりなじめなかったであろう「外人力士」としての朝青龍は、処分と糾問報道の包囲に動揺して精神的に変調をきたしている(「抑うつ状態」「神経衰弱状態」)と複数の医者に診断された。相撲協会が否応なく下した一方的な処断の結果がこれなのだ。

帰郷のうえで静養させた方がよいほど精神的に参っているとの一人目の医者の診断に対し、協会・所属部屋ともに難色を示していた態度は、結果として「奴隷的拘束及び苦役からの自由」(憲法第18条)が侵害される可能性についてはまったく思慮が及んでいないことを物語る。二人目の協会掛かりの精神科医による同様の診断・進言により、協会理事長の北の湖がやや態度を軟化させているものの、高砂親方は「帰郷より先に記者会見」と留保・牽制し、その他の親方連の同様のすげない反応を示す報道をなどを見るにつけ、角界は基本的に戦前からの上意下達の位階制的な体質を引きずっているのだと疑わせるに十分でもある。

労働問題としての朝青龍問題

戦前のことに言い及んだが、戦前の大半の力士の待遇は、戦後改革(1958年)にいたるまでほとんど省みられず実に悲惨なものだった。しかしというべきか、だからこそというべきか、経営ギルドである相撲会所─相撲協会の封建的な専制支配に相対する力士自身の団結もまた存在していた。待遇改善・ギルド運営改善を要求する集団的な争議行為としては新橋倶楽部事件(1911年)、三河島事件(1923年)、春秋園事件(1932年)が史上有名な事件として記録されており、結果として高砂浦五郎の個人的運動となった先駆的な改正組の闘い(1873年)がある。これらは単に待遇改善を求めた賃金闘争というだけではなく、経営ギルドが興行収入のほとんどを牛耳り専横を続けていたことに対するワーキングプア力士たちの憤激の奔出だった。だからこそ角界を二分する衝撃力をもった春秋園争議もまた、経営ギルド=相撲協会の運営改革を求めたのである。そして角界を二分したこの戦前最後の力士大争議は結果的に敗北に帰結したが、争議の要求の幾つかは戦後に実現していった。力士には角界の趨勢を先取りする先見の明があったのだ。

このように歴史的な力士争議をめぐる意味を考えると、今日の朝青龍の問題とは助け合える仲間を持つことができない孤立した被雇用者としての問題、という側面が浮かび上がってくる。現状では横綱の総収入は貧しい「格下」力士たちにとっては羨望の的だろう(特に十両以下は戦前・戦後を通じて常にペイなき悲惨な「徒弟」なのだから!)。即時的には待遇の違いによる「上位」「下位」力士間の気分的な障壁は大きいと思われるが、しかし経営者である相撲協会・部屋の専横に対する被雇用者としての団結の不在こそが、横綱の孤立の問題の深さにつながっている。横綱・朝青龍は力士の親睦組織である力士会の会長だが、この現在の力士会は今回の横綱包囲に対して緩衝的な役割を果たそうとはしていない。はっきりいえば会は被雇用者の利益団体ではない。

しかし先述したように、力士会は戦前の力士争議で重要な役割を果たしてきた。幕内上位の力士を先頭にたてて多くの力士が結束する触媒となったのがこの力士会だった。もちろん会は折々に登場したもので、そのときによって成り立ちなど内実は異なっているはずだが、経営体に対抗する力士の団結の物質化という意味では総じて共通している。この団結としての力士仲間の存在如何が、「経営者による力士の譴責」に大きく影を落とすだろう。もちろんここでifをいうことはお笑い種かもしれないが、仮に会長を擁護する力士会の動き、あるいは力士仲間の団結があれば、相撲協会・高砂部屋もうかうかと前近代的な支配策動をとれなかったと思われる。

だからこそ、ここであえて言おう。朝青龍問題とは人権問題であると同時に労働問題なのである。大幅な賃金カットや人身拘束の攻撃が無為に通用してしまうということは、労資間の問題として激甚な事態である。

全国の大相撲力士よ団結せよ。団結して力士会を労働組合として復活させ、仲間に加えられた不当な人権侵害を粉砕しよう。

(N)

2007-02-05 大阪市は野宿者強制排除をやめろ

[]長居公園での行政代執行が迫っている。

人の寝食と仕事の場を奪うことが「公共の福祉」の増進に適うはずがない。
それは富める者の自由に最大限の配慮を怠らず、貧しい者からは自由と生存を奪い去る姿勢でしかないからだ。
大阪市は国際的なスポーツイベントのために、人の暮らしと尊厳を台無しにしようというのか。
行政代執行をやめろ。奪うなら金持ちから奪え。(Y)

以下は事前弾圧の不当逮捕によって獄中にある釜日労の仲間からの手紙。

(一)
 長居公園での若い労働者のみなさん。
 奴ら大阪市による行政代執行を前にして、ずっと地道に、労苦をいとわず長居公園テント村を現場で支えてきたみなさん方のことは、監獄にある私にもよく伝わっています。
 私は64歳なので、みなさん方よりは少なくとも2倍は歳くってるでしょう。そんな私ですが、自分の獄中生活を誰よりも励ましてくれているみなさん方への恩義は、これからも忘れまいと心しています。

 (二)
 若い労働者のみなさん。
 この国の支配者どもはローソンの店員やビル管理会社のガードマンなどとして働いている若者たちのことを、「フリーター」とか名付け、連中がそのことをどのように言いつくろおうと、本音のところでは蔑んでやみません。私はこの、使い捨ての臨時雇い労働者として働かざるをえない若者らに投げつけられた「フリーター」という言葉と、同じ支配者連中が公園労働者たちのことを指して、二言目には「気楽で、好き勝手な人たち」と言いたてていることが、一から百まで似ており、連中がこの二つの言葉をもって何をやろうとしているのかも同じだととらえています。私はこの事一つをとってみても、臨時雇いの身で、働きのわりには報われることのない若い労働者と公園労働者が出会い、つながったのは、それなりの理由があっての、必然だと思っています。

 (三)
 若い労働者のみなさん。
 私は、奴ら検察側のお得意とする、なんでもありの手口で逮捕された当初、留置場は西成署でした。その折、房で一緒だった人が先の「大阪城・うつぼ」での代執行のことを「朝から晩までやってたね。リヤカーのおっさんら根性あるね」と話すのを耳にし、この言葉に私はひとり嬉しがったのですが、その一方で、私にはもひとつ物足りないものでした。それは、この人が見たというテレビニュースでもちゃんと映し出されてた筈なのに、この人の話には、あの日、根性のあるリヤカーの労働者らがスクラムを組んだあいかたの、若い労働者のことが出てこなかったからです。
 先の「大阪城・うつぼ」での現場の実際が示したように、あの場での若い労働者たちの姿は、およそ知識青年による“野宿者支援”とは異なり、賃金仕事を奪われた野宿労働者という一つの味方を得ることで、支配者どもの「フリーター」策をもってする抑圧に負けまいとする、若い労働者たち独自の姿としてありました。

 (四)
 もう何年も前からですが、この国のどこであっても、テント・小屋がけの労働者がおる所では、野宿労働者と若い労働者の出会いは、ごく普通のこととなっています。
 一つは、私が西成署の留置場で会った人の話がそうであったように、この野宿労働者と若い労働者の出会いとつながりは、まだ分散状態にあり、世間の誰もが分かるかたちでの社会の流れとはなっていないこと。
 あと一つは、確かに、かって天王寺公園事務所の施設管理課長の阿部が、浪速区の恵美公園で労働者の小屋をつぶそうとした時のことで、一度はこんなことがあったと聞いています。何人ものポリ公に見守られる中で、労働者らに追い返されたあと、暫くして阿部は「今だったら支援も帰ってるからもう一回行こう」と言ったのだが、労働組合員でもある部下から、「今日はやめときましょう」といさめられ、けっきょくその日の小屋つぶしは取り止めになったといいます。しかし今のところは、まだなんといっても、公園事務所の労働者らによる組織だった反乱に期待をつなぐことはできません。
 主にこれらの事情から、全国的にはまだバラバラな状態の、野宿労働者と若い労働者との出会いを一つにつなぎ、明確な社会勢力へと発展させるためにも、「大阪城・うつぼ」の時がそうであったように、どうしてもここ当分のあいだは、自分らのかたき連中とは、それなりに力ずくで闘っていくことが必要です。

 (五)
 長居公園での若い労働者のみなさん。
 働くものが蔑まれない世の中をめざすうえで、私は、あなた方には誰にもまして「私たちは野宿労働者の味方だ!」と言う権利があると思っています。
 プロレタリアートの最敬礼をもって。

2007年2月2日 昼いちばんに

なかのひと