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spinの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-05-17

[]『ある島の可能性

ある島の可能性

ある島の可能性

読了した。

ある程度は予想できた結末だが、現実的というか、やっぱりそれしかないのか、という感じだ。

いずれにしても、死がないと人は幸福なのか?という未聞の問いを扱っており、興味深く読めた。

そしてまたしても、性愛のダークな面が描かれている。ダニエルというそこそこ成功したコメディアンの最初から不幸になると運命付けられた恋愛が中心に据えられているが、この作家の提示する恋愛観は救いがない。とにかく痛い。美人にも容赦がない。単なる良くできた配列の賜物でしかないという。しかし、そうであっても、男はそういう女とヤルことに心血を注ぐ。現代の人類において、愛だけが突出して問題になっているというのは、わかる気がする。世の中には、さまざまな問題があるが、個々人にとって、最大にリアルなことはやはり恋愛(あるいはセックス)なのではないか、という気がするからだ。

話の舞台になっているのは、エロヒム教という実際の宗教団体をモデルにした宗教団体(そこで事実上の不死を可能にする発明が実現される)である。その宗教団体のオフィシャルな恋愛観で、相手を束縛しない関係というものがあるが、それに対してダニエルは思う。それは永遠の生が保証されない限りあり得ない、と。結局のところ、有限である限り、種の保存、もしくは、自分のDNAの保存を第一に考えずにはいられないのが人間なのであろう。結局、フリーセックスが難しかったからヒッピーも衰退したのではないだろうか。