ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

家事使用人研究者の久我真樹のブログです。主に英国ヴィクトリア朝の屋敷と、そこで働くメイドや執事などを紹介します。

コミックマーケット72・参加レポート

会場入り

当日はいつものようにあまり眠れない中、太陽が出る前に起床です。汗を相当かくことを予想し、ひえぴたでの対策を怠らず、乾燥しやすいシャツも選びました。コミケカタログの対策マニュアルに則って。



友人と合流してから、ビッグサイトへ入りました。中に入るとまだ人が少ないのでエアコンが機能しており、なかなか涼しいです。会場の東4ホール自体も人が少なく、エアコンと風とで、比較的過ごしやすかったです。



天気も心配されましたが、無事に晴れており、久しぶりのコミケマジックを垣間見た気がします。



今回はいつもより搬入量を抑えたこと、また既刊の種類が減ったこともあって、会場入りしてから準備を終えるまで、最短の30分ぐらいで完了しました。なのであとはただひたすら会場を待ちました。



と言うのは嘘で、今回は事前準備グダグダ編の続きがありました。第一に見本誌シールを忘れ、会場ですぐに申し込み用紙を買い、対応したこと。第二に提出するサークル情報の紙に「黒のボールペンで」と書いてあるのに、青のボールペンで書き、再提出したこと、です。



それにして「開場前行列」の密度、ものすごかったです。友人は「あれだけの行列で、どこのサークルに並ぶのかわかるの?」と疑問を持っていましたが、伝え聞くところによると、「壁に並ぶ人たちは一括で並び、順番に押し出していき、自分の並びたいサークルに割り振られていく」方式だそうで、合理的なようです。


知り合いの皆様

以前に比べると活動範囲が広がったこともあり、今回も様々な方のところへご挨拶に伺い、またご挨拶をいただきました。実際ほとんどの方とお会いするのはコミケ会場のみ、という状況ですが、お会いできて嬉しかったです。



悠々さん、なゆみさん、きっしーさんとお馴染みの方々とご挨拶し、今回はお隣に『英国メイドさん協会』のMaidAさんとマールさんもおります。お隣が正統派メイドコスをされている方々というのは、心強いです。



途中では大学の頃の仲間たち(コミケで会うことが多い……)や陽州さんやぱおさん、GENSHIさん、そしてのわきさんにもお会いできて、励ましやら差し入れなどを頂戴し、エネルギーとなりました。



以前は「ひとりで好きなもの作っていればいい」と思っていましたが、同人誌を介して、様々な方と出会えたことはこの七年間に及ぶ活動で得た財産です。



少なくとも、この人たちに恥じない作品を、作りたいと。


今回の流れ

夏はいつも冬よりも人の流れが悪くなっていたり、前回から創作少女と切り離されるという悪条件も重なりましたが、今回は例年の夏よりも、多くの方に立ち寄っていただけました。夏としては、久しぶりにいい感じだったと思います。



また天候も、良好な方でした。このところ、雨でひどい状況だったり、暑過ぎたりしましたが、今回は比較的快適だったこと(それでも十分に暑過ぎましたが)、お盆ではなかったことなどで、人がいつもよりも多かった印象を受けました。



いつもメインの時間帯は11〜13時ぐらいというのはまったく同じでしたが、序盤にリピーターの方々や友人に頼まれてか複数買われていく方々がいたり、時々、新しく興味を持ってか「全冊」買われていく方々もおりました。


一見さん歓迎・入り口たるべき

久我が同人活動を始めた当初から決めていたことは、「新しくそのジャンルに入った人も歓迎できる体制」作りです。常に既刊を用意しておく、或いは一見さんが買いやすいような雰囲気を作る、ということを大事にしたいと思っていました。



雰囲気に関しては友人と接客対応をしっかりやる、声を出す、わかりやすく説明するを心がけています。接客と言う環境が、学生の頃のバイト以来なので、久しぶりに声を出すと気持ちがよい、というのはありましたが。



とはいえ、「入り口」の部分は、いつも難しい問題がありました。



既刊の種類が多すぎ、選びにくいのです。



今回はそれが解消しました。



今までより種類が減り、自信を持って「最初に買ってください」と言える新刊を作ったからです。選択肢が多いほど選びにくいことや、「最初に手に取る」1巻のクオリティが、最近の資料レベルよりも落ちてしまう、という辛さがありました。



今回の新刊は資料的に最高レベルの「執事」を追加し、また独特の翻訳資料やこれまでの振り返りなども書いたので、導入としては十分に記憶に残るような構成に出来たと思います。



値段も500円と、比較的手ごろに始めやすい設定なので、今回の新刊に関しては当初の目的を果たせたと思います。



ただ、何人かの方には「四巻は無いの?」と聞かれましたが、会場でお答えしたように絶版となり、総集編に含まれることとなります。同人と言う商業的でない部分での印刷部数の最適な管理が難しい点、申し訳ありませんが、ご了承下さい。


個別のエピソード

何名かの方に『マナーハウス』日本語化の話を振られました。2004年から同人誌で取り上げていたのをご存知の方たちで、ようやく感覚を共有できることが嬉しくもあり、またあの作品を好きな方に出会えることも収穫でした。



またネットでの活動で興味を持たれた方も多かったようで、情報を定期的に発信していくことの重要さも再認識しました。今回に限れば、比較的女性比率が上がっていたような気もします。



残念ながら、メイドのコスプレをされた方がスペースに来ることはほとんど無くなりました。メイドそのものが一般化していく中で、コミケと言う環境であえて「コスプレ」する意味合いは、昔よりも薄れたのだと思います。



そんな中、ひとりだけコスプレでいらした方が当同人誌を買い、「コスプレをやるならば、対象の中身もわかっておきたい」と語られたのが印象的でした。


総集編頑張ります

総集編について励ましの言葉を何度もいただき、ありがとうございました。



執事編を読んでいただければ伝わるかと思いますが、あの密度で書くのは何かいろいろと捨てなければなりません。



今回の新刊は「初めて買う方々向け・既刊読者の方にとっては復習と今後の展望」という立ち位置ですが、次回にはもう総集編を出す以外に選択肢がありません。間に合わなければ何か無料配布本を、という逃げ道は作らず、出来る限りの努力をしてみます。



「新刊下さい」と言って下さる方が増えているのも感じます。



そうした無言の信頼に応えたいとも思いますし、期待されているうちが花というのもあります。いろいろと決着をつけなければならないことが多いです。最終巻は作れず、総集編も作れないでは悲しいので、時間管理をしっかりして、趣味と仕事の両立を図ります。



「総集編作りました」

「最終巻、ようやく出来ました」



そういえる日を、迎えたいです。



最後に、忙しかったからかもしれませんが、今年の夏コミはあっという間に終わりました。そのあっという間の感覚が、一日と言うレベルではなく、「あれ、冬コミでここに来たのはちょっと前じゃなかったっけ?」という、八ヶ月も前の出来事を、そんな感覚で捉えていた自分に、驚きました。



それはきっと、同人活動すべてに言えると思います。習慣化し、かつて得た感動も次第に薄れているのではないかと、同行の士に出会う喜びも感覚を分かち合える楽しさも麻痺しているのではないかと。



その辺はあまり深く考えていませんでしたが、10回目の参加ということもあって、今後続けていく上で重要な課題だとは思います。ただどんな評価にせよ、「あのサークルはメイドジャンルでしっかり活動している」と記憶されるような、そんなサークルでありたいと思い、今後も精進していきます。



多くの人に出会えたのは、あの場があってこそです。



その場に、自分なりに何かを返す時期だと思います。



本日はありがとうございました。


自分で買った同人誌〜サークル「Foot Prints」

最近あんまり自分で同人誌を買っていないのですが、歩いていて見つけた1サークルが久しぶりに心にぐっと来ました。イメージボードはヨーロッパの農家?の玄関口、そこにいた少女と猫の雰囲気が、なんともいえないイラストでした。



新刊がどれかよくわからなかったので、紙の『菜の花・ポリッジ〜いちご日和』という同人誌を買いました。



久我は個人的に「キャラクター」だけではなく、「そのキャラクターが映える背景」まで描きこめる作家さんが好きです。今回購入したサークルのイラストは、そうした「古きよき19世紀っぽい生活風景」と「あたたかいキャラクターの雰囲気」であふれていました。



それだけではなく、新刊の中身を見ると、「ジャム作り」の話なのです。で、ジャムを収穫するのに必要な道具とか、ジャムを煮詰めている風景とか、道具自体も大事にしていました。



雰囲気のあるイラストだけではなく、その生活の温度までしっかりと再現してしまう、暮らしまで含めて好きなんだ、というところがとても印象的でした。



イラスト、世界観、そして生活を描くことで通っていく暖かな血



久我自身は実際のレシピ系に弱いものの、『英国ヴィクトリア朝のキッチン』など、メイド資料を調べる上で出会ってきた料理の雰囲気は大好きです。



「この方の絵をもっと見たい」と思えるイラストでした。



Foot Prints