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2008-02-02 久々にヴィクトリア朝の「大作」が映像化

[]DVD『Lark Rise to Candleford』

経緯はわかりませんが、20世紀初頭〜中期イギリスの作家Flora Thompsonの小説『Lark Rise to Candleford』が映像化していたようです(『Lark Rise to Candleford』の公式サイトがBBCにありました)。あまりにも嬉しくて、久々に熱のままに書いています。発売時期は2008/04/07です。絶対に買います。


『Becoming Jane』のDVD紹介メルマガが来て、ふらっと訪れた英国AMAZONを散策していたら、見つけました。



『Lark Rise to Candleford』


ご存知ではない方がほとんどだと思いますので、少し説明をします。


この作品(原作は小説)に初めて接したのは、メイド資料本の最高傑作のひとつ『ヴィクトリアン・サーヴァント』(接した当時は英語版『RISE AND FALL OF THE VICTORIAN SERVANT』)です。このメイド資料本に出ていた幾つかのエピソードは、この作品が原典でした。


ヴィクトリア朝の田園風景を描いたFlora Thompsonの作品は、Penguin Booksなどから出版されており、四年ぐらい前に購入しました。この頃から、「原典」を読むのが自分の中ではやっていたのかもしれません。


小説の中身は、村の少女がどのように幼い日を過ごしていたのか、年を経て、どこに勤めに出ていたのか、どういう世界を見ていたのかと、『世界名作劇場』から劇的な物語展開を除いた、淡々と穏やかな時間が流れる世界が描かれています。


村からメイドとして働きに出る少女たちのエピソードの豊かさは、特筆に値します。当時の村の暖かな温度、働きに出ざるを得ない少女たちが帰郷のときに見せる、ほっとした素顔。もう、19世紀イギリスの「庶民の田園の暮らしマニア」にはたまらんのです。


雰囲気としては、『図説 イギリスの田園生活誌』(一時期AMAZONに情報がありませんでしたが、今日見たら出ていたのでレビュー書きました)がいちばん近いですね。「田園に住む素直な少女の視点」なのです。




新刊『MAID HACKS』でも、『Lark Rise to Candleford』のエピソードを取り上げました。原典からの翻訳なので、細かい描写があります。


■Episode.103:私には、必要ないから


Clem/メイド/19世紀後半


『休暇を取って実家に戻ってきたClemは、新しい上質のフロックコート〜薄い紺のカシミア製で、白いレースの襟とカフスボタンがついていた〜を身につけていた。村の中で、コートは羨望の的だったし、彼女はそれを着ているのを楽しんでいた。

 Lauraは、Clemにこう言った。

「あなたのそのコート、本当に素敵ね」

 Clemは少し低い声で言った。

「あぁ、でもこのコートはね、妹のSallyに残していくの。だってSallyは何も持っていないし、ここを離れたら、私は何を着ていても気にならないわ。だって、私が何を着ているかなんて、誰も気にしてなんていないもの」と答えた。

 Clemは翌日、二番目に上質の紺のサージを着て、帰っていった。

 次の日曜日、彼女の妹は誇らしげに薄い紺のコートを羽織って、教会へ出かけた。

 多くの少女は家族にお金を渡す為に働いた。彼女たちの給与が、とても低かったにもかかわらず』


(『Lark Rise To Candleford』P.165より翻訳引用。作者はFlora Thompson=Laura。1876年生まれの女性作家。北オックスフォードシャーの故郷の光景を描いた)


どういう風に映像化されているのか、今からとても楽しみです。というか、どういう理由があって映像化されたのか気になります。日本で言えば、マイナーな作家、今まで一度も映像化されていない明治の文豪の小説が、いきなりドラマになるようなものです。


日本のAMAZONで検索すると、DVDのパッケージと同じ写真の洋書が紹介されていました。


Modern Classics Lark Rise To Candleford

Modern Classics Lark Rise To Candleford



嬉しいです。


関連して『ラークライズ』三部作 Lark Rise to Candleford(ブログ『Wind from the East』)というエントリを見つけました。こちらでは、Floraの過ごした村などを実際に訪問した折の写真などが紹介されています。


そういえば、『Cranford』も2008/02/11発売と迫っています。



『Cranford : Complete BBC Series』