ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん このページをアンテナに追加 RSSフィード


AMAZON『英国メイドの世界』へ  ■講談社より刊行しました! 屋敷の暮らしと使用人の仕事が分かる『英国メイドの世界』
 -屋敷で働くメイド・執事の仕事が分かる資料本『英国メイドの世界』:第一章の試し読み開始
 -出版化時にこだわった「読みやすさ」と「分かりやすさ」

 ■英国ヴィクトリア朝・屋敷や貴族関連の資料/映像をお探しの方にオススメ
 『ダウントン・アビー』を見る前に読んでおきたいカントリーハウスと職場の解説

 -SPQR[英国メイドとヴィクトリア朝研究]更新中




2008-09-19 イギリスの田園での暮らし

[]一九世紀イギリスの田園風景を描いた『ラークライズ』

ラークライズ

ラークライズ



イギリスの風景が好きなら、絶対に読んでください。


そんな名著です。


『ヴィクトリアン・サーヴァント』(英書の頃ですが)経由でずっと興味を持っていた作家フローラ・トンプソンの著作が、翻訳されました。久我が過去に入手した英語の本はペンギン版で三部作収蔵してありますが、本作は第一部『ラークライズ』のみとなっています。


ヴィクトリアン・サーヴァント―階下の世界

ヴィクトリアン・サーヴァント―階下の世界



去年は英国BBCでドラマ化した話題作でもありますが、何よりも田園の生活風景、田舎で過ごす人たちの生活(価値観、教育、道徳観、貨幣価値、食事、衣服、職業、家での暮らし)が本当に子と細かく描写されていて、読むだけで一九世紀イギリスにタイムトラベルした感覚になれます。


こうした村から巣立っていく娘たちがメイドになることもあり、しっかりと章が割かれています。その描写の「精度」に関しては、英国で最も有名なメイド資料本の一冊、『ヴィクトリアン・サーヴァント』で幾つかのエピソードが紹介されるほどです。


翻訳者の方のあとがきによると、英国では「高校生必読」の古典文学だそうで、日本で邦訳が出るのは今回が最初とのことです。であればこそ、BBCでドラマ化したのでしょうね。ドラマは英国でDVD版が販売されております。


『Lark Rise to Candleford』(2008/02/02の日記で紹介)


ドラマの方は今回の『ラークライズ』以降、村を出て郵便局で働き始めた頃を題材としているので、内容は違っています。元々が主人公である筆者の一人称で、淡々と村の暮らしを綴っていく本なので、ドラマ化は難しいのですが、特に『ラークライズ』は絵として美しくても、「物語」と言う構図としては、映像化するには平坦です。


個人的にはずっと見ていても楽しいのですが。


この本は残念なことに、「図解」資料がありません。英国の田園生活にこれからすっかりはまりたい方には、2冊の本をオススメします。これを読むと、より深く物語に入り込めます。





翻訳者の石川英子さんのブログも是非、ご覧下さい。作者であるフローラが育った場所の写真も載っていました。


補足

あとがきによると、第二部・第三部の翻訳は終わっており、出版待ちとのことです。事情はわかりませんが、第一部の売れ行き次第なのかもしれませんので、続きが読みたい方は是非にも。


個人的には、「これほど、リアル『ハウス名作劇場』に近づいた書籍は無い」と思っています。農村の描写があまりにもすごすぎて、彼女のような人間がいたことが奇跡みたいです。


英国の「農村や田園」と言う暮らしに少しでも興味ある人は必読です。長いですが、興味のあるところを拾い読みするだけでも、英国の風景が広がることでしょう。登場する人物たちも愛すべき人たちばかりです。


ドラマでは多少複数の人物をひとりにまとめるなど、脚色・編集が行われています。


『ラークライズ』目次

第1章 貧しい人々の家

第2章 子供時代

第3章 農作業

第4章 パブ

第5章 年寄りたち

第6章 女たち

第7章 外からの訪問者

第8章 木箱

第9章 田舎の遊び

第10章 村の娘たち

第11章 学校

第12章 試験

第13章 メーデー

第14章 教会

第15章 村の祭日


目次の第10章に該当するところが「メイド」です。